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水準測量閉合差許容範囲測量

水準測量の閉合差と許容範囲・調整計算

【ご注意】このページの計算結果・情報は参考値です。正確性・最新性は保証できません。税務・法務・お金・設計・施工・安全などに関わる判断は、公式の資料と専門家の確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。免責事項

閉合差と路線長、水準測量の級を入れると、許容範囲(K√S)と合否、区間への配分量、同じ路線長での各級の許容値を算出します。往復観測の較差の点検、環閉合の判定、再測の要否判断に使います。

最終更新:2026-09-16/監修:計算ツールズ編集部

水準測量の閉合差と許容範囲・調整計算ツール

計算式

水準測量の閉合差の許容範囲は路線長の平方根に比例し、許容=K×√S(mm、S は km) で表します。K は級で決まり、往復観測値の較差では 1級 2.5、2級 5、3級 10、4級 20、簡易水準 40 が公共測量作業規程の準則に示された値です。既定値の 3級・路線長 2.4km では 10×√2.4=15.49mm が許容で、閉合差 8.5mm は許容の 55% に収まり合格です。

合格した閉合差は、各区間の距離に比例して符号を逆にして配分します。等距離とみなして 6区間に配分すれば 1区間あたり −8.5/6=−1.42mm です。同じ路線長でも 1級なら許容は 3.87mm、2級なら 7.75mm なので、この観測は 3級として合格でも 2級には届かない、という読み方ができます。

級別の許容範囲(往復観測値の較差・K√S mm)

級K主な用途主な器械
1級水準測量2.5mm√S国の水準点網・沈下観測の基準1級レベル・1級標尺(インバール)
2級水準測量5mm√S公共測量の基準水準点1級または2級レベル
3級水準測量10mm√S工事用の水準点・河川測量2級または3級レベル
4級水準測量20mm√S細部の高さ・簡単な工事3級レベル
簡易水準測量40mm√S概略の高さ3級レベル・ハンドレベル

※環閉合差や既知点間の閉合差には別の係数が定められています。実際の判定は公共測量作業規程の準則の該当表で確認してください。

路線長別の許容範囲(mm)

路線長1級2級3級4級簡易
0.5km1.83.57.114.128.3
1km2.55.010.020.040.0
2.4km(既定値)3.97.715.531.062.0
5km5.611.222.444.789.4
10km7.915.831.663.2126.5

閉合差を大きくする主な原因と対策

原因影響対策
前視と後視の視準距離が不等視準軸誤差と球差・気差が残る前後視の距離を等しくする(歩測でも可)
標尺・器械の沈下片方向に系統的に効く標尺台を使う・往復観測で相殺
標尺の零点誤差奇数回の据付で残る据付回数を偶数にする・2本を交互に
気泡の合わせ不足・整準不良読みが数mm ずれる自動レベルでもコンペンセータの範囲内に整準
標尺の傾き・目盛誤差高いほど大きく効く水準器付き標尺・定数の検定
陽炎・大気の揺らぎ読みが安定しない視準距離を短くする・地面近くを避ける

※本ツールは計算式による参考計算です。公共測量・登記測量の成果は、公共測量作業規程の準則および国土地理院の公式計算・成果に従ってください。

水準測量の閉合差と許容範囲・調整計算の詳しい解説

水準測量の精度点検は、往復で測った高低差の食い違い(較差)や、環状に測って出発点に戻ったときの閉合差を、路線長で決まる許容範囲と比べることで行います。許容範囲が路線長の平方根に比例するのは、1回ごとの読みの誤差が独立に生じ、据付回数が路線長に比例して増えるためで、n 回の据付の誤差は √n に比例して積み上がるという統計の性質から来ています。したがって長い路線ほど絶対値としては大きな閉合差が許され、1km あたりの精度で比べれば同じ水準になります。

級の区分は目的と器械で決まります。1級は国の水準点網や地盤沈下観測のように mm 未満の精度を要する測量で、インバール標尺と 1級レベルを使い、往復の較差は 2.5mm√S に抑えます。公共測量で工事の基準に使う水準点は 2級か 3級、細部の高さや簡単な工事は 4級、概略なら簡易水準です。準則には往復観測値の較差のほかに、環閉合差や既知点間の閉合差の許容も別に定められており、係数が少し違うので、どの点検をしているかに応じて該当する表を見る必要があります。

許容内に収まった閉合差は消してから成果にします。配分は各区間の距離に比例させるのが原則で、閉合差の符号を逆にした量を距離の比で割り振ります。据付回数が分かっていれば回数比で配分することもあります。このツールは区間を等距離として 1区間あたりの配分量を示していますが、区間長が大きく違う路線では、区間長×(−閉合差÷全路線長)で個別に計算してください。配分後は各点の標高を順に足し直し、最後の点が既知の値に戻ることを確かめます。

