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AWS月額試算|EC2/RDS/S3の主要3サービスを組合せ即算出、割引スキーム・隠れ費用・稟議書実務

AWS月額をEC2・RDS・S3の主要3サービスから試算する実務ツール。EC2 t3.medium=約$30/月、RDS db.t3.medium=約$60/月、S3標準=$0.023/GBを基準にリソース数を入力すると即座に月額を算出。実運用ではこれにデータ転送料($0.114/GB Outbound)・Elastic IP・CloudWatch・Route53・NAT Gateway・ELB等の隠れ費用が加算されます。リザーブドインスタンス(1年30%/3年60%割引)・Savings Plans・Spot・GCP/Azureとの比較、稟議書作成、Cost Explorer/Budgets運用まで解説します。

最終更新:2026-07-29/監修:計算ツールズ編集部

AWS月額試算 計算機

主要サービスの単価と計算式

基本式

月額合計 = EC2費 + RDS費 + S3費 + 隠れ費用
EC2費 = t3.medium台数 × $30/月
RDS費 = db.t3.medium台数 × $60/月
S3費 = GB × $0.023/月

2024-2025年 東京リージョン参考単価

サービス単位単価(東京)備考
EC2 t3.small時間$0.0272約$20/月
EC2 t3.medium時間$0.0544約$40/月(本ツールは$30簡便値)
EC2 t3.large時間$0.1088約$80/月
EC2 m5.large時間$0.124約$90/月・汎用型
EC2 c5.large時間$0.107約$78/月・計算最適化
RDS MySQL db.t3.medium時間$0.096約$70/月(本ツールは$60簡便値)
RDS MySQL db.m5.large時間$0.20約$146/月
Aurora MySQL Serverless v2ACU/時$0.12/ACU使用量課金
S3 StandardGB/月$0.025本ツールは$0.023簡便値
S3 Intelligent-TieringGB/月$0.023-0.0125アクセス頻度で自動階層化
S3 Glacier FlexibleGB/月$0.0045長期アーカイブ

見落とされる隠れ費用

データ転送料(Outbound)

AWSからインターネットへの下り転送で$0.114/GB(東京リージョン、月10TB超で階層割引)。動画配信・大量データDL・S3公開のあるサイトでは、EC2費用より高くなるケースも珍しくありません。CloudFront経由で単価$0.114→$0.114(同等)ですが、Freeプラン1TB/月あり。

Elastic IP(未使用時)

EC2に紐付いていないElastic IPは$0.005/時(月$3.6)で課金。停止したEC2でも1個あたり$3.6/月と少額ながら見落としで、複数開発環境で数十$/月になる要因です。

NAT Gateway

プライベートサブネットからインターネットへの通信に必須。$0.062/時($45/月)+ 処理データ$0.062/GB。VPC設計で複数AZに配置すると月$135以上に。VPCエンドポイントでS3/DynamoDBの一部通信をコストゼロ化可能。

CloudWatch Logs/Metrics

ログ取り込み$0.76/GB、保管$0.033/GB/月。EKS・Lambdaの高頻度出力で月数千$になる事例あり。カスタムメトリクス$0.30/メトリクス/月も塵つも要注意。

Route 53

ホストゾーン$0.50/月/ゾーン、クエリ$0.40-0.60/百万件。EC2費用比では小さいが、複数ドメイン運用のSaaSでは30ドメインで$15/月と積み上がります。

ELB / ALB

Application Load Balancerは$0.0243/時+ $0.008/LCU-時で、月$25-50。SSL証明書はACMで無料ですが、ELBを立てるだけで最低$18/月かかります。

EBS Volume(アタッチ済/未アタッチ)

gp3ボリューム$0.096/GB/月。停止したEC2でもEBSは課金継続で、削除忘れが積み上がる代表例。月次にEBS棚卸が推奨。

スナップショット・バックアップ

EBSスナップショット$0.05/GB/月。自動バックアップの世代を長く保持すると数百$/月に。ライフサイクルポリシーで古いスナップショット自動削除が定石。

割引スキーム

リザーブドインスタンス(RI)

1年契約で約30%割引、3年契約で約60%割引(Standard RI、全額前払いの場合)。EC2・RDS・ElastiCache・DynamoDB Reserved Capacity等に適用。定常負荷のワークロードには実質必須の割引で、稟議承認1本で数百万円のコスト削減が可能。

Savings Plans

Compute Savings Plans(EC2/Fargate/Lambda対応・柔軟)とEC2 Instance Savings Plans(EC2限定・高割引)の2種。1年契約で27-66%割引、3年で最大72%。RIより柔軟でリージョン・OSの変更が可能なため、2024年以降はSavings Plans推奨。

