海外死亡費用
海外で亡くなった場合の費用を試算する無料電卓。地域別の遺体搬送と葬儀の目安に加えて、死亡届の期限や在外公館への届出、日本での火葬・埋葬の許可まで整理しています。
海外死亡費用ツール
計算式と前提
遺体搬送+葬儀の費用目安 = 亡くなった地域に対応する金額
既定のアジアでは150万円、欧州は250万円、米国は300万円と表示されます。現地での手続と遺体の処置、専用の棺、日本までの輸送、日本側での受け入れと葬儀までをまとめた1件あたりの目安です。距離が長い地域ほど輸送の費用が大きくなるため、金額が上がる形にしています。
いずれも本ツールが置いた前提値です。実際の金額は、亡くなった場所から空港までの距離、現地の物価、手続にかかる日数、遺体を搬送するか現地で火葬して遺骨を持ち帰るか、遺族が現地へ渡航するかどうかで大きく変わります。渡航費や滞在費、通訳や現地代理人の費用は含みません。手続と費用の負担については、加入している保険の契約内容と在外公館の案内をあわせてご確認ください。
早見表
地域別の費用目安[本ツールの出力・1件あたり]
| 亡くなった地域 | 遺体搬送+葬儀の目安 | 米国との差 |
|---|---|---|
| 米国 | 300万円 | — |
| 欧州 | 250万円 | 50万円少ない |
| アジア | 150万円 | 150万円少ない |
| 最大と最小の差 | 150万円 | — |
海外で亡くなったときの手続と法令上の期限
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 死亡の届出の期限 | 国外で死亡があったときは、その事実を知った日から3か月以内 | 戸籍法第86条第1項 |
| 届書に添えるもの | 診断書または検案書。やむを得ないときは死亡の事実を証すべき書面で代替できる | 戸籍法第86条第2項・第3項 |
| 在外公館への届出 | 外国にいる日本人は、その国に駐在する日本の大使・公使・領事に届出ができる | 戸籍法第40条 |
| 現地の方式で証書を作った場合 | 3か月以内に、その国に駐在する日本の大使・公使・領事へ証書の謄本を提出する。大使等が駐在しないときは3か月以内に本籍地の市町村長へ発送する | 戸籍法第41条 |
| 受理後の流れ | 大使・公使・領事は、外務大臣を経由して本籍地の市町村長へ書類を送付する | 戸籍法第42条 |
| 日本での埋葬・火葬 | 埋葬、火葬または改葬を行おうとする者は市町村長の許可を受ける。許可のときは埋葬許可証・火葬許可証が交付される | 墓地、埋葬等に関する法律第5条・第8条 |
| 在外公館の領事手数料(死亡証明) | 1通につき邦貨1,200円相当(現地通貨で支払う) | 領事官の徴収する手数料に関する政令 第1条第1項第9号・第6項第5号/外務省「在外公館における証明」 |
| 在外公館の領事手数料(遺骨・遺体証明) | 邦貨2,500円相当 | 同政令 第1条第1項第13号「遺骨証明」・第6項第9号 |
| 在外公館ができないこと | 「病院との交渉、医療費・移送費の負担、支払保証、立て替え」 | 外務省「海外安全 虎の巻」/「大使館・総領事館ができること」 |
| 書類が本籍地へ届くまでの日数 | 在外公館で死亡届を提出した場合、本籍地の自治体に到着するまでおおよそ1か月半 | 在シドニー日本国総領事館「死亡届」 |
| 感染症に関わる場合 | 検疫感染症の病原体に汚染したおそれのある死体は、墓地、埋葬等に関する法律の定めるところに従い火葬が行われることがある | 検疫法第14条第1項第6号 |
詳しい解説
海外での死亡に伴う費用が大きくなるのは、国内の葬儀では生じない工程が挟まるからです。現地の当局から書類が出るまでに時間がかかり、遺体を日本へ運ぶ場合は長時間の輸送に耐える処置と航空輸送に適合した専用の棺が要り、貨物として搭載する手配も別に発生します。本ツールが米国300万円、欧州250万円、アジア150万円と地域で差を付けているのは、この輸送部分が距離に比例して重くなるためです。なお外務省の海外邦人援護統計によると、2025年に在外公館が把握した邦人の死亡者数は547人です(在外公館等が把握した援護事案のみの集計で、すべての事案を網羅したものではないと注記されています)。
実務で最初に分かれる判断が、遺体を搬送するか、現地で火葬して遺骨を持ち帰るかです。遺骨にすれば輸送は格段に軽くなりますが、火葬を認めていない国や、宗教上・法制度上の理由で手続が難しい国があります。またいったん火葬すると、日本で検案や解剖を行うことはできません。事件性が疑われる場合や、保険金の請求で死因の証明が要る場合に影響します。どちらを選ぶかは、費用だけでなく現地の制度と、日本で必要になる書類の両方を見て決めることになります。
見落とされやすいのが、手続の期限です。戸籍法第86条第1項は、死亡の届出を、国外で死亡があったときはその事実を知った日から3か月以内に行うと定めています(国内は7日以内)。届書には診断書または検案書を添えるのが原則で、得られないときは死亡の事実を証すべき書面で代えられます。届出先は同法第40条により、その国に駐在する日本の大使・公使・領事でも構いません。現地の方式で死亡に関する証書を作らせた場合も、第41条により3か月以内に謄本を大使等へ提出します(大使等が駐在しない国では本籍地の市町村長へ発送)。受理された書類は第42条により外務大臣を経由して本籍地へ送られます。
