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間伐林業森林経営施業計画

間伐率・残存本数 計算ツール|施業計画・搬出材積・収穫予測

現存本数(ha当り)・間伐率・平均材積・立木単価から残存本数・搬出材積・粗収穫金額を即算出。定量間伐・定性間伐・列状間伐の3方式、林野庁「森林経営計画」の間伐標準率、スギ・ヒノキの密度管理図に基づく相対幹距比Sr(=1.2〜2.0)の推奨帯、J-クレジット・森林環境譲与税との関係まで、実務者・自伐林家・森林組合の施業計画づくりに直結する情報を提供します。

最終更新:2026-08-08/監修:計算ツールズ編集部

間伐率・残存本数計算機

計算式と用語

基本式

残存本数 = 現存本数 × (1 − 間伐率)

搬出材積 = 現存本数 × 間伐率 × 平均材積

粗収穫金額 = 搬出材積 × 立木単価

例えば1,500本/haで25%間伐、平均材積0.30m³/本の場合、残存1,125本/ha、搬出112.5m³/ha。立木単価4,500円/m³なら粗収穫金額50万6,250円/ha。ただし伐倒・造材・集材・運材の作業経費(素材生産費、通常3,000〜8,000円/m³)を差し引いた「山土場渡し立木代金」で林家収入は評価します。

間伐率の定義

本数間伐率(本数を基準)と材積間伐率(材積を基準)の2種類があります。本数間伐率25%でも、大径木を優先的に伐る「上層間伐」では材積間伐率が40%を超えることがあり、逆に小径木優先の「下層間伐」では材積率が10%程度に留まります。森林経営計画では材積率で管理するのが一般的です。

相対幹距比 Sr

Sr = √(10,000 / N) / H × 100

Nは本数(本/ha)、Hは平均樹高(m)。Sr=1.5〜2.0が健全林の目安で、それ以下(過密)では枯損や病虫害発生、それ以上(疎開)では下層植生発達で生産性低下。スギ人工林ではSr=1.6〜1.8を目標にした間伐計画が推奨されます(森林総合研究所指針)。

間伐の3方式(定量・定性・列状)

定量間伐(本数指定)

間伐率(例:25%)を先に決めて、その本数を機械的に伐採。効率的で施業計画立てやすい反面、生育差を無視した画一施業になりがち。列状間伐と組み合わせて機械化と両立させるケースが多い。

定性間伐(選木)

被圧木・曲がり木・枝枯れ木・病害木を優先的に伐採(「悪い木」を切る)、優良木を残す施業。材質向上と長伐期経営に向くが、選木コストと熟練を要する。伝統的な林業スタイル。

列状間伐(2残1伐等)

「2列残し1列伐る」等の機械化前提間伐。ハーベスタ・フォワーダの走行路確保と省力化に有効で、素材生産費を下げやすい。ただし林縁木は風害リスク増、林内景観劣化の懸念もある。

群状間伐(小班単位)

小径木群・老齢木群など生育不良エリアを一括伐採。天然更新や広葉樹侵入を促し、複層林・混交林への誘導に用いる。将来の複層林化を狙う長期経営で採用。

樹齢別 適正本数(スギ・ヒノキ人工林)

林野庁「森林施業の指針」および森林総合研究所の収穫試験地データを参考にした樹齢別・立地区分別の目安本数。地位級(生育適地度)によって上下します。

樹齢スギ 本/haヒノキ 本/ha推奨施業
10年生(未間伐)2,500〜3,5003,000〜4,000下刈・除伐段階
15年生(初回間伐)2,000〜2,5002,500〜3,0001回目間伐20〜30%
20〜25年生1,500〜1,8002,000〜2,5002回目間伐20〜30%
30年生1,200〜1,5001,500〜1,8003回目間伐25〜35%
40〜50年生800〜1,2001,000〜1,5004回目間伐、更新準備
60〜80年生(長伐期)500〜800600〜1,000択伐・優良大径材生産
80年〜(超長伐期)300〜500400〜700優良大径材、複層林化

スギ・ヒノキとも通常5年〜10年間隔で3〜5回の間伐を行い、最終伐採(主伐)は40〜50年生が標準ですが、長伐期経営(80〜120年)や複層林経営で異なるサイクルが採用されます。