Spot Instance

オンデマンドの最大90%割引。中断リスクあり(2分前通知)で、バッチ処理・機械学習訓練・CI/CD等の中断許容ワークロードに有効。EKS/ECSでスポット比率を段階指定するのが実務ベストプラクティス。

Enterprise Discount Program (EDP)

大企業(年間$100万以上のAWS利用)は個別交渉で5-15%の追加割引が可能。3年コミット・成長率コミットで割引率が上がります。営業窓口はAWSアカウントマネージャー経由。

GCP・Azureとの単価比較

スペックAWS EC2GCP ComputeAzure VM
2vCPU/4GB/月(オンデマンド)$40(t3.medium)$36(e2-medium)$42(B2s)
2vCPU/8GB/月(汎用)$90(m5.large)$85(n2-standard-2)$88(D2s v5)
4vCPU/16GB/月(本番想定)$180(m5.xlarge)$170$175
マネージドMySQL 2vCPU/4GB$70(RDS db.t3.medium)$65(Cloud SQL db-n1-standard-1)$68(MySQL Flexible)
オブジェクトストレージ標準/GB$0.025(S3)$0.020(Cloud Storage)$0.0184(Blob Hot)
下り転送/GB$0.114$0.11-0.12$0.087
3年RI割引率60-72%57%(CUD)60-72%

GCPはやや安い傾向、Azureはストレージ・下り転送が安い傾向。単純価格だけで選ばず、Terraform/SDKの成熟度・BigQuery/Redshift/Synapse等の分析基盤・組織既存契約で総合判断するのが実務です。

構成例・実務ユースケース

スタートアップMVP

EC2 t3.small×1 + RDS db.t3.micro×1 + S3 10GB。合計$40/月程度。CloudFront+ S3 静的サイトで済むケースは$5/月以下も可能。Freeプランを組み合わせれば初年度は極めて安価。

中小SaaS(月間UU 1万)

EC2 m5.large×2 + RDS db.m5.large×1 + S3 100GB + ELB + CloudFront。合計$400-600/月。RIで$280-420まで下げる余地。

中規模EC・メディア

EC2 m5.xlarge×4 + RDS Aurora db.r5.large×2 + S3 1TB + CloudFront 5TB配信。合計$2,000-3,500/月。Savings Plansで$1,400-2,500まで最適化。

データ分析基盤

Redshift RA3.large×2 + S3 Data Lake 10TB + Glue + Athena。合計$5,000-15,000/月。Redshift Reserved Nodesで大幅削減、Athenaはクエリ量で変動。

機械学習トレーニング

GPU EC2 p3.2xlarge / g5.xlarge Spot利用。時間$0.5-3。Spot 70-90%割引で本番オンデマンドの1/5-1/10コスト。SageMaker Managed Spot Trainingが便利。

災害復旧(DR)環境

Pilot Light構成でDBのみ稼働・EC2は最小Autoscaling。本番の10-30%コストで災害時数十分でスケールアップ。Warm Standbyだと本番の50-70%コスト。

FinOps・原価管理

タグベース原価管理

全リソースにEnvironment(prod/stg/dev)、Project、Owner、CostCenterタグを付与し、Cost Explorer/Cost and Usage Reportで部門別・プロジェクト別コストを可視化。タグなしリソースはガードレール(Service Control Policy)で作成禁止に。

AWS Budgets

月次予算・予算超過アラート・アクション(IAM制限、EC2停止)を設定可能。予算80%到達で通知、100%で自動停止のガードレールで暴走防止。無料枠内で利用可能。

Trusted Advisor / Cost Optimization Hub

放置EIP、低使用率EC2、未接続EBS、旧世代インスタンス、Savings Plans購入推奨等を自動検出。Businessサポート契約でフル機能利用可、月次棚卸のインプットに最適。

Right Sizing

CloudWatch Container Insights・Compute Optimizerで実測CPU/メモリ使用率を確認。使用率20%未満のインスタンスは1サイズダウン候補。月次で20-40%のコスト削減が達成できる定石。