日本に戻ってからの手続にも決まりがあります。墓地、埋葬等に関する法律第5条は埋葬・火葬・改葬に市町村長の許可を要すると定め、第8条で埋葬許可証・火葬許可証が交付されます。在シドニー日本国総領事館は、この許可が本籍地の市区町村で死亡届が受理されていることを前提とし、在外公館で受け付けた場合は届書が本籍地に到着するまでおおよそ1か月半かかると案内しています。葬儀の日程は、この書類の流れを見ながら組むことになります。感染症が関係する場合は、検疫法第14条第1項第6号にもとづく火葬が行われることがあります。
費用の負担については、在外公館ができることの範囲をまず押さえてください。外務省のパンフレットは、遺体の身元確認の手伝い、現地での火葬や日本への移送に関する助言、遺体(遺骨)証明の発給をできることとして挙げる一方、できないこととして「病院との交渉、医療費・移送費の負担、支払保証、立て替え」を明記しています。費用は遺族側の負担です。外務省が海外旅行保険の補償対象に挙げているのは、診療費・入院費・緊急移送費のほか「救援者(家族等)の渡航、宿泊費用」などで、遺体の搬送費という項目名は使われていません。補償の範囲と上限は契約ごとに異なり、クレジットカード付帯の保険は条件が単独契約と違うことが多いため、証券の記載でご確認ください。相続や保険金の請求など法律・税務にかかわる判断は、弁護士や行政書士など専門家にご相談ください。
よくある間違い・注意点
- 表示額に遺族の渡航費が含まれると考える — 本ツールは現地の手続、遺体の処置と輸送、日本側の葬儀までの目安です。遺族が現地へ向かう航空券や滞在費、通訳や現地代理人の費用は含みません。
- 死亡届の期限を国内と同じ7日だと思う — 戸籍法第86条第1項は、国外で死亡があったときの届出期間を「その事実を知った日から3か月以内」と定めています。現地の方式で証書を作らせた場合の謄本の提出も、第41条により3か月以内です。
- 現地で火葬すれば必ず簡単になると考える — 輸送の負担は軽くなりますが、火葬を認めていない国や手続が難しい国があります。いったん火葬すると、日本で検案や解剖を行うことはできません。
- 日本での火葬・埋葬をすぐ行えると考える — 墓地、埋葬等に関する法律第5条により市町村長の許可が必要で、許可の前提となる死亡の届出が在外公館経由で本籍地へ届くまでに時間がかかることがあります。
- 保険で全部まかなえると考える — 外務省が海外旅行保険の補償対象として挙げているのは、診療費・入院費・緊急移送費のほか「救援者(家族等)の渡航、宿泊費用」などで、遺体の搬送費という項目名は使われていません。補償の範囲と上限、対象となる費目は契約ごとに異なります。クレジットカードに付帯する保険は、利用条件や補償額が単独契約と違うことが多いため、証券の記載でご確認ください。
参考資料
よくある質問(FAQ)
死亡届はいつまでに出せばよいですか?
戸籍法第86条第1項により、国外で死亡があったときはその事実を知った日から3か月以内に届け出ます。国内で亡くなった場合の7日以内とは別の期間です。
届出はどこにすればよいですか?
戸籍法第40条により、外国にいる日本人はその国に駐在する日本の大使・公使・領事に届出ができます。受理された書類は第42条により外務大臣を経由して本籍地の市町村長へ送付されます。
現地の役所が発行した書類はどう扱いますか?
戸籍法第41条により、その国の方式に従って死亡に関する証書を作らせたときは、3か月以内にその国に駐在する日本の大使・公使・領事へ証書の謄本を提出します。大使等が駐在しない国では、3か月以内に本籍地の市町村長へ発送します。
遺体を日本へ運ぶのと現地で火葬するのはどちらがよいですか?
費用だけで決められる問題ではありません。遺骨にすれば輸送は軽くなりますが、火葬を認めていない国や手続が難しい国があります。また、いったん火葬すると日本で検案や解剖を行うことはできないため、死因の証明が必要になる場合は影響します。
日本に戻ってからすぐに火葬や埋葬ができますか?
墓地、埋葬等に関する法律第5条により市町村長の許可が必要で、第8条により埋葬許可証・火葬許可証が交付されます。許可の前提となる死亡の届出が在外公館経由で本籍地へ届くまでに時間がかかることがあるため、葬儀の日程は書類の到着を見ながら組むことになります。
海外旅行保険で費用はまかなえますか?
外務省の海外安全ホームページが補償対象として挙げているのは、診療費・入院費・緊急移送費、治療に必要な交通費や通訳雇入費用、入院後に通常の旅程へ戻るための帰国交通費、そして「救援者(家族等)の渡航、宿泊費用」などです。遺体の搬送費という項目名は使われていません。範囲と上限、対象となる費目は契約ごとに異なり、クレジットカードに付帯する保険は単独契約と条件が違うことが多いので、証券でご確認ください。
在外公館は何をしてくれますか?
外務省のパンフレットによれば、遺体の身元確認、家族の意向を確認しながらの現地での火葬や日本への移送に関する助言、遺体(遺骨)証明の発給などを行います。一方でできないこととして「病院との交渉、医療費・移送費の負担、支払保証、立て替え」が明記されており、費用は遺族側の負担になります。証明の手数料は、死亡証明が1通につき邦貨1,200円相当、遺骨(遺体)証明が邦貨2,500円相当と政令で定められています。
感染症が関係する場合はどうなりますか?
検疫法第14条第1項第6号は、検疫感染症の病原体に汚染し、または汚染したおそれのある死体について、墓地、埋葬等に関する法律の定めるところに従って火葬を行うことを検疫所長の措置として定めています。個別の取扱いは検疫所の指示に従ってください。