密度管理図と相対幹距比Sr

密度管理図は本数密度・平均直径・平均樹高・材積の関係を1枚のグラフに表した森林管理の代表ツール。スギ・ヒノキ・カラマツ・アカマツで地域別に整備されており、林野庁・森林総合研究所・都道府県林業試験場から公開されています。

Sr値林分状態推奨対応
Sr < 1.2過密林分早急に強度間伐(30%〜)必要
Sr 1.2〜1.5やや過密25〜30%間伐推奨
Sr 1.5〜2.0健全林分維持間伐15〜20%
Sr 2.0〜2.5やや疎開間伐不要、下層更新観察
Sr > 2.5過疎開不成績造林、更新検討

森林経営計画と補助制度

森林経営計画(森林法第11条)は森林所有者または森林組合等が5年間の施業計画を作成し、市町村長認定を受ける制度。認定を受けると森林環境保全直接支援事業(いわゆる造林補助)、森林整備事業による間伐補助が受けられ、標準経費の68%(定率補助)〜10a当り上限額まで助成されます。

補助対象は「間伐率20%以上かつ搬出間伐」「切り捨て間伐でも作業道路整備を伴うもの」などの要件があり、市町村・森林組合の窓口で確認が必要です。再造林補助(主伐後の植栽)も同枠組みで対象になります。

J-クレジットと森林環境譲与税

J-クレジット制度(経産省・環境省・農水省共管)では、森林経営活動によるCO2吸収量をクレジット化し、企業のカーボン・オフセットとして売買可能。スギ人工林の間伐で年当り約8〜12tCO2/ha程度の追加吸収が認められ、1tCO2=1,500〜4,000円で取引されています(2025年現在)。

森林環境譲与税(2019年〜)は国民1人当り年1,000円(2024年〜)の森林環境税を財源に、市町村・都道府県に譲与される新財源。市町村が主体となり、私有林の間伐支援、林業人材育成、木材利用促進などに用いられており、自伐林家や小規模所有者への支援拡大が進んでいます。

高性能林業機械と搬出効率

間伐材の搬出効率は使用する機械体系で大きく変わります。日本の林業機械化はスウェーデン・フィンランド発祥の高性能林業機械が2000年代以降急速に普及し、素材生産性は伝統的な人力主体施業の3〜5倍に向上しています。

ハーベスタ

伐倒・枝払い・玉切りを1台で行う多機能機械。急峻地は不向きだが緩傾斜(15°以下)の列状間伐でフォワーダとセットで100〜200m³/日の高生産性を実現。1台3,000万円〜。

フォワーダ(集材車)

山土場までの短距離集材専用車。1回積載3〜10m³、ハーベスタで玉切りされた材を効率よく林道まで運搬。ホイール式・クローラ式あり、傾斜条件で使い分け。

タワーヤーダ

索張って空中集材。急峻地(30°超)や谷筋の間伐材搬出で活躍。設置に時間を要するが、路網不足エリアでは唯一の実用集材手段。

スイングヤーダ・グラップル

油圧式旋回集材機。ベースマシンにアタッチメント装着で短距離集材可能。中小規模林業者にも導入しやすく、コストパフォーマンス高い。

路網密度10m/ha未満では機械化の恩恵が限定的なため、間伐計画と併せて路網整備(10a当り10万〜30万円/mの補助あり)を進めるのが定石。フォワーダ活用の林分では路網密度20〜30m/haが理想。

収支モデル(1ha・スギ人工林・25%材積間伐)

典型的な搬出間伐1ha事業の粗収支例。実際は路網状況・傾斜・機械化度・地域市況で±50%変動します。

項目数量単価金額
搬出材積約100m³
原木売上(A・B材主体)100m³7,500円/m³750,000円
伐倒・造材費100m³2,500円/m³△250,000円
集材・運材費(高性能機械)100m³3,500円/m³△350,000円
市場手数料売上×5%△37,500円
差引 立木代金相当112,500円
森林環境保全直接支援事業補助ha当+70,000〜150,000円
J-クレジット収入(年10tCO2)2,500円/tCO2+25,000円/年
森林環境譲与税支援(自治体)+可変

補助・クレジット収入を含めると1ha当り18〜30万円の黒字化が可能。ただし急峻・路網未整備林では搬出コストが2倍以上に膨らみ赤字化するため、事前試算と補助金活用が不可欠です。

