型紙のサイズ調整 グレーディング量
元の型紙のサイズと目標の寸法、ゆとり量から、各部の増減量・1か所あたりの切り開き幅・袖ぐりと着丈の調整量を算出します。
型紙のサイズ調整 グレーディング量ツール
増減量は(目標の寸法+ゆとり)−(元サイズの寸法+標準のゆとり)で求めます。9号の型紙は標準でバストに10cm、ウエストに6cm、ヒップに8cmのゆとりを含むものとして計算します。既定値ではバストが(88+10)−(83+10)=+5.0cm、ウエストが(70+6)−(64+6)=+6.0cm、ヒップが(95+8)−(91+8)=+4.0cm。最も大きいウエストの6.0cmを4面で分けるので、1か所あたり1.50cmの切り開きです。袖ぐりはバスト増減の15%で0.75cm、着丈は62−60=+2.0cmとなります。
婦人服のサイズ区分と基準寸法
| 号数 | バスト | ウエスト | ヒップ |
|---|---|---|---|
| 7号 | 80cm | 61cm | 88cm |
| 9号 | 83cm | 64cm | 91cm |
| 11号 | 86cm | 67cm | 94cm |
| 13号 | 89cm | 70cm | 97cm |
アイテム別のゆとり量の目安
| アイテム | バストのゆとり | 印象 |
|---|---|---|
| 体に沿うブラウス | 6〜8cm | フィットする |
| 標準のシャツ | 10〜12cm | 標準的 |
| ゆったりしたトップス | 16〜20cm | リラックス |
| コート・アウター | 20〜26cm | 重ね着に対応 |
※参考計算です。材料の状態・器具・室内環境によって結果は変わるため、少量で試してから本番の分量に反映してください。
型紙のサイズ調整 グレーディング量の詳しい解説
グレーディングは、型紙を拡大コピーする作業ではありません。人の体はサイズが上がるほど厚みが増し、幅と丈が同じ比率で伸びるわけではないからです。バストが3cm増えても肩幅は1cmも変わらず、袖丈にいたってはほとんど動きません。だから全体を一律に拡大すると、肩が落ちて袖が長い、着丈だけ間延びした型紙ができあがります。部位ごとに増減量を分けて計算する必要があるのはこのためです。
判断が分かれるのは、増分をどこで吸収するかです。前後の中心で切り開く方法は作業が単純ですが、前立てやダーツの位置が動きます。脇線で処理する方法は身頃の見た目を保てる代わりに、脇の傾きが変わって袖ぐりに影響します。切替のある型紙では切替線で分散させると自然に収まります。いずれの方法でも、一か所に3cm以上を集中させるとシルエットが崩れるため、複数箇所に分けるのが原則です。
見落とされやすいのは袖ぐりです。身幅を広げると袖ぐりの周囲も伸び、そのままでは袖山の寸法が合わなくなります。目安としてバストの増減の15%前後を袖ぐりの深さで調整し、袖側の袖山も同じだけ動かします。この対応を怠ると、袖付けの段階でいせ込みが足りない、あるいは余るという形で表面化します。丈の調整も同様で、着丈だけを伸ばすとウエスト位置が下がるため、切替やダーツの位置も比例して動かします。
号数の基準寸法は規格として示されていますが、実際の製品寸法はブランドごとに異なります。手元の型紙が何号相当かは、記載されたサイズではなく実測で確かめるのが確実です。仮縫いをして体に当て、余りやつれを見てから最終的な数値を決めてください。数値の計算はあくまで出発点で、最後は着る人の体型と好みで詰めることになります。
体型の個人差も無視できません。同じバスト寸法でも、厚みのある体型と幅のある体型では必要な補正が違います。前身頃だけを広げるか前後均等に広げるかで着心地が変わり、猫背や反り身の傾向があれば背丈や前丈にも差をつける必要があります。既製の型紙は標準体型を前提にしているため、寸法が合っていても着てみると突っ張る箇所が出ます。そうした箇所は数値ではなく仮縫いで見つけるしかなく、一度作った補正の記録を残しておくと次の型紙にも流用できます。
業界・現場での使い方
個人の洋裁
市販の型紙を自分の寸法に合わせるとき、どこを何cm動かすかを事前に決めます。
洋裁教室の指導
サイズ展開の考え方を数値で示し、一律拡大との違いを説明します。
小ロットの製作
既存の型紙から別サイズを起こす際の基準値として使います。
リメイクと補正
手持ちの服の型紙を写し取り、体型の変化に合わせて修正します。
よくある間違い・注意点
- 型紙を一律に拡大縮小する — 肩幅や袖丈はサイズほど変わりません。全体を同じ比率で変えるとバランスが崩れます。
- 一か所にまとめて増減する — 3cm以上を1か所に集中させるとシルエットが崩れます。複数箇所に分散させます。
- 袖ぐりを調整しない — 身幅を広げると袖ぐりの寸法が変わり、袖付けで合わなくなります。
- ゆとり量を考えずに実寸で合わせる — 実寸ちょうどでは着られません。アイテムに応じたゆとりを加えてください。
- 仮縫いをせずに本裁ちに入る — 計算はあくまで出発点です。体に当てて確認する工程を省くと修正が効きません。
関連する規格・公的資料
- 経済産業省 — 繊維産業
- 消費者庁 — 家庭用品品質表示
- 日本産業標準調査会 (JISC) — JIS規格
- 日本繊維製品品質技術センター — 繊維製品試験
- 日本化学繊維協会 — 化学繊維
- 日本アパレル・ファッション産業協会 — アパレル
- 日本手芸普及協会 — 手芸教育
- 日本ホビー協会 — ホビー・手芸
- 日本インテリアファブリックス協会 — インテリア生地
- 製品評価技術基盤機構 (NITE) — 製品安全
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
9号の型紙をバスト88cmに直すには?
ゆとり10cmなら総増減は+5.0cm、4面に分けて1か所あたり1.25cmずつ切り開きます。
ゆとり量はどのくらい取りますか?
体に沿うブラウスで6〜8cm、標準のシャツで10〜12cm、コートでは20cm以上が目安です。
切り開きは前中心と脇のどちらがよいですか?
切替のある型紙は切替線、ない型紙は脇と前後中心に分散させるとシルエットが保てます。
袖ぐりはどれだけ調整しますか?
バストの増減量の15%前後が目安です。袖山も同じだけ動かして寸法を合わせます。
着丈を伸ばすときの注意点は?
裾で伸ばすとウエスト位置が下がります。ウエストより上と下に分けて伸ばすと形が崩れません。
号数の基準寸法はどこで確認できますか?
衣料サイズの表示に関する規格が定められており、公的機関の資料で確認できます。
3号以上のサイズ変更もできますか?
計算はできますが、差が大きいほど肩や袖ぐりの形自体を作り直す必要が出ます。
仮縫いは必ず必要ですか?
寸法の計算は出発点です。差が2cmを超える調整では仮縫いで確認することをおすすめします。