閉合差が許容を超えたときは、どの区間で誤差が入ったかを推定してから再測します。往復の較差が大きい区間が特定できればその区間だけを測り直せますが、片道しか測っていない環閉合では場所を絞れないので、視準距離が長い区間や地盤の軟らかい区間から疑うのが経験則です。標尺の零点誤差は据付回数が奇数のときに残るので、区間ごとの据付回数を偶数にしておく習慣が閉合差を小さくします。前視・後視の距離を等しく保つことは、視準軸の傾きと地球の曲率・大気の屈折の影響を同時に消す最も効果の大きい対策です。

数字の読み方にも注意があります。許容に対する使用率が 90% を超えている観測は、合格していても系統誤差が疑われるので、器械の点検や視準距離の見直しをしてから次の路線に進むのが安全です。逆に、使用率が数%と不自然に小さい観測が続く場合は、点検が形骸化していないか、往復で同じ読みを使い回していないかを疑います。閉合差は精度の証明であると同時に、観測の健全性を映す鏡でもあります。

別の条件での計算例

1級水準測量で路線長 3.6km を往復し、較差が −4.2mm だったとします。許容は 2.5×√3.6=4.74mm なので合格ですが、使用率は 89% で余裕は 0.5mm しかありません。同じ観測を 2級として扱えば許容 9.49mm、3級なら 18.97mm なので、精度の階段でいえば 1級の下限ぎりぎりです。このような結果が続くときは、標尺の定数検定、前後視距離の管理、陽炎の出る時間帯の回避など、系統誤差の対策を先に打ってから次の路線に進みます。配分は 9区間なら 1区間あたり +0.47mm(−4.2mm の符号を逆にして 9 で割る)で、区間長が違えば距離比で割り振ります。4級の現場作業なら許容 37.9mm に対して 4.2mm は十分な余裕で、再測の判断も器械の点検も不要という読み方になります。

業界・現場での使い方

工事用水準点の設置

既知の水準点から往復観測し、3級の許容内であることを記録して現場の高さの基準にします。

地盤沈下・構造物の変位観測

1級・2級の精度で環閉合を組み、閉合差の推移で観測網の健全性を管理します。

河川・道路の縦断測量

路線長が長くなるので許容も大きくなりますが、区間ごとの較差で異常区間を早く見つけます。

再測の判断と範囲の絞り込み

往復較差の大きい区間を特定して部分再測し、全線再測の手戻りを減らします。

よくある間違い・注意点

  • 路線長を m のまま √ に入れる — S は km です。2,400m を 2,400 として計算すると許容が 30倍以上に膨らみます。
  • 往復較差と環閉合差の係数を混同する — 準則では別の表です。どの点検かを確認してから係数を選びます。
  • 閉合差を配分せずに成果にする — 許容内でも閉合差は消してから標高を確定します。距離比で配分します。
  • 前視・後視の距離を揃えない — 視準軸誤差と球差・気差が残り、片方向に系統的に効きます。
  • 使用率 90% 超を気にしない — 合格でも系統誤差の兆候です。器械点検と視準距離の見直しをしてから続けます。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

閉合差の許容範囲はどう計算しますか?

K×√S(mm)で S は km です。3級・2.4km なら 10×√2.4=15.49mm です。

級ごとの K はいくつですか?

往復観測値の較差で 1級 2.5、2級 5、3級 10、4級 20、簡易 40 です。環閉合差などは別の係数です。

閉合差はどう配分しますか?

符号を逆にして各区間の距離に比例させます。等距離なら区間数で割り、既定値では 1区間 −1.42mm です。

許容を超えたらどうしますか?

往復較差の大きい区間から再測します。視準距離が長い区間や軟弱地盤の区間を疑います。

前視と後視の距離を等しくするのはなぜですか?

視準軸の傾きと地球の曲率・大気の屈折の影響が前後で相殺されるためです。

据付回数を偶数にする理由は?

2本の標尺の零点誤差が奇数回では残り、偶数回では相殺されるためです。

同じ観測が 2級として合格するか分かりますか?

同じ路線長での各級の許容を表示しています。既定値では 2級の許容 7.75mm に対して 8.5mm なので不合格です。

路線長はどう測りますか?

往路の水平距離の合計です。歩測やスタジア、GNSS の概略値で十分です。

使用率とは何ですか?

閉合差の絶対値を許容範囲で割った割合です。90% を超える観測は系統誤差を疑います。