業界での応用

森林組合

組合員森林の一括施業計画作成と補助金申請。GISと森林簿を連携させた作業計画、伐倒〜搬出の生産管理、原木市場出荷までの一貫サービスで組合員の収益最大化を図る。

自伐林家

小規模所有者が自分で軽架線・小型フォワーダで間伐搬出。低コストで高付加価値化を狙う「自伐型林業」が地域おこし協力隊経由で広がる。年間所得100〜300万円の副業モデルとして注目。

大手素材生産業

ハーベスタ・フォワーダ・タワーヤーダの高性能林業機械による大面積列状間伐。1日100〜200m³の生産能力で低コスト搬出、住宅メーカーや合板工場への安定供給。

製材・合板・バイオマス

間伐材はA材(製材・柱)・B材(合板・集成材)・C材(パルプ・チップ)・D材(バイオマス燃料)に選別。木質バイオマス発電向けの需要拡大で従来切り捨てだった小径・曲材の販路確保が進む。

市町村・林務担当

森林経営計画認定審査、森林環境譲与税事業の企画、施業放置森林への対応(森林経営管理制度に基づく市町村委託管理)。林業普及員との連携で私有林の管理水準向上を目指す。

森林コンサルタント・J-クレジット

森林由来クレジット認証取得の企画・申請支援、企業CSRとのマッチング。企業側は温暖化対策とサステナビリティ報告のためクレジット購入需要が拡大、価格上昇基調。

よくある間違い・注意点

  • 本数間伐率と材積間伐率の混同 — 森林経営計画は材積率で管理。25%本数間伐は上層間伐なら材積率40%になることもあり、補助基準や増収予測を誤ります。書類提出時は必ず区別を。
  • 強度間伐で林分崩壊 — 40%超の一気間伐は残存木の風倒リスクを跳ね上げます。健全な林分でも段階的(20〜30%×複数回)に間伐するのが原則。密度管理図で事前確認を。
  • 切り捨て間伐で収益逸失 — 従来「山に残す」切り捨て間伐が主流でしたが、バイオマス需要拡大でC・D材でも1m³=2,000〜3,500円で売れます。搬出コストと需要地距離を試算のうえ搬出を検討。
  • 皆伐と間伐の混同 — 皆伐(全木伐採)と間伐(部分伐採)は制度上まったく別。森林法・保安林指定・条例で皆伐要件が厳しくなっており、無届皆伐は罰則対象。
  • 下刈・除伐の軽視 — 若齢時(5〜10年生)の下刈・除伐が不足すると、その後の間伐効果も限定的。下刈を数年怠ると人件費コストが逆に膨張します。
  • 路網整備不足 — 作業道が未整備だと搬出コストが2倍以上に膨らみ、間伐そのものが赤字化。林野庁基準では路網密度10m/ha以上(高性能林業機械前提20m/ha)が目標。
  • 単一樹種の連年皆伐 — 生態系・防災機能の劣化。国有林・保安林では複層林化・混交林化への転換が求められ、樹種転換補助も強化されています。

関連する規格・法令

  • 森林法 ― 森林の保全・利用の基本法。森林経営計画(第11条)、保安林(第25条)、伐採届(第10条の8)等を規定。
  • 森林・林業基本法 ― 森林の多面的機能の発揮と林業の持続的発展の基本方針。5年ごとに「森林・林業基本計画」策定。
  • 森林経営管理法(2019施行) ― 経営放棄森林について市町村が管理権を集約し森林組合等に再委託する制度。
  • 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律 ― 2019年から譲与、2024年から個人課税(年1,000円)開始。
  • 林野庁「森林施業の指針」 ― スギ・ヒノキ等主要樹種の間伐率・保育指針。密度管理図に基づく施業標準。
  • 森林経営計画作成マニュアル(林野庁) ― 市町村認定を受けるための計画作成手順。間伐率・伐採量の設定方法。
  • J-クレジット制度実施要綱 ― 森林由来CO2吸収量のクレジット化手順(方法論FO-001等)。
  • 木材のトレーサビリティ・合法性証明ガイドライン(林野庁) ― クリーンウッド法対応の合法木材証明。
  • 建築基準法・建築物省エネ法・CLT関連告示 ― 中大規模木造建築の推進で間伐材需要拡大の後押し。

参考文献・公的資料

※本ツールの計算値は簡易的な平均値による目安です。実際の施業計画は、森林簿・地形図・現地毎木調査(標準地調査)に基づき、密度管理図で相対幹距比Srを確認のうえ、森林組合・林業普及指導員・市町村林務担当と協議して確定してください。J-クレジット・補助金申請は各制度の最新実施要綱に従い、無届皆伐や保安林の無許可伐採は罰則対象となるためご注意ください。

よくある質問(FAQ)

1,500本/haを25%間伐すると残存本数は?

