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がんTNM分類生存率予後

がんステージ・5年相対生存率 計算ツール|国立がん研究センター統計に基づく病期別予後の提示

国立がん研究センター院内がん登録2015-2016年症例および全国がん罹患モニタリング集計(MCIJ)に基づく、がん種別・ステージ(TNM分類 I/II/III/IV)ごとの5年相対生存率を無料で確認できるツール。胃・大腸・肺・乳・前立腺・肝・膵・食道・膀胱・子宮頸・子宮体・卵巣・甲状腺・腎の主要14がんを網羅し、TNM分類の考え方、標準治療の枠組み、緩和ケア、がん検診の受診率、高額療養費・傷病手当金・障害年金など公的支援制度まで解説します。

最終更新:2026-08-05/監修:計算ツールズ編集部

がんステージ・5年相対生存率 参照ツール

5年相対生存率の考え方

定義

5年相対生存率(%) = (がん患者の5年後生存率 ÷ 一般人口の5年後生存率) × 100

5年相対生存率は、あるがん種の患者が診断から5年後に生存している割合を、同性・同年齢の一般人口の生存率と比較した比率。この方法で「がんによる死亡以外の影響(交通事故・他疾患等)」を除外し、純粋にがんの予後を評価できます。国立がん研究センターの公式指標。

「治癒」ではないことに注意

5年相対生存率が100%に近いからといって「治癒」を意味しません。5年以降の再発・晩期発症のがん(甲状腺がん・前立腺がん等)は10年・20年生存率で追跡する必要があります。逆に膵がんのように早期再発が多いがんでは、5年生存率で予後を概ね評価できます。

統計の出典と注意点

本ツールは国立がん研究センター院内がん登録2015-2016年症例(公開2023年)の全国集計値を採用。個人の予後は、腫瘍の組織型・遺伝子変異(BRCA・EGFR・HER2等)・年齢・全身状態(PS)・治療反応で大きく変動します。統計値はあくまで集団平均で、個別医療判断は主治医の判断を優先してください。

TNM分類とステージング

国際対がん連合(UICC)のTNM分類が世界標準。T(原発腫瘍)・N(所属リンパ節)・M(遠隔転移)の3因子で病期を決定します。

因子意味分類例
T (Tumor)原発腫瘍の大きさ・深達度T1(小)〜T4(大・周囲浸潤)
N (Node)所属リンパ節転移の有無・数N0(なし)〜N3(多数)
M (Metastasis)遠隔転移の有無M0(なし)/M1(あり)

ステージI〜IVは、TNM組み合わせから決まります(一般則):

  • ステージI: T1-2, N0, M0(小さく転移なし)
  • ステージII: T2-3, N0-1, M0(局所進行または限定的リンパ節転移)
  • ステージIII: T3-4, N1-3, M0(進行・所属リンパ節転移)
  • ステージIV: 任意T, 任意N, M1(遠隔転移あり)

ただし、がん種ごとにTNM組み合わせのステージ規則が異なるため、詳細は最新の「UICC TNM分類 第8版」または日本癌治療学会の日本語版を参照してください。

主要14がんの病期別5年生存率

国立がん研究センター院内がん登録2015-2016年症例集計(2023年公開)の全国相対生存率(%)。

がん種I期II期III期IV期全体
胃がん95.266.447.06.568.6
大腸がん96.084.770.717.172.4
肺がん(非小細胞)82.146.022.45.434.9
乳がん(女性)99.496.180.538.391.6
前立腺がん100.0100.099.560.795.1
肝がん(肝細胞癌)60.740.815.33.936.2
膵がん43.718.76.11.59.6
食道がん81.252.926.310.444.4
膀胱がん86.166.050.318.176.9
子宮頸がん93.675.458.725.775.0
子宮体がん95.285.366.321.581.9
卵巣がん89.771.244.425.960.0
甲状腺がん100.0100.096.565.494.1
腎がん95.185.668.116.777.7

共通する傾向として、I期発見なら多くのがんが80%以上IV期で急激に低下。特に膵がん・肝がん・肺がんは早期発見が難しく、全体の5年生存率も低くなっています。逆に前立腺・甲状腺・乳・大腸のように早期発見手段が確立しているがんでは、I期発見で治癒相当の予後が期待できます。

