リーマ 下穴径と取り代の計算
仕上げ穴径・公差等級・被削材・リーマの種類から、推奨する取り代・下穴径・切削速度・送りを算出します。
リーマ 下穴径と取り代の計算ツール
取り代は穴径ごとの基準値×被削材の係数×リーマの係数で決めます。既定値では直径10mmの基準0.20mmにS45Cの1.00とマシンリーマの1.00を掛けて0.20mm。下穴径は10−0.20=9.80mmです。H7・直径10mmの公差の幅は15マイクロm。切削速度はS45Cで10.0m/分、主軸回転数は1000×10÷(π×10)=318回転/分、送りは0.08+0.017×10=0.25mm/回転となります。
穴径ごとの取り代の基準値
| 仕上げ穴径 | 取り代(直径差) |
|---|---|
| 3mm以下 | 0.10mm |
| 3〜6mm | 0.15mm |
| 6〜10mm | 0.20mm |
| 10〜20mm | 0.30mm |
| 20〜30mm | 0.40mm |
| 30〜50mm | 0.50mm |
公差等級と公差の幅(直径10mm)
| 等級 | 公差の幅 | 用途 |
|---|---|---|
| H6 | 9マイクロm | 精密なはめあい |
| H7 | 15マイクロm | 一般的なはめあい |
| H8 | 22マイクロm | すきまばめ |
| H9 | 36マイクロm | 粗いはめあい |
※参考計算です。規格・規程・メーカーの推奨条件は改定されるため、施工前に最新の資料と現場条件を確認してください。
リーマ 下穴径と取り代の計算の詳しい解説
リーマの取り代に狭い適正範囲があるのは、多すぎても少なすぎても穴の精度が落ちるからです。取り代が大きいと刃にかかる力が増えてリーマ自体が振れ、穴が大きくなったり真円度が崩れたりします。逆に小さすぎると刃が材料に食い込まず、下穴の表面をこするだけになります。特にステンレスでは、こすった部分が加工硬化して次の刃がさらに食い込みにくくなるという悪循環に入ります。直径10mmで0.2mm前後という値は、この両側の失敗を避ける幅として定着したものです。
判断が分かれるのはリーマの種類の選び方です。高速度鋼のマシンリーマは価格が抑えられ、汎用の加工では扱いやすい一方、摩耗が早く寸法の変化が出ます。超硬リーマは寿命が長く高速に回せますが、剛性が高いぶん下穴の曲がりをそのまま引き継ぎやすく、機械側の振れが結果に出ます。ハンドリーマは食付き部が長く、位置決めの自由度が高い反面、作業者の技量に依存します。量産では超硬、単品や修正ではハンドという使い分けが一般的です。
見落とされやすいのが下穴の品質です。リーマは穴の位置を修正する工具ではありません。下穴が曲がっていればリーマもその経路をたどり、位置精度は改善しません。位置を出すにはセンタもみやガイドドリルで方向を決め、下穴を段階的に仕上げる手順が要ります。また下穴の表面が荒いと取り代が実質的に不均一になり、リーマの一方の刃だけに負荷が集中します。下穴のドリルの摩耗管理は、リーマの条件と同じ重みを持ちます。
穴の形状と深さによる違いも押さえておく必要があります。深さが直径の3倍を超えると切りくずの排出が難しくなり、速度を落として切削油の供給を確保する必要があります。止まり穴では刃部の食付き部が底まで届かないため、必要な有効長さより深い下穴が要ります。断続的な切削になる交差穴やキー溝を横切る穴では、刃が欠けやすく取り代を減らす配慮が有効です。仕上がりの寸法はリーマの径だけでなく機械の状態にも左右されるため、初物での実測と確認を前提にしてください。測定は加工直後ではなく、温度が下がってから行うほうが安定します。
業界・現場での使い方
加工プログラムの条件設定
仕上げ穴径から下穴径と切削条件を決め、工具の手配に反映します。
はめあい部品の製作
公差等級ごとの公差の幅を確認し、測定の合否基準を設定します。
工具の選定
マシンリーマと超硬リーマの適用範囲を、数量と精度の要求から判断します。
不良の原因調査
取り代と下穴の状態から、寸法や真円度の不良の要因を絞り込みます。
よくある間違い・注意点
- 取り代を大きく取れば確実に仕上がると考える — リーマが振れて真円度が悪化し、穴径も安定しません。
- 取り代を極端に小さくする — 刃が食い込まず下穴をこするだけになり、ステンレスでは加工硬化を招きます。
- リーマで穴の位置を修正しようとする — 下穴の経路をたどるため、位置精度は改善しません。
- 深穴でも同じ切削速度で加工する — 切りくずの排出が滞り、詰まりによる刃欠けや寸法不良が起きます。
- 止まり穴の下穴を必要深さと同じにする — 刃部の食付き分が届かず、底まで所定の径になりません。
関連する規格・公的資料
- 日本産業標準調査会 — JIS規格
- 日本規格協会 — 規格の制定・頒布
- 日本機械学会 — 機械工学
- 精密工学会 — 精密加工
- 日本工作機械工業会 — 工作機械
- 日本機械工具工業会 — 切削工具
- 経済産業省 — 産業技術・計量
- 製品評価技術基盤機構 — 製品安全・材料
- 中央職業能力開発協会 — 技能検定
- 厚生労働省 — 労働安全衛生
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
直径10mmH7の取り代はどのくらいですか?
S45Cにマシンリーマを使う条件で0.20mm、下穴径は9.80mmです。
H7の公差の幅はいくつですか?
直径10mmでは15マイクロmです。穴径の範囲によって値が変わります。
切削速度と回転数はどう決まりますか?
S45Cで10.0m/分、直径10mmでは318回転/分になります。超硬では3倍程度まで上げられます。
送りはどのくらいが適切ですか?
既定条件では0.25mm/回転です。ドリルより大きめに取るのがリーマの基本です。
ステンレスでは何を変えますか?
取り代をやや大きめにし、切削速度を半分程度に落とします。送りは止めないことが重要です。
超硬リーマとマシンリーマはどう使い分けますか?
量産で寿命を求めるなら超硬、単品や汎用機での加工では高速度鋼が扱いやすくなります。
深い穴ではどうしますか?
深さが直径の3倍を超えたら速度を2割程度落とし、切削油の供給経路を確保します。
穴の位置がずれている場合は?
リーマでは修正できません。センタもみやガイドドリルで方向を決め直す必要があります。