よくある間違い・注意点

  • 本ツールの簡便単価を鵜呑み — EC2 t3.medium=$30は簡便値で、実際の東京リージョンは約$40/月。RIやSPs適用時の実額とも異なります。稟議・予算策定にはAWS Pricing Calculatorで精緻試算してください。
  • データ転送料を無視 — 動画配信・大量DL用途では、下り転送料がEC2費用を超えるケースあり。$0.114/GB × 月10TB = $1,140の隠れ費用。CloudFront経由でも同等の単価ですが、無料枠1TBあり。
  • 停止≠課金停止 — EC2停止でも、Elastic IP・EBS・スナップショットは課金継続。「開発環境を夜間停止」だけでは削減50-60%程度で、EBS・EIP見直しが必要です。
  • リザーブド購入後の解約不能 — 1年/3年RIは基本的に途中解約不能で、事業縮小時に「使わないRI」の在庫を抱えるリスクあり。Savings Plans(Compute型)の方が柔軟で、2024年以降はSP推奨。
  • Auto Scaling未設定 — 常時最大負荷を想定したインスタンス構成は過剰スペック。Auto Scalingで需要変動に追従することで、月次30-50%のコスト削減余地があります。
  • マルチAZの過剰設計 — 全環境をマルチAZ化するとコスト倍増。本番環境のみマルチAZ、開発/検証はシングルAZで十分な設計判断が必要です。
  • アカウント数の増加による見落とし — 部門別・環境別にAWSアカウントを増やすと、各アカウントのRoute53・NAT・EIPが重複課金。AWS Organizationsで一元管理し、共通基盤を組織アカウント化するのが定石。
  • 為替リスクを無視 — AWSは基本USD建てで、1ドル110円→150円で日本円コスト36%増。円決済プランへの切替や、大手SIer経由の円建て請求への切替を検討してください。

関連指標・SLA/SLO

  • SLA(Service Level Agreement) ― AWSのサービス可用性保証。EC2/RDSは99.99%、S3は99.9%(標準)。
  • SLO(Service Level Objective) ― 自社サービスの目標可用性。SLAより厳しく設定。
  • RTO(Recovery Time Objective) ― 障害復旧目標時間。DR設計の中核指標。
  • RPO(Recovery Point Objective) ― 障害時許容データロス量。バックアップ設計の指標。
  • MTTR(Mean Time to Recovery) ― 平均復旧時間。運用体制の評価。
  • MTBF(Mean Time Between Failures) ― 平均故障間隔。信頼性指標。
  • FinOps ― Finance + DevOps。クラウドコスト最適化の運用手法。FinOps Foundationが標準化。

参考文献・公式資料

AWSコスト管理と実務の公式リファレンスは以下から確認できます。

※本ページの単価は東京リージョン2024年時点の代表例に基づく簡便値です。実際の請求額は、リージョン・インスタンスファミリー・OS・ライセンス・データ転送・オプション機能・為替レートで変動します。稟議書・予算策定・契約判断ではAWS Pricing Calculatorおよびアカウントマネージャー経由の見積書を必ず併用してください。RI/SPs購入は基本的に途中解約不能のため、需要変動リスクを織り込んだ購入判断が必要です。

よくある質問(FAQ)

リザーブドインスタンスの割引率は?

1年契約で約30%割引、3年契約で約60%割引(Standard RI、全額前払い)。1年一部前払いで28%、3年一部前払いで52%程度。RIの前払い形態(All Upfront / Partial / No Upfront)で割引率が変わります。

AWS無料枠(Free Tier)は?

新規アカウント作成から12ヶ月間、EC2 t2.micro 750時間/月・RDS db.t2.micro 750時間/月・S3 5GB等が無料。永久無料枠としてLambda 100万リクエスト/月・DynamoDB 25GB等もあり、検証・小規模アプリには十分。詳細はAWS Free Tier公式ページで確認を。

予算超過を防ぐには?

AWS Budgetsで予算アラートを設定(80%到達で通知、100%でアクション)。予算超過時にEC2停止・IAMポリシーで新規リソース作成禁止する仕組みが可能。Cost Explorerでの日次モニタリングと組み合わせるのが実務標準です。

データ転送料はどう抑える?

CloudFrontの無料枠1TB活用・VPCエンドポイントでS3/DynamoDB通信をコストゼロ化・同一AZ内通信は無料。設計時からリージョン内通信を最大化し、下り転送を最小化するアーキテクチャがコスト最適解です。

Savings PlansとRIどちらが有利?

2024年以降はCompute Savings Plansが推奨。RI相当の割引率で、リージョン・OS・インスタンスファミリー変更が可能で柔軟。中長期のEC2/Fargate/Lambda利用に汎用的に適用可能。RIはインスタンス予約枠として明確な用途にのみ選択。

Spotインスタンスのリスクは?

2分前通知での強制中断が最大リスク。バッチ処理・機械学習訓練・CI/CD等の中断許容ワークロードにのみ適用。ステートレス設計・チェックポイント保存・EKS/ECSでのマルチアベイラビリティゾーン分散が中断緩和の定石です。

マルチAZ構成は必要?

本番環境のRDS・重要EC2のみマルチAZが実務推奨。全環境をマルチAZ化するとコスト倍増で費用対効果が悪化。開発・検証・DR pilot lightはシングルAZで十分。SLA 99.99%が必要なサービスにはマルチAZ必須です。

コスト最適化ツールは?