全国がん統計と傾向

罹患数と部位別ランキング

2020年の全国がん罹患数は約100万人(男性57万・女性44万)。部位別のランキング:

  • 男性: 1位前立腺・2位胃・3位大腸・4位肺・5位肝
  • 女性: 1位乳・2位大腸・3位肺・4位胃・5位子宮体

死亡数と部位別ランキング

2022年の全国がん死亡数は約38万人。部位別:

  • 男性: 1位肺・2位大腸・3位胃・4位膵・5位肝
  • 女性: 1位大腸・2位肺・3位膵・4位乳・5位胃

時系列トレンド

過去20年で年齢調整死亡率は約20%低下(治療進歩・検診普及)。ただし膵がんは横ばい〜微増で、依然として難治性。免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボ・キイトルーダ等)、分子標的薬、CAR-T細胞療法などで一部のがんの予後は劇的改善しています。

標準治療の枠組み

手術療法(外科的切除)

限局〜局所進行がんの第一選択。腹腔鏡下・ロボット支援(ダヴィンチ)手術で低侵襲化。胃・大腸・肺・乳・子宮・前立腺の早期がんではほぼ標準治療。手術+リンパ節郭清が根治的。

放射線療法

局所制御に有効。IMRT(強度変調)・陽子線・重粒子線などの高精度治療で正常組織への影響を最小化。子宮頸・前立腺・頭頸部・食道・乳(温存療法後)で標準治療。

薬物療法(化学療法)

細胞障害性抗がん剤(シスプラチン・パクリタキセル等)、分子標的薬(トラスツズマブ・オシメルチニブ等)、免疫チェックポイント阻害薬(ペムブロリズマブ・ニボルマブ等)、内分泌療法(タモキシフェン・LH-RHアゴニスト等)を組み合わせる。

免疫療法・遺伝子療法

CAR-T細胞療法(白血病・悪性リンパ腫で保険適用)、二重特異性抗体、樹状細胞ワクチン、がん抗原ワクチンなど。分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬の治療成績改善で従来の常識が更新されています。

集学的治療(マルチモダリティ)

手術・放射線・化学療法を組み合わせる治療戦略。食道・直腸・膵・頭頸部がんで標準化。多職種チーム(キャンサーボード)で治療方針を決定します。

緩和ケア(BSC)

進行がん・末期がんで治癒困難な場合、症状緩和・QOL維持を目的とする医療。麻薬鎮痛薬(モルヒネ・オキシコドン等)、精神的サポート、在宅医療の組み合わせ。がん診療連携拠点病院に緩和ケアチーム。

がん検診とその推奨頻度

厚生労働省「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」に基づく推奨検診。

がん検診対象年齢頻度方法感度
胃がん検診50歳以上2年に1回胃X線 or 胃内視鏡内視鏡90%・X線70%
大腸がん検診40歳以上年1回便潜血2日法約80%
肺がん検診40歳以上年1回胸部X線+喀痰(喫煙者)60〜70%
乳がん検診40歳以上女性2年に1回マンモグラフィ約85%
子宮頸がん検診20歳以上女性2年に1回細胞診(HPV検査併用も可)細胞診70%・HPV95%
前立腺がん(任意)50歳以上男性年1回PSA血液検査感度70-80%だが過剰診断懸念あり
肝がん(高リスク者)B型・C型肝炎陽性者3-6か月ごと腹部エコー+AFP約85%

日本のがん検診受診率は40〜50%程度で、欧米(70-80%)より低い水準。市町村の集団検診または職域検診で無料〜低額(1,000〜3,000円)で受診可能です。がん検診の受診率を上げることが、死亡率低下の最大要因と厚生労働省が指摘しています。

公的支援制度

高額療養費制度

健康保険法に基づき、月間の医療費自己負担額が所得区分別の上限を超えた場合の還付制度。年収370-770万円で月上限約8-9万円。事前申請で「限度額適用認定証」を取得し、窓口負担を上限額に抑えられます。

