オッズ比
症例対照研究の2×2表から、オッズ比とその信頼区間、p値、相対リスクへの換算値を計算します。
オッズ比ツール
計算式と考え方
オッズ比は「症例群の暴露あり × 対照群の暴露なし ÷ (症例群の暴露なし × 対照群の暴露あり)」で求めます。120・80・80・120では 120×120÷(80×80) で2.25になります。信頼区間は対数をとった値の標準誤差 √(1/120+1/80+1/80+1/120) = 0.204 を使い、95%なら 1.96 を掛けた幅で 1.51 から 3.36 となります。区間が1を含まないため、両側p値は0.001未満です。暴露なしの発生率を10%とすると相対リスクは約2.00倍と換算されます。
2×2表とオッズ比の関係
| 症例群の暴露あり(a) | 病気になった人のうち要因にさらされていた人数 |
|---|---|
| 症例群の暴露なし(b) | 病気になった人のうち要因にさらされていなかった人数 |
| 対照群の暴露あり(c) | 病気になっていない人のうち要因にさらされていた人数 |
| 対照群の暴露なし(d) | 病気になっていない人のうち要因にさらされていなかった人数 |
| オッズ比 | a×d÷(b×c)。1より大きければ暴露群で発生のオッズが高いことを示す |
オッズ比の詳しい解説
オッズ比が症例対照研究で使われるのは、この設計では発生率そのものを求められないからです。研究者が症例と対照の人数を任意に決めて集める以上、集団のうち何割が病気になったかという比率は計算できません。しかしオッズの比だけは、症例と対照をどの割合で集めても変わらないという性質があり、この点が症例対照研究でオッズ比が採用される理由です。オッズ比が相対リスクに近い値になるのは、発生率が低い場合に限られます。発生率が10%なら2.25倍のオッズ比は相対リスクで約2.0倍とわずかに小さくなる程度ですが、発生率が40%を超えるような頻度の高い事象では、オッズ比は相対リスクをかなり大きめに示します。頻度の高い転帰を扱った研究でオッズ比だけが示されているときは、そのまま何倍という言い方をせず、換算した値も併せて確認する必要があります。信頼区間の幅は例数で決まります。標準誤差が各欄の逆数の和の平方根で表されるため、どれか一つの欄の人数が少ないと、他がいくら多くても区間は広がります。区間が1をまたぐかどうかだけを見て有無を判断するのは一般的な読み方ですが、幅そのものにも情報があります。1.9から2.4という区間と、1.05から4.8という区間では、どちらも1を含まないという点では同じでも、確からしさの水準が違います。実務で判断が分かれるのは交絡の扱いです。年齢や喫煙のように、暴露とも転帰ともつながる要因があると、単純な2×2表から求めた粗オッズ比は真の関連からずれます。層別に分けて計算する方法と、ロジスティック回帰で同時に調整する方法があり、報告では調整前と調整後の両方を示すことが求められています。見落とされやすいのは対照群の選び方です。病院で集めた対照は、その病院を受診する理由となった別の病気の影響を受けている可能性があり、地域から集めた対照とは結果が変わることがあります。統計量の計算より前に、誰を対照としたかという設計の記述を確認することが解釈の出発点になります。
業界・現場での使い方
論文の追試
報告された2×2表から信頼区間とp値を自分で確かめます。
研究計画の検討
想定する例数で信頼区間がどこまで狭くなるかを見積もります。
リスクの説明
オッズ比を相対リスクに換算して患者や関係者に伝えます。
よくある間違い・注意点
- オッズ比をそのまま何倍のリスクと言う — 発生率が高い事象では相対リスクより大きく出ます。発生率を踏まえた換算が必要です。
- p値だけで判断する — 例数が多ければ小さな差でもp値は下がります。効果の大きさと区間の幅を併せて見てください。
- 交絡を調整せずに結論を出す — 年齢や生活習慣が両方に関係すると粗い値はずれます。層別または回帰による調整が必要です。
関連する規格・法規
- 日本疫学会
- STROBE声明
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
オッズ比と相対リスクはどちらが分かりやすいですか?
伝わりやすいのは相対リスクですが、症例対照研究では発生率が計算できないためオッズ比を使います。
信頼区間が1を含むと関連はないのですか?
関連がないと証明されたわけではなく、この例数では判断できないという意味に近い読み方をします。
欄に0があるときはどうしますか?
すべての欄に0.5を加える補正が広く使われます。ただし補正の有無を明記することが求められます。