AWS Cost Explorer(無料)・Trusted Advisor(Business契約以上)・Compute Optimizer(無料)が公式。サードパーティではCloudHealth・Densify・Kubecost(K8s向け)などが有名。FinOpsチームの構築と月次レビューが最も効果的。

大企業向けの追加割引は?

年間$100万以上の利用でEDP(Enterprise Discount Program)が交渉可能。3年コミット・成長率コミットで5-15%の追加割引。営業窓口はAWSアカウントマネージャー経由で、契約前に必ず問い合わせを。

為替リスク対策は?

USD建て請求が基本のため、円決済プラン(一部大手SIer経由)で円建て化するか、財務でヘッジ取引を実施。150円/$から180円/$に変動すると年間コストが20%増となるため、大規模利用企業では為替ヘッジが実務。

GCP・Azureへの移行は割に合う?

単純価格差5-15%のためだけの移行は非推奨。移行コスト・運用ノウハウ・エコシステム連携で総合判断すべき。特定用途(BigQuery分析・O365統合等)で他クラウドの方が有利なケースは、マルチクラウド戦略で併用が実務です。

Kubernetes(EKS)のコストは?

EKSコントロールプレーン$73/月/クラスタ + Worker Node(EC2)代金 + データ転送が基本。Fargate(サーバレス)は柔軟だが単価高、EC2 Managed Node Group + Spotで大幅節約。Kubecostでポッド別コスト可視化が定石です。

予算オーバーの請求書が来たら?

AWSは「Bill Adjustment Request」経由で誠実な事情説明で減額対応するケースがあります(不正アクセス被害、設定ミス初回等)。Support Center経由でチケット起票し、原因究明と再発防止策を提示すると、月次請求の一部返金が認められる事例あり。

個人開発でAWSを安く使うコツは?

無料枠フル活用(Lambda・DynamoDB・S3・CloudFront)+ サーバレスアーキが最強。EC2を立てずに、Amplify+ AppSync+ DynamoDBで月$0-5で個人サービス運用可能。学習用にはLightsailの$5/月固定料金プランも便利です。

AWS認定資格は必要?

実務に必須ではありませんが、Solutions Architect Associate/Professionalは業界標準として広く認知され、転職・案件参画で優遇されます。学習過程でAWSサービス群の網羅的な知識を得られる副次効果もあり、実務者にも推奨です。

セキュリティ・コンプライアンスにかかるコスト

サービス月額目安用途
AWS WAF$5-100+Webアプリ攻撃防御
AWS Shield Advanced$3,000/月大規模DDoS防御・SLA保証
GuardDuty$30-500脅威検知・ログ分析
Security Hub$30-200コンプライアンス自動監査
AWS Config$50-500構成変更履歴・監査
CloudTrail$2-100API呼び出しログ
Certificate Manager無料SSL/TLS証明書
KMS$1-30暗号鍵管理
Secrets Manager$0.4/シークレット/月認証情報管理
Inspector使用量課金脆弱性スキャン

オンプレからAWSへの移行判断

TCO(総所有コスト)比較

オンプレはハードウェア調達3-5年減価償却+ 保守料+ データセンター費+ 人件費、AWSはOPEX。5年累計で比較すると、AWSは初期投資ゼロの利点で中小規模に有利。大規模定常負荷はオンプレの方が安価な場合も。

6R戦略(AWS Migration Framework)

Rehost(Lift & Shift)・Replatform・Repurchase・Refactor・Retire・Retain。用途により最適選択。単純Liftはコスト効果が限定的で、Refactorでのマネージド活用がTCO最適解。

データセンター撤退効果

ラック賃料・電力・空調・物理保守・警備等、1ラック月30-100万円の直接費削減。人件費(サーバ運用エンジニア)も削減可能。IPO準備・投資家評価でクラウド化が評価される点も。

セキュリティ・コンプライアンス

AWSはISMAP・PCI DSS・HIPAA・ISO 27001等の認証取得済み。金融FISC・医療3省2ガイドラインもガバナンス設計次第で対応可能。オンプレより効果的なDDoS対策・監査ログが標準装備。

コスト最適化のアーキテクチャパターン

パターンコスト効果用途
サーバレス(Lambda + API Gateway + DynamoDB)従量課金・変動負荷に最強マイクロサービス・APIバックエンド
Fargate(コンテナサーバレス)EC2管理不要・スケール自動コンテナ化Webアプリ
Aurora Serverless v2DB使用量課金変動アクセスのDB
Spot EC2(バッチ)最大90%割引ML訓練・動画エンコード・データ処理
S3 + CloudFront + Lambda@Edgeサーバ不要・エッジ配信静的サイト・SPA
Reserved / Savings Plans定常負荷で30-72%割引本番Webサーバ・DB
Auto Scaling + Predictiveピーク時のみスケール時間変動のあるサービス