傷病手当金

健康保険加入者が就労不能で3日連続休業後、給与の2/3が最長1年6か月支給。がん治療での休職・入院で必須の制度。会社の総務・健康保険組合に申請書類を依頼。

障害年金

がん治療で就労困難な場合、初診日から1年6か月経過(または症状固定)で申請可能。障害基礎年金(年約80万円)・障害厚生年金(給与連動)。診断書・病歴記入・手続きは社労士に相談推奨。

医療費控除

年間医療費が10万円(または所得5%)を超えた場合、超過額を所得控除。抗がん剤・入院費・通院交通費・付き添い交通費まで対象。確定申告で還付。ローンでの支払も利用年に一括計上可能。

がん相談支援センター

全国のがん診療連携拠点病院に設置。診断・治療・仕事・お金・家族の相談を無料で対応。相談員は看護師・ソーシャルワーカー・臨床心理士等。他院受診者・家族の相談も受け付けます。

患者向け情報「がん情報サービス」

国立がん研究センターが運営。がん種別の詳細情報、統計、治療ガイドライン、体験談、患者会情報、専門医療機関検索等の一次情報源。信頼できる情報の要。

よくある誤解・注意点

  • 5年生存率を「治癒率」と誤解 — 5年後の再発リスクがある(乳・甲状腺・前立腺は10年・20年でも起こる)、5年で治癒とは限りません。長期の経過観察が必要です。
  • 統計値を個別の予後と混同 — 生存率は集団平均で、個人の予後は組織型・遺伝子変異・年齢・全身状態で大きく変動。「私は何%生きる」の判断には使えません。
  • ステージだけで治療方針を決めつける — 同じI期でも組織型(スキルス胃癌・炎症性乳癌等)で予後は激変します。組織型・遺伝子検査を含めた総合判断が必要。
  • 民間療法・代替医療への傾倒 — 標準治療を拒否して民間療法(高濃度ビタミンC・水素水・特殊食事療法等)を選ぶと、根治可能な状態を逃す危険。少なくとも標準治療を第一選択にしてください。
  • 過剰診断の懸念(前立腺・甲状腺) — PSA検査で発見される前立腺がん・甲状腺の乳頭癌の一部は生涯無症状で経過する「過剰診断」。本人と主治医で「監視療法」も含めた選択を検討してください。
  • セカンドオピニオンの遅延 — がんは治療方針決定までのスピードが重要。1-2週間以内にセカンドオピニオンを取得できるよう、主治医に紹介状を依頼(健康保険適用外・自費1〜3万円)。
  • 就労継続の判断を早すぎる時期に — 診断直後の心理的動揺で退職・休職を決めると後悔しやすい。労働政策研究・研修機構の調査では、告知後1年以内の退職者の30%が「もう少し継続すべきだった」と回答。会社と相談し休職・時短勤務・在宅勤務の可能性を先に検討。

関連ガイドライン・法令

  • UICC TNM分類 第8版 ― 国際対がん連合の標準TNM分類。日本語版は日本癌治療学会が翻訳・監修。
  • 日本癌治療学会 がん診療ガイドライン ― がん種別の日本語標準治療ガイドライン。エビデンスレベルを付記。
  • 日本臨床腫瘍学会 各がんガイドライン ― 薬物療法中心の実践的ガイドライン。分子標的薬・免疫療法の最新知見を反映。
  • がん対策基本法(2007年施行) ― 日本のがん対策の根拠法。第4次がん対策推進基本計画(2023-2028年度)に基づき、検診率・生存率向上を目標化。
  • 健康増進法(2003年施行・2020年改正) ― 市町村がん検診の根拠法。受動喫煙防止も規定。
  • 健康保険法・国民健康保険法 ― 高額療養費制度・傷病手当金の根拠法。がん治療費の3割自己負担ルール。
  • 厚生労働省 がん検診実施のための指針 ― 市町村検診の統一基準。5つの主要がん検診の対象年齢・頻度・方法を規定。
  • 労働基準法・障害者雇用促進法 ― がん治療中の就労配慮・合理的配慮の法的根拠。
  • 診療報酬点数表(厚生労働省告示) ― がん薬物療法・放射線治療の保険点数。2年ごとの改定。

参考文献・公的資料

詳細情報の一次資料として、以下の公的機関資料を参照してください。

※本ページの5年相対生存率は国立がん研究センター院内がん登録2015-2016年症例集計(2023年公開)の全国平均値です。個別の予後は組織型・遺伝子変異・年齢・全身状態(PS)・治療反応・併存症で大きく変動するため、統計値のみで個人の予後を判断することはできません。診断・治療方針・予後の説明は必ず主治医または がん診療連携拠点病院の担当医の説明を優先し、必要に応じてセカンドオピニオンを取得してください。本ページは医療行為ではなく、あくまで公開統計の参照ツールです。緊急の症状がある場合はただちに医療機関を受診してください。

よくある質問(FAQ)

5年相対生存率とはどんな指標?

