施設トマト単収
栽培面積と作型から、施設トマトの収量と経営収支を試算します。
施設トマト単収ツール
計算式と考え方
総収量は「面積 ÷ 10a × 10aあたり収量 × 作型の係数」で求めます。30a・10aあたり25t・促成なら75tです。単価は秀優品が75%、それ以外を6割の値段として加重すると1kgあたり315円となり、販売金額は約2,363万円、10aあたりでは約788万円です。経営費は暖房費を含めて10aあたり470万円で、30aでは1,410万円ですから、農業所得は約953万円、所得率は約40%になります。労働時間は10aあたり2,000時間で合計6,000時間となり、1時間あたりの所得は約1,588円です。
作型と収量の目安
| 促成(長期多段どり) | 10aあたり20〜35t。加温が必要で暖房費が大きいが、単価の高い時期に出荷できる |
|---|---|
| 半促成 | 10aあたり17〜25t。加温期間が短く暖房費を抑えられる |
| 抑制(夏秋どり) | 10aあたり12〜20t。加温をほぼ要しないが、出荷期が集中し単価は下がりやすい |
| 露地栽培 | 10aあたり5〜8t。設備投資は小さいが天候の影響を直接受ける |
施設トマト単収の詳しい解説
施設トマトの単収は、栽培の方式と環境制御の水準によって大きく変わります。一般的な促成栽培では10aあたり20tから25tという水準が多く見られ、環境制御を高度に行う経営では30tを超え、大規模な統合環境制御では50tに達する例も報告されています。この差を生むのは、二酸化炭素の施用、日射量に応じた養液の供給、温度と湿度の同時制御といった要素で、いずれも設備投資と技術の蓄積を要します。単収を追うほど設備費と電力費が増えるため、収量の増加分が費用の増加分を上回るかを事前に検討する必要があります。単価の面では、出荷時期と品質による差が大きく働きます。冬から春にかけては出荷量が減るため単価が上がり、夏から秋にかけては露地物の出回りで下がります。促成栽培が加温費をかけてでも成立するのは、この時期による単価差があるためです。加えて、糖度を高めた栽培では通常の数倍の単価がつくことがありますが、糖度を上げるには水分を絞る必要があり、その分だけ収量が落ちます。収量と単価の積で判断しなければ、方向を誤ります。経営費の内訳では、暖房費の比重が特徴的です。促成栽培では経営費の2割前後を占めることがあり、燃料価格の変動が所得を直接左右します。ヒートポンプの導入や多層被覆、循環扇による温度むらの解消といった省エネの取り組みは、収量に直接寄与しないため後回しにされがちですが、燃料価格が高い局面では所得への効果が大きく表れます。国や自治体の補助制度が用意されることがあり、導入時期の判断に影響します。労働時間も経営の制約になります。施設トマトは10aあたり年2,000時間前後の労働を要するとされ、誘引、摘葉、収穫、選別といった作業が連続します。規模を広げるほど雇用が必要になり、人件費と管理の負担が増えます。誘引資材の工夫や収穫台車の導入、選別の外部委託といった省力化の手段を組み合わせないと、面積の拡大が所得の増加につながらない場面が生じます。販路の設計も所得を左右します。市場出荷は数量をまとめて処理できる一方で単価は相場に従います。直売や契約栽培では単価を安定させやすいものの、規格外品の処理や納品の手間が増えます。加工用への仕向けや、規格外品を用いた加工品の販売は、廃棄率を下げて実質的な単価を引き上げる手段になります。どの組み合わせが適するかは、面積、労働力、地域の需要によって変わるため、自らの条件に照らした検討が必要です。
業界・現場での使い方
収支の把握
作型と面積に応じた販売金額と農業所得を確認します。
作型の比較
促成と抑制で収量と単価がどう変わるかを比較します。
省力化の検討
労働1時間あたりの所得から、規模と作業体系の妥当性を判断します。
よくある間違い・注意点
- 単収だけを目標にする — 収量を追うと設備費と電力費が増えます。増収分が費用増を上回るかの確認が必要です。
- 暖房費を経営費に含めずに見積もる — 促成栽培では経営費の2割前後を占めます。燃料価格の変動が所得を直接左右します。
- 規格外品を計算から外す — 実際には一定割合が発生します。安い単価での販売か加工利用を前提に見積もってください。
関連する規格・法規
- 農水省
- JAS規格
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
10aあたりの収量はどのくらいですか?
促成栽培で20〜25tが一般的な水準です。環境制御を高度に行う経営では30t以上の例もあります。
暖房費はどのくらいかかりますか?
促成栽培では10aあたり年80〜120万円という水準が示されることがあります。燃料価格で変動します。
糖度を上げれば所得は増えますか?
単価は上がりますが水分を絞る分だけ収量が落ちます。収量と単価の積で判断する必要があります。