歯科診療所月商
1日の患者数と自費診療の比率から、歯科診療所の月商を試算します。
歯科診療所月商ツール
計算式と考え方
月商は保険診療と自費診療の合計で求めます。1日30人・月22日で660人の来院があり、そのうち8%の約53人が自費診療なら、保険診療は607人×6,000円で約364万円、自費診療は53人×12万円で約634万円、合計約998万円という計算です。自費診療の売上比率は約63%になります。材料・技工料が18%とすると、そこから固定費280万円を引いた利益は約538万円です。自費診療の単価が保険診療の20倍であるため、比率がわずかに変わるだけで月商が大きく動く構造が分かります。
歯科医院の収益構造
| 保険診療 | 1人あたり5,000〜8,000円。点数が定められ単価を上げられない |
|---|---|
| 自費診療 | インプラント30万〜50万円、矯正60万〜100万円、ホワイトニング3万〜10万円 |
| 材料・技工料 | 売上の15〜25%。自費診療では材料費の比率が高くなる |
| 固定費 | 人件費、家賃、機器のリース。月200万〜400万円が一般的 |
歯科診療所月商の詳しい解説
歯科医院の経営は、保険診療の単価が公定価格で固定されているという構造的な制約を持ちます。点数は国が定めるため、どれだけ丁寧に治療しても保険診療での単価を上げることはできません。この結果、収益を伸ばす方法は患者数を増やすか、自費診療の比率を高めるかのいずれかになります。診療所の数は多く、1人あたりの患者数を増やすことは容易ではないため、多くの医院が自費診療の強化に取り組んでいます。自費診療の単価は保険診療の10倍から50倍に及びます。インプラント1本で30万〜50万円、矯正治療で60万〜100万円という水準で、月に数件増えるだけで月商が大きく変わります。ただし自費診療を増やすには、その価値を患者に納得してもらう説明力と、期待に応える技術と設備が必要です。単に高額な治療を勧めるだけでは信頼を失い、長期的には患者が離れます。カウンセリングの体制、治療前後の説明、保証の仕組みといった要素が、自費診療の比率を左右します。コスト構造では、材料費と技工料が売上の15〜25%を占めます。自費診療では使用する材料の質が上がるためこの比率は高くなりますが、単価がそれ以上に高いため利益率は保険診療を上回ります。技工物を院内で製作するか外注するかも収益に影響します。固定費の中心は人件費です。歯科衛生士と歯科助手の確保が経営上の課題で、人手不足により給与水準が上昇しています。1人の歯科医師が診られる患者数には限りがあるため、衛生士による予防処置やメンテナンスの体制を整えることが、患者数と収益の両方を支えます。収益を左右する要素として、診療圏の人口と競合の状況も見ておく必要があります。周辺の世帯数や年齢構成によって来院数と自費診療の受け入れられ方は変わります。日々の運営では診療台の稼働率が収益に直結し、予約の直前の取り消しが重なれば、その時間の売上は失われて人件費だけが発生します。取り消しを減らす連絡の仕組みや予約枠の組み方は、投資を伴わずに収益を押し上げる余地です。開業時の機器は借入で賄うことが多く、返済と減価償却の期間がずれるため、利益が出ていても資金繰りが苦しくなる構造を踏まえた計画が必要になります。
業界・現場での使い方
歯科医院経営
月商と利益を試算し、経営目標を設定します。
開業計画
必要な患者数と自費比率から、事業計画を組み立てます。
施策の検討
自費比率を変えた場合の収益変化を確認します。
よくある間違い・注意点
- 患者数を増やすことだけを考える — 1人の歯科医師が診られる数には限りがあります。自費比率の向上が現実的な選択肢です。
- 自費診療を単価だけで勧める — 説明と技術が伴わなければ信頼を失います。長期的には患者が離れます。
- 材料・技工料を見込まない — 売上の15〜25%を占めます。自費診療では比率がさらに高くなります。
関連する規格・法規
- 厚労省
- 日本医師会
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
自費診療の比率の目安は?
売上ベースで30〜60%という医院が多く見られます。診療内容と地域性により大きく異なります。
保険診療の単価は上げられますか?
点数が国により定められているため上げられません。収益を伸ばすには患者数か自費比率になります。
損益分岐点はどう見ますか?
固定費を1人あたりの限界利益で割ります。材料費を差し引いた額で計算する点が重要です。