レガシー刷新費
システム規模と運用費から、レガシー刷新にかかる費用と投資回収年数を試算します。
レガシー刷新費ツール
計算式と考え方
移行開発費は「規模(ステップ数)× 移行単価 × 方針の係数」で求めます。500万ステップ×250円×段階的リビルドの係数1.0で12.5億円です。移行期間中は現行システムを止められないため、現行運用費8億円の20%を並行稼働の追加費用として4年分で6.4億円を計上します。合計18.9億円に不確実性25%の4.725億円を上乗せし、総額は約23.6億円になります。運用費は年8億円から3.5億円に下がるため削減額は年4.5億円で、回収年数は23.6÷4.5で約5.3年です。10年で評価すると、移行後6年分の削減27億円から総額を引いて約3.4億円の効果という計算になります。
移行方針ごとの特徴
| リホスト | 現行の処理をそのままクラウド基盤へ移す。費用は小さいが構造の課題は残る |
|---|---|
| 段階的リビルド | 業務単位で切り出して作り替える。期間は長いが影響範囲を制御しやすい |
| パッケージ・SaaS移行 | 標準機能に業務を合わせる。個別要件が多いと適合率が下がる |
| フルスクラッチ再構築 | 一括で作り替える。費用と失敗時の影響がともに最大になる |
レガシー刷新費の詳しい解説
レガシーシステムの刷新費用が読みにくいのは、対象の仕様が文書として残っていないことが多いためです。数十年にわたって改修を重ねたシステムでは、現行の動作が唯一の仕様書という状態になり、まず現行の解析に相当の工数を要します。移行単価をステップ数で見積もる方法が使われるのは、この解析と再実装の量が規模に比例するためですが、単価は業務の複雑さと文書の残り方で大きく変わります。文書が整備され標準的な処理が中心であれば単価は下がり、属人的な処理が多ければ上がります。経済産業省が2018年に公表した報告書では、老朽化したシステムを放置した場合に2025年以降に生じる経済損失が年間最大12兆円に達すると試算され、この指摘は広く共有されました。実際に対応を進めた企業と先送りした企業では、その後の対応余地に差が生じています。先送りが重なるほど、システムを理解する技術者の退職が進み、解析にかかる工数はさらに増えます。移行の方針は費用と残るリスクの組み合わせで選びます。リホストは現行の処理をそのままクラウド基盤に移す方法で、費用と期間を抑えられる一方、構造上の課題は解決されないため、運用費の削減幅も限定されます。段階的リビルドは業務単位で切り出して作り替える方法で、影響範囲を制御しやすく、途中で方針を修正できる点が利点です。ただし移行期間が長くなり、その間は新旧のシステムを並行して動かすことになります。この並行稼働の費用が見落とされやすく、現行の運用費に加えて新基盤の費用が重複してかかります。パッケージやSaaSへの移行は、標準機能に業務を合わせられるかどうかで成否が分かれます。個別要件を追加で作り込むほど、パッケージ採用の利点である保守負担の軽減は薄れていきます。適合率がどの程度かを事前に評価し、業務側の運用変更をどこまで受け入れられるかを決めておくことが前提になります。この判断は情報システム部門だけでは完結せず、業務部門の合意が必要です。見積もりで置いておくべきなのが不確実性の上乗せです。移行案件では、稼働後に判明する未文書化の処理、性能要件の未達、データ移行の不整合といった事象が一定の確率で発生します。当初見積もりに20%から30%を上乗せしておく実務が見られるのはこのためです。投資回収の計算では、運用費の削減額だけでなく、開発生産性の向上や新規サービスの投入速度といった効果も本来は算入されます。ただしこれらは金額化しにくく、経営判断の場では運用費の削減で説明できる範囲を示したうえで、定量化できない効果を別に述べる進め方が現実的です。
業界・現場での使い方
刷新の予算化
移行費用と並行稼働費を含めた総額を見積もります。
方針の比較
リホストとリビルドで費用と効果を比較します。
経営への説明
運用費の削減による回収年数を示します。
よくある間違い・注意点
- 並行稼働の費用を計上しない — 移行期間中は新旧の両方を動かします。現行運用費の2〜3割が追加でかかります。
- 現行仕様が文書化されている前提で見積もる — 仕様書が残っていない場合、現行の解析に相当の工数がかかります。単価を上げて見積もってください。
- 不確実性の上乗せを削る — 未文書化の処理や性能未達は一定の確率で発生します。20〜30%の上乗せを見込むのが実務的です。
関連する規格・法規
- 経産省DXレポート
- IPA
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
移行単価はどう決めますか。
文書の整備状況と業務の複雑さで変わります。標準的な処理が中心なら低く、属人的な処理が多いほど高くなります。
リホストで十分ではないですか。
費用と期間は抑えられますが構造上の課題は残り、運用費の削減幅も限定されます。何を目的とするかで選択が変わります。
回収年数の目安はありますか。
運用費の削減だけで5年前後に収まるかが一つの基準です。開発速度の向上など定量化しにくい効果は別に説明することになります。