OTDR 距離換算の計算
OTDRの表示距離・設定屈折率・余長率・接続点の数から、補正後の光路長と管路上の距離、接続点の推定位置を算出します。
OTDR 距離換算の計算ツール
OTDRは光が戻るまでの時間から距離を計算するため、設定した屈折率が実際とずれていると表示距離も比例してずれます。補正後の光路長は表示距離×設定屈折率÷実際の屈折率で、既定値では2,450×1.4680÷1.4660=2,453.3m、差は3.34mです。接続点3か所の余長30mを引いた敷設長は2,423.3m、余長率3%を割り戻した管路上の距離は2,352.8m、接続点が均等なら1か所目までは588.2mとなります。
屈折率のずれが距離に与える影響(表示2,450m)
| 設定屈折率 | 実際が1.4660のとき | 差 |
|---|---|---|
| 1.4600 | 2,439.97m | −10.03m |
| 1.4660 | 2,450.00m | 0.00m |
| 1.4680 | 2,453.34m | +3.34m |
| 1.4750 | 2,465.04m | +15.04m |
敷設形態と余長率の目安
| 敷設の形態 | 余長率 | 備考 |
|---|---|---|
| 管路(直線が多い) | 1〜3% | マンホールでの余長は別途 |
| 管路(曲がりが多い) | 3〜5% | 蛇行の分が加わる |
| 架空(電柱間) | 3〜6% | 弛度の分が加わる |
| 屋内配線 | 5〜10% | 取り回しの余裕が大きい |
※参考計算です。規格・規程・メーカーの推奨条件は改定されるため、施工前に最新の資料と現場条件を確認してください。
OTDR 距離換算の計算の詳しい解説
OTDRが示す距離が実際のルート長と一致しないのは、測っているものが光の往復時間だからです。装置は設定された屈折率を使って時間を距離に換算するため、この値が実際のファイバと異なれば表示は比例してずれます。ずれは距離に比例して拡大し、数キロメートルの区間では十数メートルに達します。障害点の位置を特定する作業では、この数メートルの差がマンホール一つ分の違いになるため、ケーブルの成績書に記載された屈折率を設定に反映することが前提になります。
判断が分かれるのは余長の扱いです。ファイバはケーブルの中でわずかにより合わされており、ケーブル長よりファイバ長のほうが長くなります。さらに管路内での蛇行、マンホールでの巻き置き、成端箱内の収納分が加わります。これらをどこまで差し引くかで推定位置は数十メートル動きます。竣工時に接続点ごとの実測距離を記録しておけば、障害時にはその値との差分だけを見れば済むため、余長の推定に頼らずに位置を絞り込めます。
見落とされやすいのが測定側の誤差要因です。距離の確度は装置の仕様で規定されますが、実際にはサンプリング分解能とパルス幅の影響が加わります。パルス幅を広げると測定できる距離は伸びる一方で分解能が落ち、近接する二つの接続点が一つに見えるデッドゾーンが生じます。反射の大きいコネクタの直後は特に見えにくく、そこに障害があると検出できません。両端からの測定を突き合わせる方法が、片側からでは見えない事象を拾う手段になります。
敷設の形態による違いも大きく出ます。管路では余長率が数パーセントに収まりますが、架空区間では弛度の分が加わり、屋内では取り回しの余裕が1割近くになることもあります。同じ区間でも管路と架空が混在していれば、区間ごとに係数を変えて計算する必要があります。地図上の距離から求めた見込み値と測定値を突き合わせ、差が説明できない場合は図面と現地の食い違いを疑うのが実務的な進め方です。
記録の残し方も精度を左右します。パルス幅、平均化の回数、設定した屈折率、測定波長の四つは後から再現できるよう、波形データとともに保存してください。条件が違えば同じ区間でも表示は変わり、比較の基準になりません。
業界・現場での使い方
光ケーブルの障害点の特定
表示距離を補正して管路上の位置に換算し、掘削や点検の箇所を絞り込みます。
竣工時の測定記録
接続点ごとの距離を記録し、後日の障害対応の基準値として残します。
光配線の設計検証
図面上のルート長と測定値を突き合わせ、施工との食い違いを確認します。
保守の点検計画
接続点の推定位置から点検の順序と作業時間を見積もります。
よくある間違い・注意点
- 屈折率を初期設定のまま測定する — 実際のファイバと異なると距離が比例してずれ、長距離ほど誤差が拡大します。
- 表示距離をそのまま管路距離とする — 余長と成端箱内の収納分を差し引かないと、実際より遠い位置を示します。
- パルス幅を長くしたまま近距離を測る — 分解能が落ち、近接する接続点が一つに見えて位置を誤ります。
- 片側からの測定だけで判断する — デッドゾーンに入った事象は検出できないため、両端からの測定が確実です。
- 区間ごとの敷設形態の違いを無視する — 管路と架空が混在する経路では、余長率をまとめて掛けると誤差が出ます。
関連する規格・公的資料
- 経済産業省 — 電気事業法・電気設備技術基準
- 資源エネルギー庁 — 電力・省エネルギー
- 日本電気協会 — 内線規程・保安規程
- 日本電気技術規格委員会 — 民間電気技術規格
- 電気設備学会 — 電気設備の技術指針
- 日本電線工業会 — 電線・ケーブル
- 日本電機工業会 — 電気機器
- 日本産業標準調査会 — JIS規格
- 国土交通省 — 公共建築工事標準仕様書
- 日本冷凍空調工業会 — 冷凍空調機器
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
表示2,450mを屈折率補正すると何メートルですか?
設定1.4680・実際1.4660の条件で2,453.3m、差は3.34mです。
屈折率はどこで確認できますか?
ケーブルの成績書やメーカーの仕様書に記載されています。一般的な単一モードファイバでは1.466から1.468前後です。
余長率はどの程度を見込みますか?
管路で1〜3%、架空で3〜6%、屋内で5〜10%が目安です。区間ごとに使い分けます。
接続点の位置はどう推定しますか?
接続点が均等に配置されている前提であれば、管路距離を接続点数+1で割ります。既定条件では588.2mです。
測定誤差はどの程度ですか?
装置の距離確度に加えてサンプリング分解能が影響します。既定条件では±4.45m程度が目安です。
デッドゾーンとは何ですか?
反射が大きい箇所の直後で受光部が飽和し、事象を判別できない区間のことです。パルス幅を短くすると縮まります。
両端から測る意味はありますか?
片側では見えない接続点や、デッドゾーンに隠れた損失を検出できます。損失の値も平均して評価できます。
図面上の距離と大きく違う場合は?
余長の見込み違いのほか、経路変更や引き通しの追加が図面に反映されていない可能性があります。