総合振込のコスト計算
【ご注意】このページの計算結果・情報は参考値です。正確性・最新性は保証できません。税務・法務・お金・設計・施工・安全などに関わる判断は、公式の資料と専門家の確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。免責事項
総合振込(データ伝送)と都度振込のどちらが安いかを、基本料・伝送手数料・振込手数料・件数から計算します。1件ずつ入力する手間を人件費に換算して足すので、手数料だけで比べたときより現実に近い分かれ目が出ます。
総合振込のコスト計算ツール
2つの方法の費用の形
総合振込は、支払データをまとめて金融機関に送る方法です。費用は3つに分かれます。
総合振込 = 月額基本料 + 明細件数 × 伝送手数料 + Σ 件数 × 振込手数料
都度振込は基本料がかからない代わりに、1件ずつ画面で入力する手間がかかります。この手間を金額にすると次の形です。
都度振込 = Σ 件数 × 振込手数料 + 件数 × 所要時間 × 時間単価
既定値(月2回×80件=160件、他行7割、基本料3,300円、総合振込の他行330円、都度の他行550円、1件1.5分、時給3,000円)で計算すると、総合振込は3,300+112×330=40,260円、都度振込は112×550=61,600円に人件費160×1.5÷60×3,000=12,000円を足して73,600円です。月の差は33,340円、年間で約40万円になります。
分かれ目の件数
総合振込が得になるのは、基本料を件数で薄められるところからです。手数料だけで比べた場合、分かれ目は次の式で求まります。
件数 = 基本料 ÷ {(都度の単価 − 総合の単価)× 他行割合 − 伝送手数料}
基本料3,300円、単価差220円、他行7割、伝送手数料0円なら、3,300÷(220×0.7)=21.4で月22件です。人件費を入れると、1件1.5分・時給3,000円は1件あたり75円にあたるので、分母が295×0.7=206.5に増え、3,300÷206.5=16.0で月17件まで下がります。手間を金額にすると分かれ目は前倒しになります。
月の件数と月額コスト(既定の条件)
| 月の明細件数 | 総合振込 | 都度振込(手数料のみ) | 都度振込(人件費込み) | どちらが安いか |
|---|---|---|---|---|
| 10件 | 5,610円 | 3,850円 | 4,600円 | 都度 |
| 20件 | 7,920円 | 7,700円 | 9,200円 | ほぼ互角 |
| 30件 | 10,230円 | 11,550円 | 13,800円 | 総合 |
| 50件 | 14,850円 | 19,250円 | 23,000円 | 総合 |
| 100件 | 26,400円 | 38,500円 | 46,000円 | 総合 |
| 160件 | 40,260円 | 61,600円 | 73,600円 | 総合 |
| 300件 | 72,600円 | 115,500円 | 138,000円 | 総合 |
※他行7割・同行0円・総合の他行330円・都度の他行550円・基本料3,300円・伝送0円・1件1.5分・時給3,000円で計算。
支払データを送る方法
| 方法 | 費用の形 | 向いている規模 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 画面で1件ずつ入力 | 件数×手数料のみ | 月20件まで | 基本料なし。件数が増えると手間が重い |
| 画面から一括アップロード | 基本料が低いか無料 | 月20〜100件 | CSVや全銀形式のファイルを取り込む |
| データ伝送(総合振込) | 基本料+件数 | 月50件以上 | 会計ソフトから直接連携できることが多い |
| ファームバンキング | 基本料が高め | 大量・定型 | 専用回線やソフトを使う従来型 |
作業時間の目安
| 月の件数 | 1件1.5分での作業時間 | 時給3,000円での人件費 | 年間 |
|---|---|---|---|
| 30件 | 0.8時間 | 2,250円 | 27,000円 |
| 80件 | 2.0時間 | 6,000円 | 72,000円 |
| 160件 | 4.0時間 | 12,000円 | 144,000円 |
| 400件 | 10.0時間 | 30,000円 | 360,000円 |
※入力した内容はお使いのブラウザの中だけで処理され、サーバーには送信されません。金額は各金融機関の公式サイトで確認したものですが、料金は改定されます。契約前に必ずご契約先の最新の料金表でご確認ください。
総合振込のコスト計算の詳しい解説
総合振込は、支払先・金額・口座の一覧をひとつのデータにまとめ、指定日に一括で振り込む仕組みです。仕入先への月末払いや、外注費の支払いのように、毎月まとまった件数がある会社の標準的なやり方です。都度振込との違いは、費用の形が固定費+変動費になる点にあります。月額基本料という固定費を払う代わりに、1件あたりの単価が下がります。固定費を件数で薄められるかどうかが、得か損かの分かれ目です。
この構造は携帯電話の料金プランとよく似ています。基本料の高いプランは使えば使うほど1回あたりが安くなり、基本料のないプランは少ししか使わない人に向いています。振込も同じで、月に10件しか支払いがない会社が基本料3,300円のデータ伝送を契約すると、1件あたり330円の固定費を上乗せしているのと変わりません。逆に月300件ある会社なら、基本料は1件あたり11円まで薄まります。
見落とされやすいのが作業時間です。都度振込は1件ずつ、口座情報を確認し、金額を入れ、承認する必要があります。1件1.5分でも、160件なら4時間です。振込日は月末や5・10日に集中するため、その日だけ担当者が半日つぶれることになります。しかもこの作業には入力ミスのリスクが伴います。口座番号を1桁間違えれば組戻しの手続きが発生し、手数料も時間もかかります。総合振込なら会計ソフトから出力したデータをそのまま送れるので、転記自体が発生しません。手間を金額にして比べると、分かれ目は手数料だけで見たときより手前に来ます。
