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ワイヤ放電加工ワイヤカット加工時間金型

ワイヤ放電加工の時間見積り

板厚・周長・カット回数・加工速度から、ワイヤ放電加工の加工時間とワイヤ消費量を算出します。

最終更新:2026-05-06/監修:計算ツールズ編集部

ワイヤ放電加工の時間見積りツール

総加工面積は板厚×切り抜き周長で、既定値では30×250=7,500mm2です。1stカットの時間は面積÷(加工速度×材質係数)=7,500÷(120×1.00)=62.5分。2ndを0.45倍、3rdを0.30倍の時間と見ると合計係数は1.75となり、加工時間は62.5×1.75=109.4分になります。段取り40分を加えると2.5時間。ワイヤは毎分9mの送給として109.4分で984m、径0.25mmの黄銅線で0.41kgの消費です。

カット回数と時間の配分

カット1stを1としたときの時間比主な目的
1st(荒)1.00切り抜きと大まかな形状出し
2nd0.45だれとテーパの修正
3rd0.30面粗さの改善
4th0.25寸法の追い込みと鏡面化

被加工材別の加工速度の係数

被加工材速度係数備考
工具鋼 SKD111.00基準となる材質です
ステンレス SUS3040.85熱伝導が低く速度が落ちます
超硬合金0.45コバルト溶出を抑える条件が要ります
アルミ合金1.30加工屑の付着に注意します
銅合金0.90導電性が高く安定しにくい面があります

※参考計算です。規格・工具メーカーの推奨値・機械の仕様によって適正値は変わるため、実機の取扱説明書と最新のJISで確認してください。

ワイヤ放電加工の時間見積りの詳しい解説

ワイヤ放電加工の見積りが面積基準で行われるのは、放電が進む速さが板厚方向に一様だからです。工具が材料を削る切削と違い、単位時間に除去できる断面積がほぼ一定に保たれるため、板厚が倍になれば時間も倍になります。この性質のおかげで、周長と板厚さえ分かれば形状が複雑でも見積りの精度は保たれます。逆に言えば、コーナーが多い形状で速度が落ちる分は面積の式には現れないため、実績との差が出ます。加工液の清浄度や電源設定でも実速度は変わります。

判断が分かれるのはカット回数です。1回で切り抜くだけなら早く終わりますが、ワイヤのたわみによるテーパとコーナーのだれが残り、寸法精度は数十マイクロメートルにとどまります。2nd以降は取り代が小さく放電エネルギーも下げるため、1stの半分以下の時間で面と寸法が整います。金型の刃部のように精度が要る部位は3回から4回、位置決め用の逃がし穴のように精度が問われない部位は1回と、同じ部品でも部位で使い分けるのが実務的です。

見落とされやすいのはワイヤと段取りの費用です。ワイヤは加工時間に比例して消費され、毎分9m前後の送給なら2時間の加工で1kg近くに達します。段取りは板の水平出し、基準面の芯出し、スタート穴の位置合わせで、慣れた作業者でも30分から1時間かかります。1個だけの加工では段取りが総時間の3割を超えることも珍しくなく、同じ板から複数個を切り出すほど1個あたりの費用は下がります。加工液のフィルタやイオン交換樹脂の交換費も稼働時間に応じて積み上がります。

材質による差も無視できません。工具鋼を基準にすると、ステンレスは熱伝導が低く速度が2割ほど落ち、超硬合金は結合相のコバルトが溶け出す問題を避けるために電源条件を抑えるので半分以下になります。アルミは速度が出る一方で加工屑がワイヤに付着しやすく、断線の頻度が上がります。板厚が100mmを超える領域では加工液が奥まで届かず、実速度がカタログ値から大きく外れるため、同種の加工の実績値で補正するのが確実です。見積りの精度を上げるには、機械ごとに実績時間と計算値の比を記録し、材質と板厚の区分ごとに補正係数を持っておく方法が有効です。設備が複数ある工場では、機械間の速度差が2割に達することもあります。

業界・現場での使い方

金型製作の見積り

刃部の周長と板厚からカット回数別の時間を出し、加工賃を積算します。

生産計画の立案

段取りを含む所要時間から機械の空き枠に割り付けます。

消耗品の在庫管理

月間の加工時間からワイヤ消費量を予測し、発注のタイミングを決めます。

内外製の判断

自社加工の時間と外注単価を比べ、どちらが有利かを検討します。

よくある間違い・注意点

  • 1stカットの時間だけで見積もる — 仕上げカットを含めると1.75倍前後になり、納期の見込みが大きく外れます。
  • 段取り時間を計算に入れない — 単品加工では総時間の3割前後を占めるため、1個あたりの原価が過小になります。
  • 材質による速度差を無視する — 超硬合金は工具鋼の半分以下の速度で、同じ形状でも倍以上の時間がかかります。
  • ワイヤ費用を固定費として扱う — 加工時間に比例して消費されるため、長時間の加工ほど無視できない金額になります。
  • 厚板でもカタログ速度を使う — 板厚100mmを超えると加工液が届かず、実速度がカタログ値を下回ります。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

板厚30mm・周長250mmの加工時間はどれくらいですか?

3回カットで約109分、段取り40分を含めると2.5時間が目安です。

カット回数は何回にすべきですか?

位置決め穴なら1回、一般的な部品で2回、金型の刃部では3〜4回が目安です。

加工速度の値はどこで確認できますか?

機械メーカーの条件表に板厚と材質ごとの面積速度が示されています。自社の実績値があればそちらが確実です。

ワイヤ径を細くすると時間は増えますか?

放電面積が減るため1stの速度は落ちますが、細いコーナーが加工できるようになります。用途で選び分けます。

ワイヤ消費量はどう見積もりますか?

送給速度×加工時間です。毎分9mなら109分で約984m、質量では約0.41kgになります。

断線が続くときは何を疑いますか?

加工液の導電率、フィルタの目詰まり、ワイヤ張力、板の残留応力による挟み込みの順に確認します。

超硬合金の加工で注意する点はありますか?

結合相のコバルトが溶出して強度が落ちるため、電源条件を抑えるか専用の仕上げ条件を使います。

複数個を同じ板から切る場合の効率はどうなりますか?

段取りが1回で済むため、個数が増えるほど1個あたりの所要時間は下がります。