Wi-Fi 6速度
チャネル幅とストリーム数から、Wi-Fi 6の理論値と実効スループットを試算します。
Wi-Fi 6速度ツール
計算式と考え方
理論値は「チャネル幅ごとの1ストリーム速度 × ストリーム数 × 変調方式の係数」で求めます。160MHzの1ストリームは1024-QAMで1,201Mbpsとされ、2ストリームでは2,402Mbpsです。実効値はここにプロトコル効率と減衰を掛けます。距離5mで1mあたり5%、壁1枚で20%とすると減衰後の係数は0.55、減衰率は45%です。効率55%を掛けると約726.6Mbpsとなり、8台で割ると1台あたり約90.8Mbpsです。5GBの転送には約55.05秒かかります。
Wi-Fi 6の主な仕様
| 最大速度 | 160MHz・8ストリームで9.6Gbps。家庭用機器は2〜4ストリームが中心 |
|---|---|
| OFDMA | 1回の送信を複数端末で分け合う。小さなデータを扱う端末が多い環境で効く |
| MU-MIMO | 複数端末へ同時に送信する。上りにも対応した |
| TWT | 端末の起床時間を調整して消費電力を下げる。IoT機器の電池寿命に効く |
Wi-Fi 6速度の詳しい解説
Wi-Fi 6の理論値として示される9.6Gbpsは、160MHz幅で8ストリームを使い、最も効率のよい変調方式が成立する条件での数値です。家庭用のルーターと端末は2ストリームから4ストリームが中心で、スマートフォンの多くは2ストリームです。ルーターが4ストリーム対応でも、端末が2ストリームなら通信は2ストリーム分で成立します。つまり実際の速度は、ルーターと端末のうち少ないほうのストリーム数で決まります。カタログ値の比較では、この点が見落とされがちです。理論値から実効値までの落差は二つの要因で生まれます。第一はプロトコル上のオーバーヘッドで、宛先情報、誤り訂正、再送、他の端末との調停に帯域が使われます。実測での効率は50%から60%程度になるのが通常です。第二は電波の減衰です。距離が伸びるほど、また壁や床を通るほど信号は弱まり、弱い信号では効率の低い変調方式へ自動的に切り替わります。1024-QAMは強い信号がある近距離でしか成立せず、距離が離れると256-QAMや64-QAMへ落ちて速度が下がります。速度が出ない場合に出力の高いルーターへ買い替えるより、設置位置を見直すほうが効果的なのはこのためです。Wi-Fi 6の本質的な改善は、最大速度よりも多数の端末が同時につながる環境での効率にあります。OFDMAは1回の送信機会を周波数方向に分割し、複数の端末へ同時にデータを届ける仕組みです。従来は1端末ずつ順番に送っていたため、小さなデータを扱う端末が多いと待ち時間が積み上がりました。OFDMAはこの待ち時間を減らし、端末数が多い環境で体感の応答性を改善します。BSSカラーリングは、近隣の別ネットワークからの電波を識別して不要な待機を減らす仕組みで、集合住宅のように電波が密集する環境で効果を発揮します。TWTは端末の通信タイミングを事前に取り決めて起床時間を短くする仕組みで、IoT機器の電池寿命を延ばします。実務で見落とされやすいのは、回線側の上限です。Wi-Fiが1Gbps出ていても、契約している回線が1Gbpsであれば、外部との通信はそこが上限になります。宅内のファイル転送や録画機器へのアクセスではWi-Fiの速度が効きますが、インターネット利用では回線とルーターの有線ポートの速度が制約になります。また160MHz幅は利用できるチャネルが限られ、気象レーダーとの干渉を避けるための待機や切り替えが発生する帯域が含まれます。安定性を優先して80MHz幅を選ぶという判断もあり、環境によってはそのほうが実効速度が安定します。周辺の電波環境を確認したうえで幅を決めることが望まれます。
業界・現場での使い方
機器選定
ストリーム数とチャネル幅を変えて期待できる速度を比較します。
設置位置の検討
距離と壁の枚数を変えて減衰の影響を確認します。
同時利用の見積
接続台数から1台あたりの速度を確認し、用途に足りるか判断します。
よくある間違い・注意点
- ルーターのカタログ値をそのまま期待する — 端末側のストリーム数が上限になります。少ないほうの値で決まります。
- 速度が出ない原因を出力に求める — 減衰により変調方式が落ちていることが多く、設置位置の見直しが効きます。
- 回線速度を考慮しない — インターネット利用では契約回線が上限です。Wi-Fiだけ速くしても改善しません。
関連する規格・法規
- 総務省
- TCP/IP標準
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
実効速度は理論値のどのくらいですか。
プロトコル上のオーバーヘッドにより50〜60%程度になるのが通常です。ここに距離と壁の減衰が加わります。
160MHz幅は必ず速いですか。
利用できるチャネルが限られ、干渉回避の切り替えが起きる帯域を含みます。環境によっては80MHz幅のほうが安定します。
Wi-Fi 6にすると何が変わりますか。
最大速度より、多数の端末が同時に接続する環境での効率と応答性の改善が主な利点です。