データの作り方にはいくつか段階があります。もっとも手軽なのは、インターネットバンキングの画面からCSVや全銀形式のファイルをアップロードする方法で、基本料が無料か低額のことが多く、月20件程度から検討できます。次がデータ伝送で、会計ソフトや販売管理システムから直接送れます。従来型のファームバンキングは専用のソフトや回線を使うもので、基本料が高い代わりに大量処理と入出金明細の自動取得に向いています。近年はインターネットバンキング経由のデータ伝送が主流で、ファームバンキングから移行する会社が増えています。
総合振込を導入する際の実務上の注意も押さえておきましょう。まず、データの提出期限があります。振込指定日の何営業日前までに送る必要があるかは金融機関ごとに違い、一般に1〜3営業日前です。月末が金曜日で翌月曜が休日といった月は、余裕がなくなります。次に、残高の確保です。総合振込は指定日の朝に一括で引き落とされるため、その時点で全額がなければ全件が不能になることがあります。1件だけ落ちるのではなく、まとめて落ちる仕組みの怖さです。そして訂正の手間です。送信後の取り消しは期限があり、期限を過ぎると組戻しになります。
それでも、月に数十件以上の支払いがある会社にとって、総合振込への移行は手数料と時間の両面で効果が大きい施策です。このツールで出た年間の差額と、導入にかかる初期の手間を並べて判断してください。多くの場合、初期の設定は数時間で済み、削減額は年間で数十万円になります。
業界・現場での使い方
製造業の仕入先支払い
月末締め翌月末払いの仕入先が数十社ある場合、総合振込への切り替え効果を件数から試算します。
建設業の外注費支払い
現場ごとに外注先が変わり件数が読みにくい業種で、件数の幅を変えて損益分岐を確かめます。
人材派遣・業務委託
委託先への支払件数が多く金額が小さい場合、1件あたりの実質コストを比べます。
経理のアウトソース判断
都度振込にかかる作業時間を金額に換算し、外部委託や自動化と比べる材料にします。
ファームバンキングの見直し
古い契約の基本料が現在の件数に見合っているかを確かめます。
よくある間違い・注意点
- 基本料を件数で割らずに比べる — 固定費は件数で薄まります。1件あたりの実質額で比べてください。
- 作業時間を勘定に入れない — 1件1.5分でも160件なら月4時間です。金額にすると分かれ目が変わります。
- 他行あての割合を適当に置く — 同行あてが無料の口座では、この割合が結果を大きく左右します。
- データの提出期限を見落とす — 振込指定日の1〜3営業日前が期限です。連休をはさむ月は前倒しが必要です。
- 指定日の残高を確保し忘れる — 総合振込は一括で引き落とされます。不足すると全件が不能になることがあります。
関連する規格・公的資料
- 全国銀行協会 — 銀行業界の共通ルールと各種手数料の考え方
- 全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット) — 全銀システムの運営と内国為替の決済
- 全銀ネット 内国為替制度運営費の改定について(2025年10月16日) — 62円から61円へ。2026年10月1日適用
- 全銀ネット 全銀システムに関するコストについて — 内国為替制度運営費の考え方
- 日本銀行 — 資金決済と日銀ネットに関する資料
- 金融庁 — 銀行の手数料開示と利用者保護の監督
- 公正取引委員会 — 支払時に振込手数料を差し引く取り扱いの指針
- 中小企業庁 — 下請代金の支払いに関する制度の解説
- 国税庁 — 消費税とインボイス制度の取り扱い
- ことら — 少額送金インフラ「ことら送金」の公式情報
- 日本資金決済業協会 — 資金移動業と送金サービスの制度
- 経済産業省 — 中小企業の業務効率化とキャッシュレスの政策
- 日本商工会議所 — 中小企業の経理実務に関する情報
- e-Gov 法令検索 — 銀行法・下請代金支払遅延等防止法の条文
- 独立行政法人 中小企業基盤整備機構 — 資金繰りと経理業務の支援情報
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
総合振込は何件くらいから得になりますか?
基本料を単価の差で割った件数が目安です。既定の条件では手数料だけなら月22件、作業時間を入れると月17件です。
総合振込とファームバンキングは違いますか?
総合振込は取引の種類、ファームバンキングはデータをやり取りする手段です。近年はインターネットバンキング経由が主流です。
データはいつまでに送ればよいですか?
振込指定日の1〜3営業日前が一般的です。金融機関ごとに違うので契約時にご確認ください。
指定日に残高が足りないとどうなりますか?
全件が不能になることがあります。1件ずつ落ちるとは限らないため、前日までの残高確保が重要です。
送ったあとで取り消せますか?
期限内なら取消しができます。期限を過ぎると組戻しの手続きになり、手数料と時間がかかります。
会計ソフトから直接送れますか?
多くの会計ソフトが全銀形式のデータ出力に対応しています。金融機関側の受け入れ方法と合わせてご確認ください。
伝送手数料は1件いくらですか?
無料の金融機関もあれば、1件あたり数十円かかるところもあります。ご契約先の料金表の数字を入れてください。
都度振込の作業時間はどう見積もればよいですか?
実際に1件入力して測るのが確実です。口座の登録が済んでいれば1分弱、初回登録を含めると3分程度が目安です。
総合振込でも振込手数料はかかりますか?
かかります。基本料や伝送手数料は振込手数料とは別です。ただし単価は都度振込より低く設定されることが多いです。
件数が少ない月と多い月があります
多い月と少ない月の両方で計算し、年間の合計で判断してください。基本料は件数に関係なく毎月かかります。