分圧抵抗の抵抗値と消費電流
入力電圧・目標の出力電圧・上側の抵抗値から、下側の抵抗値とE系列の推奨値、消費電流と負荷の影響を算出します。
分圧抵抗の抵抗値と消費電流ツール
分圧の比率は目標の出力電圧÷入力電圧で、既定値では5÷12=0.4167。下側の抵抗はR1×比率÷(1−比率)=10×0.7143=7.14kΩとなり、E24系列で最も近い7.50kΩを選びます。この値での出力は12×7.5÷17.5=5.14V、流れる電流は12÷17.5=0.69mA、消費電力は8.23mWです。100kΩの負荷をつなぐと出力は4.93Vまで下がり、誤差は−4.11%になります。
分圧比と抵抗の組み合わせ(R1=10kΩ)
| 入力/目標出力 | 必要なR2 | E24の推奨値 |
|---|---|---|
| 12V → 3.3V | 3.79kΩ | 3.90kΩ |
| 12V → 5V | 7.14kΩ | 7.50kΩ |
| 24V → 5V | 2.63kΩ | 2.70kΩ |
| 5V → 3.3V | 19.4kΩ | 20.0kΩ |
抵抗値と消費電流の関係(12V入力)
| R1+R2の合計 | 流れる電流 | 消費電力 |
|---|---|---|
| 1.75kΩ | 6.86mA | 82mW |
| 17.5kΩ | 0.69mA | 8.2mW |
| 175kΩ | 0.07mA | 0.8mW |
| 1.75MΩ | 0.007mA | 0.08mW |
※参考計算です。機材の仕様・規格・法令は改定されるため、実機の仕様書と最新の告示を確認してください。
分圧抵抗の抵抗値と消費電流の詳しい解説
分圧回路の設計で最初に決まるのは比率だけで、抵抗値の絶対値は別の条件から決めます。同じ比率であれば1kΩと1MΩの組み合わせでも出力電圧は同じですが、流れる電流は千倍違います。電池駆動なら消費を抑えたいので高い値を、周囲の雑音に強くしたいなら低い値を選びます。この判断を先送りにすると、動作はするのに電池が持たない、あるいは値がふらつくといった不具合につながります。
判断が分かれるのは負荷の扱いです。分圧の出力に何かをつなぐと、その入力抵抗が下側の抵抗と並列になり出力電圧が下がります。誤差を1%以内に収めたいなら負荷の入力抵抗を下側の抵抗の百倍以上にするのが目安ですが、そのぶん分圧側の値を下げると消費電流が増えます。増幅器を挟んで負荷を切り離す方法もあり、精度が要る用途ではこちらが選ばれます。
見落とされやすいのが抵抗の誤差の積み上がりです。±5%の抵抗を二本使うと、最悪の場合の出力誤差は単純な合成より大きくなります。基準電圧の生成や電池電圧の監視のように精度が要る箇所では、±1%品を使うか、比率が同じ抵抗網として一体化された部品を選ぶのが確実です。温度による変化も両方の抵抗で同じ向きに動けば相殺されますが、種類が違えば残ります。
用途による違いも大きく、電圧を測るための分圧では消費電流を抑えることが優先され、数百kΩから数MΩが使われます。この場合は測定器側の入力抵抗と配線の浮遊容量が効いてくるため、応答が遅くなる点に注意が必要です。逆に基準電圧として電流を取り出す用途では、必要な電流の十倍以上を分圧側に流しておかないと負荷変動で出力が揺れます。
設計を終える前に、想定していない条件での挙動も確認しておきます。入力電圧が跳ね上がったときに下流の素子が耐えられるか、電源投入の直後に一時的に高い電圧が出ないか、逆に負荷側から電流が回り込まないかといった点です。分圧は単純な回路ですが、保護の役割を兼ねさせている場合は抵抗値が保護性能そのものを決めます。定格電圧と定格電力の両方を確認したうえで部品を選んでください。基板上での配置も、発熱する部品から離すことで安定します。
業界・現場での使い方
マイコン回路の設計
電源電圧を入力可能な範囲まで下げる分圧を設計し、消費電流と誤差を確認します。
電池残量の監視回路
高い抵抗値で消費を抑えつつ、変換器の入力抵抗による誤差を見積もります。
センサ信号の調整
出力範囲を測定系の入力レンジに合わせ、必要な抵抗の組み合わせを決めます。
教育・実習
比率と絶対値の役割の違いを、消費電流の数値で対比して説明します。
よくある間違い・注意点
- 比率だけ合わせて絶対値を決めない — 同じ比率でも消費電流は千倍変わり、電池寿命や雑音耐性が大きく異なります。
- 負荷の入力抵抗を計算に入れない — 下側の抵抗と並列になり、出力電圧が想定より下がります。
- 抵抗の誤差を無視する — ±5%品を二本使うと出力の誤差が積み上がり、基準用途では使えません。
- 高抵抗にすれば必ず有利と考える — 配線の浮遊容量で応答が遅くなり、雑音も拾いやすくなります。
- 計算値どおりの抵抗を探す — 市販品はE系列の刻みしかないため、近い標準値で再計算する必要があります。
関連する規格・公的資料
- 日本産業標準調査会 (JISC) — JIS規格
- 電子情報技術産業協会 (JEITA) — 電子部品・機器
- 日本電機工業会 (JEMA) — 電気機器
- 電気学会 — 電気工学
- 日本機械学会 — 機械工学
- 日本電気協会 — 電気設備の技術基準
- 産業技術総合研究所 — 計量標準
- 製品評価技術基盤機構 (NITE) — 製品安全
- 経済産業省 — 電気用品・産業政策
- 日本ロボット工業会 — 産業用ロボット
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
12Vから5Vを作る分圧のR2はいくつですか?
R1が10kΩなら計算値は7.14kΩ、E24系列では7.50kΩが最も近い値です。
分圧回路で電源を作れますか?
電流を取り出すと電圧が下がるため、電源用途には向きません。基準電圧や信号の減衰に使います。
負荷の影響を小さくするには?
負荷の入力抵抗を下側の抵抗の百倍以上にするか、増幅器を挟んで切り離します。
抵抗値は大きいほうがよいですか?
消費電流は減りますが、浮遊容量による遅れと雑音の影響が増えます。用途に応じた妥協点があります。
E系列とは何ですか?
市販の抵抗値の刻みです。E24は1桁あたり24種類、E96は96種類で、精度の高い抵抗ほど細かく揃います。
消費電力はどの抵抗で決まりますか?
合計の抵抗値と入力電圧で決まります。個々の抵抗の定格は、それぞれにかかる電圧から確認します。
温度で出力がずれるのはなぜですか?
抵抗の温度係数が異なると比率が変わるためです。同じ種類で揃えると変化が相殺されやすくなります。
可変抵抗を使ってもよいですか?
調整はしやすくなりますが、経年や振動で値が動くため、量産では固定抵抗の組み合わせが選ばれます。