本数間伐率25%なら残存1,125本/ha、伐採375本/ha。平均材積0.3m³/本で搬出材積は112.5m³/ha、立木単価4,500円/m³なら粗収穫金額約50万円/ha。施業経費を差し引いた実収は路網状況で大きく変動します。

適正間伐率は何%が目安?

健全林分では15〜25%(材積率)を数年〜10年間隔で複数回が標準。過密林分では30%以上の強度間伐、疎開林分では10%以下の弱度間伐で調整。過度な40%以上一気間伐は残存木の風倒リスク激増。密度管理図でSr値を確認のうえ判定を。

間伐材はいくらで売れる?

スギA材(製材向柱・板)で12,000〜18,000円/m³、B材(合板向)で7,000〜10,000円/m³、C材(パルプ・チップ)で3,000〜5,000円/m³、D材(バイオマス)で2,000〜3,500円/m³が2025年相場。ただし山土場渡し・原木市場渡しなど渡し場所で価格が変動します。

切り捨て間伐と搬出間伐の違いは?

切り捨て=伐倒後林内放置、搬出=山土場or市場出荷。バイオマス需要拡大で搬出間伐の経済性が改善し、林野庁補助も搬出間伐重視。ただし急峻・路網未整備地では切り捨てが合理的な場合もあり、地形・搬出コスト・単価で判断します。

間伐補助金はいくら?

森林環境保全直接支援事業では、標準経費に対し定率68%(標準率)または10a(0.1ha)当り上限額(1〜3万円程度、地域差あり)まで助成。森林経営計画認定が原則条件。市町村・都道府県林務課への申請が必要です。

森林経営計画は必須?

間伐補助金・造林補助金・特別控除等の利用には計画認定が事実上必須。所有森林規模30ha以上の単独作成、または地域内小規模所有者の共同作成が可能。作成支援は森林組合・林業普及員が無償で対応する地域が多いです。

相対幹距比Srとは?

本数密度と平均樹高から林分の混み具合を判定する指標。Sr=√(10,000/N)/H×100。1.5〜2.0が健全域で、それ以下は過密、以上は疎開。スギ人工林ではSr=1.6〜1.8を目標に間伐計画を組みます。

J-クレジットで森林から収入は得られる?

森林経営活動による追加CO2吸収量をクレジット化して売却可能。スギ人工林の間伐で年8〜12tCO2/ha、1tCO2=1,500〜4,000円で年1〜5万円/ha程度。ただし申請・モニタリング費用が数百万円かかるため、規模100ha以上や森林組合・自治体単位での申請が現実的。

列状間伐と定量間伐のどちらがいい?

機械化・省力化を優先するなら列状間伐(2残1伐等)、材質重視・小面積・伝統林業なら定性間伐(選木)が有利。近年は列状+定性のハイブリッド(列状のうえで劣勢木は追加選木)が主流。地形・機械化度・所有者の意向で選定します。

皆伐後に再造林は義務?

森林法上、5年以内の再造林(または天然更新)が原則義務。市町村への伐採届提出時に再造林計画添付が必要な自治体が多く、放置は勧告・命令対象。再造林補助(苗木代・下刈)が同事業で活用可能。近年は皆伐後の裸地化が水源涵養・防災上の課題となり、規制強化の方向。

森林環境譲与税は何に使える?

市町村が森林所有者への間伐支援、森林経営管理制度に基づく管理放棄森林の集約管理、林業人材育成、木材利用促進、普及啓発など幅広く活用可能。自伐林家や小規模所有者への直接支援を強化する自治体が増えています。

間伐しないとどうなる?

過密林分では光量不足で下層植生消失→表土流出→水源涵養機能低下→土砂災害リスク増加という悪循環に。個体木は細く長く伸び雪害・風害に弱くなり、材質も劣化。多くの日本の人工林でこの課題が顕在化しており、施業促進が国策となっています。