雇用保険料率
賃金と事業の種類から、雇用保険料の労働者負担額と事業主負担額を計算します。
雇用保険料率ツール
計算式と考え方
雇用保険料は賞与を含む賃金の総額に料率を掛けて求めます。月の給与30万円と時間外手当3.5万円で12か月分、賞与90万円を加えると年間の賃金総額は492万円です。一般の事業では労働者負担が0.55%のため年27,060円、毎月の給与からは335,000円に0.55%を掛けた1,843円が控除されます。事業主負担は0.90%で年44,280円となり、労使を合わせた1人あたりの負担は71,340円です。従業員30人分では事業主負担が年1,328,400円になり、翌年度に2.5%の昇給があれば約1,361,600円に増える見込みとなります。
事業の種類ごとの料率
| 一般の事業 | 多くの業種が該当します。労働者0.55%、事業主0.90%が近年の水準です |
|---|---|
| 農林水産・清酒製造の事業 | 季節による離職が多いため上乗せされます。労働者0.65%、事業主1.00%です |
| 建設の事業 | 雇用が不安定になりやすく最も高い区分です。労働者0.65%、事業主1.10%です |
| 対象となる賃金 | 基本給、諸手当、時間外手当、賞与を含む支給総額が対象です。通勤手当も含まれます |
雇用保険料率の詳しい解説
雇用保険料は、失業給付だけでなく、育児休業給付、教育訓練給付、雇用の維持を支援する助成金の原資になっています。事業主の負担率が労働者より高いのは、失業等給付にあたる部分を労使で折半したうえで、雇用の安定と能力開発にあたる事業の費用を事業主だけが負担する仕組みになっているためです。この構造を知っておくと、料率の改定がどの部分の増減によるものかを理解しやすくなります。料率は年度ごとに改定されます。失業給付の積立金の残高と、受給者の見込みに応じて引き上げや引き下げが行われるため、給与計算の設定を毎年4月に見直す必要があります。年度をまたいで古い料率のまま計算していると、年度末にまとめて差額の調整が必要になり、従業員への説明も煩雑になります。改定の告示は年度の切り替え前に公表されるため、給与ソフトの料率設定を更新する作業を年間の業務に組み込んでおくのが確実です。対象となる賃金の範囲は、実務で誤りが起きやすい部分です。基本給と諸手当だけでなく、時間外手当、賞与、通勤手当も算定の対象に含まれます。一方で、退職金や結婚祝金のように臨時に支払われるもの、実費弁償の性格を持つ出張旅費は対象外とされています。通勤手当を対象から外して計算していた、賞与を計算に入れていなかったといった誤りは、後の調査で指摘され追加の納付につながります。健康保険や厚生年金と対象範囲が完全には一致しない点も、混同の原因になります。加入の要件についても確認が必要です。1週間の所定労働時間が20時間以上であること、31日以上の雇用が見込まれることという要件が定められており、これを満たすパートやアルバイトも被保険者になります。学生は原則として対象外とされていますが、卒業後も引き続き雇用される見込みがある場合など、例外の扱いが定められています。加入漏れは、本人が失業給付を受けられないという不利益に直結するため、雇用形態を変更した際には要件の確認が必要です。事業の種類の判定も見落とされがちです。建設の事業に該当するかどうかは、会社の登記上の業種ではなく、実際に行っている事業の内容で判断されます。複数の事業を行っている場合は、主たる事業で判定するのが原則です。判定を誤ると料率が0.2ポイント程度変わり、従業員数が多い会社では年間で数十万円の差になります。年度更新の際に労働保険の申告と合わせて確認しておくと、誤りを長く続けることを避けられます。会社全体の負担を見積もる際は昇給や人員の増加も織り込む必要があります。賃金総額に比例する費用であるため、昇給率がそのまま負担の増加率になります。個別の適用や判定は、労働局や社会保険労務士への確認が必要です。
業界・現場での使い方
給与計算の確認
毎月の控除額と年間の負担額を照合します。
人件費の見積もり
従業員数と昇給を踏まえた事業主負担を把握します。
年度更新の準備
賃金総額と料率から申告額の見当をつけます。
よくある間違い・注意点
- 賞与や通勤手当を対象から外す — 支給総額が算定の対象です。除外すると年度更新で不足が生じ追加の納付になります。
- 前年度の料率のまま計算する — 料率は年度ごとに改定されます。4月の時点で給与計算の設定を更新してください。
- 事業の種類を登記上の業種で判定する — 実際に行っている事業の内容で判定されます。誤ると料率が変わり差額が生じます。
関連する規格・法規
- 厚生労働省
- 日本年金機構
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
料率はいつ変わりますか?
原則として年度ごとに改定され、4月から適用されます。告示で公表される最新の率の確認が必要です。
パートも加入が必要ですか?
週の所定労働時間20時間以上で31日以上の雇用見込みがあれば対象です。要件は制度で定められています。
賞与にもかかりますか?
かかります。賞与を含む支給総額に料率を掛けて計算します。