がん患者の5年後生存率を、同性・同年齢の一般人口の5年後生存率と比較した比率。がん以外の死因(交通事故・他疾患等)を除外して、純粋にがんの予後を評価する国立がん研究センターの公式指標です。集団平均のため、個人の予後は組織型・遺伝子・年齢・全身状態で大きく変動します。

ステージI発見だと本当に治る?

多くのがんでI期の5年生存率は80-100%と高く、治癒相当の予後が期待できます。特に乳がん(99%)・甲状腺(100%)・前立腺(100%)は極めて良好。ただし膵がんはI期でも43.7%と低く、早期発見でも予後改善が課題です。

ステージIVでも生存する可能性は?

がん種によって大きく異なります。前立腺IV期は60.7%、甲状腺IV期は65.4%、乳がんIV期は38.3%と、遠隔転移があっても長期生存が期待できるケースもあります。逆に肺・膵・肝は5-10%と低い。免疫療法・分子標的薬の進歩で改善傾向にあります。

「5年」の意味は?

多くのがんで再発の80-90%が5年以内に起こるため、5年経過を「治療の一区切り」とする慣習。ただし乳がん・甲状腺・前立腺は10年・20年でも再発するため、5年生存率だけでなく10年生存率も参照する必要があります。

統計値と自分の予後は同じ?

統計値は集団平均で、個人の予後とは異なります。組織型(スキルス胃癌等)、遺伝子変異(HER2・EGFR・KRAS・BRCA等)、年齢、全身状態(PS)、併存症、治療反応性で予後は大きく変動します。個別予後は主治医に確認してください。

がん検診はどれくらい効果がある?

厚生労働省の推計で、市町村がん検診による死亡率低下は5-15%程度。特に大腸(便潜血)・子宮頸(細胞診)・乳(マンモグラフィ)・胃(内視鏡)は明確なエビデンスあり。受診率50%から70%に上げると、がん死亡率は10%程度低下する試算です。

過剰診断とは?

放置しても生涯症状を起こさない「低悪性度がん」を検診で見つけて治療してしまうこと。特にPSA検査による前立腺がん・エコーによる甲状腺乳頭癌で問題化。近年は「監視療法(積極的経過観察)」の選択肢が広がりつつあります。

民間療法・代替医療は効くの?

科学的エビデンスが十分な民間療法はほぼありません。標準治療を拒否して民間療法を選ぶと、根治可能な状態を逃す危険。国立がん研究センターも「補完代替医療」を標準治療と併用可能な場合と併用不可の場合があるため、必ず主治医に相談してください。

セカンドオピニオンは必要?

特に希少がん・進行がん・治療方針で迷う場合は強く推奨。日本ではセカンドオピニオンは自費(1〜3万円)ですが、主治医の紹介状を依頼して他院で受診できます。がん診療連携拠点病院で対応。

治療費はどのくらい?

保険3割自己負担でも、抗がん剤治療で月10-30万円になるケースが。高額療養費制度で年収370-770万円層は月上限約8-9万円まで軽減されます。事前に「限度額適用認定証」を取得して窓口負担を抑えるのが実務解。

就労を続けられる?

近年は「がんと働く」が推進され、7割の患者が治療と仕事を両立。会社に相談し、時短勤務・在宅勤務・治療休暇制度を活用。労働政策研究機構は「診断直後の退職は後悔が多い」と警告しています。

家族が知っておくべきことは?

患者の心理的サポートが最重要。診断直後は情報過多で判断困難なため、家族が主治医・相談支援センター・がん情報サービスの一次情報を確認して、患者の意思決定を支援。医療費・介護・就労の実務も家族が支えます。