労災保険業種料率
業種ごとの労災保険率をもとに、年間の労災保険料と一般拠出金を試算します。
労災保険業種料率ツール
計算式と考え方
労災保険料は「年間の賃金総額 × 労災保険率」で求めます。正社員30人が1人あたり450万円、パート10人が1人あたり120万円なら賃金総額は1億4,700万円です。その他の各種事業の料率は1000分の3.0なので、年間の保険料は44万1,000円になります。1人あたりでは1万1,025円です。これに石綿健康被害救済のための一般拠出金が1000分の0.02の割合で2,940円加わり、年間の納付額は約44万3,940円となります。建築事業なら料率は1000分の9.5となり、保険料は約139万6,500円まで上がります。
業種と労災保険率の関係
| 林業 | 1000分の52.0前後。伐木作業は死傷災害の発生率が突出して高く、全業種で最高水準の料率 |
|---|---|
| 建築事業 | 1000分の9.5前後。墜落・転落と重機による災害が多く、工事の種類ごとに料率が分かれる |
| 道路貨物運送業 | 1000分の8.5前後。交通事故に加え、荷役作業中の腰痛や転落が多い |
| 食料品製造業 | 1000分の5.5前後。機械への巻き込まれと切創が中心。製造業の中では中位 |
| その他の各種事業 | 1000分の3.0。事務、卸売、小売、サービス業などが該当し、最も適用範囲が広い区分 |
労災保険業種料率の詳しい解説
労災保険率が業種によって二十倍以上の開きを持つのは、過去三年間の災害発生の実績と給付の実績を業種ごとに集計し、収支が均衡するように設定されているためです。料率はおおむね三年に一度見直され、業種区分そのものが統合されたり分割されたりすることもあります。したがって、数年前の料率をそのまま使って計算すると差が生じます。年度更新の際には、その年度に適用される料率表を確認する必要があります。保険料の対象となる賃金総額の範囲も、実務で誤りが生じやすい部分です。基本給と諸手当、賞与、通勤手当は含まれますが、退職金や慶弔見舞金、出張旅費の実費は含まれません。役員は原則として労働者ではないため対象外ですが、労働者としての実態がある兼務役員については労働者部分の賃金を含めます。派遣労働者は派遣元の事業として扱い、請負の場合は元請が下請の労働者も含めて一括して加入するという建設業特有の仕組みもあります。これらの区分を誤ると、申告した賃金総額と実際が食い違い、確定精算の際に追加徴収が生じます。メリット制は、事業ごとの災害の実績に応じて料率または保険料額を最大四割の範囲で増減させる仕組みです。継続事業では、労働者数が百人以上の事業場、または二十人以上百人未満で災害度係数が一定以上の事業場が対象とされています。三年間の収支率をもとに増減が決まるため、安全対策の効果が保険料に表れるまでには時間差があります。ここで見落とされやすいのが、災害を隠すことの影響です。労災を届け出ないまま健康保険で治療を受けさせる、いわゆる労災隠しは労働安全衛生法違反にあたり、罰則が定められています。保険料を抑える目的で行えば、発覚したときの不利益は保険料の差額をはるかに超えます。もう一つの論点が、料率の低い業種であっても事故は起きるという点です。事務中心の職場でも、階段での転倒、什器による打撲、長時間の作業による腰痛といった事案は生じますし、通勤災害はどの業種でも起こります。料率が低いのは災害の発生率が低いという意味であって、加入や申告の義務が軽いということではありません。一人でも労働者を雇えば加入が義務づけられており、成立の届出が遅れた期間に事故が起きた場合、給付は行われる一方で保険料の遡及徴収と費用徴収が行われる定めがあります。適用や賃金の範囲の判断に迷う場合は、労働局や社会保険労務士への確認が現実的です。
業界・現場での使い方
年度更新の準備
賃金総額から概算保険料の水準をつかみます。
業種変更の影響確認
事業の内容が変わったときに料率がどう動くかを見ます。
安全投資の判断
メリット制で下がる幅と対策費用を並べて考えます。
よくある間違い・注意点
- パートや日雇いを賃金総額から外す — 雇用形態を問わず労働者の賃金は算入します。除外すると確定精算で追加徴収になります。
- 数年前の料率で計算する — 料率はおおむね3年ごとに見直されます。その年度に適用される料率表の確認が必要です。
- 事務職中心だから加入を後回しにする — 労働者を1人でも雇えば加入が義務づけられています。未成立の期間の事故には遡及徴収の定めがあります。
関連する規格・法規
- 厚生労働省
- 日本年金機構
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
労災保険料は誰が負担しますか?
全額を事業主が負担すると定められています。労働者の給与から控除することはできません。
複数の事業を行う場合はどうなりますか?
主たる事業の内容で業種が決まるのが原則です。事業場が独立している場合は別々に適用されることもあり、労働局への確認が必要です。
メリット制はどの事業場でも使えますか?
継続事業では労働者数などの要件が定められており、小規模な事業場は対象外となる場合があります。