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ワクチン有効率

有効率と接種率から、防げる発症者数と集団免疫に必要な接種率を試算します。

最終更新:2026-05-06/監修:計算ツールズ編集部

ワクチン有効率ツール

計算式と考え方

集団のうち守られている割合は「接種率 × 実効的な有効率」で求めます。インフルエンザは免疫が季節を通じて減衰するため、臨床試験の有効率50%に持続の係数0.85を掛けた42.5%を用います。接種率45%なら守られている割合は19.1%です。未接種時の発症率12%を10万人に当てはめると12,000人が発症する計算になり、そのうち約2,295人の発症を防げます。重症化率1.2%として約27.5件の重症を回避し、接種費用は1億5,750万円、1件の発症を防ぐ費用は約68,627円です。集団免疫の閾値は「(1−1/基本再生産数)÷ 有効率」で約88.2%となり、現在の接種率では43.2ポイント不足しています。

疾患による有効率と伝播力の違い

麻しん有効率は2回接種で95%以上。基本再生産数が12〜18と極めて高く、高い接種率が必要
風しん有効率は90%以上。妊娠初期の感染による先天性の障害を防ぐ目的が大きい
季節性インフルエンザ有効率は年により40〜60%。流行株の予測が外れると下がる
集団免疫の閾値(1−1/基本再生産数)÷ 有効率で計算する。伝播力が強いほど必要な接種率が上がる

ワクチン有効率の詳しい解説

ワクチンの有効率という言葉は、しばしば誤って理解されます。有効率50%は、接種した人の半分に効いて半分には効かないという意味ではありません。臨床試験において、接種した群の発症率が未接種群の発症率に比べてどれだけ低かったかを示す相対的な減少率です。未接種群で10%が発症し、接種群で5%が発症したなら有効率は50%になります。したがって、もともとの発症リスクが低い状況では、有効率が高くても防げる人数は少なくなります。同じ有効率でも、流行の規模によって実際の効果の大きさは変わるという点が、この指標の性質です。疾患による有効率の差には理由があります。麻しんや風しんのように、感染すると生涯にわたる免疫が成立する疾患では、ワクチンによる免疫も長期にわたって持続し、2回の接種で95%前後という高い有効率が得られます。一方、インフルエンザは毎年ウイルスの抗原性が変化するため、その年の流行株に合わせてワクチンを製造しますが、製造には数か月を要し、その間に流行株が変化することがあります。予測が合った年は有効率が高く、外れた年は低くなるという変動が生じます。集団免疫の考え方も、正確な理解が必要です。閾値は基本再生産数と有効率から計算され、伝播力が強いほど高い接種率が求められます。麻しんは基本再生産数が12から18とされ、有効率95%でも95%前後の接種率が必要になります。この水準は、少数の未接種者が集まる地域があるだけで局所的に流行が起きうることを意味し、実際に接種率が下がった地域での流行が各国で報告されています。一方、インフルエンザは基本再生産数が1.5から2程度と低いため、必要な接種率は理論上それほど高くありませんが、有効率が低いため閾値の計算では接種率の要求が跳ね上がります。集団免疫は、あくまで単純化した仮定に基づく指標であり、接種者と未接種者が均等に混ざっているという前提が現実には成り立たないため、目安として扱う必要があります。費用対効果の評価も判断が分かれる論点です。接種にかかる費用と、防げた医療費だけを比べると、多くのワクチンで費用が上回る計算になります。しかし、実際の評価では、就労できない期間の損失、家族が看護のために休む負担、後遺症が残った場合の長期的な費用まで含めて計算されるのが一般的で、これらを含めると評価が逆転することが多くあります。特に高齢者や基礎疾患のある人では、重症化を防ぐ効果が大きいため、費用対効果は良好とされます。副反応の頻度と重さについては、承認前の試験と承認後の監視の両方で継続的に評価されており、公表されている情報を確認したうえで、接種の判断は個々の健康状態を踏まえて医師と相談することが適切です。

業界・現場での使い方

効果の推計

有効率と接種率から、集団で防げる発症者数を見積もります。

目標の設定

集団免疫の閾値を算出し、接種率の目標を検討します。

費用の把握

1件の発症を防ぐためにかかる費用を算出します。

よくある間違い・注意点

  • 有効率を接種者に効く割合と解釈する — 有効率は未接種群と比べた発症率の相対的な減少です。個人ごとの効き方を示すものではありません。
  • 臨床試験の有効率をそのまま年間に当てはめる — 免疫は時間とともに減衰し、流行株の変化でも下がります。実効的な効果は試験値より低くなります。
  • 医療費の削減だけで費用対効果を判断する — 就労できない期間の損失や看護の負担が含まれていません。社会的な損失を含めた評価が一般的です。

関連する規格・法規

  • 日本疫学会
  • STROBE声明

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

有効率50%とはどういう意味ですか?

未接種の人に比べて発症する確率が半分になるという意味です。接種者の半数に効くという意味ではありません。

集団免疫はいつ成立しますか?

(1−1/基本再生産数)÷有効率で計算した接種率を超えたときが理論上の目安です。実際には集団の混ざり方に左右されます。

接種すべきかどうかはどう判断しますか?

年齢や基礎疾患によって利益とリスクの大きさが変わります。個々の状況を踏まえて医師に相談してください。