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EV vs ガソリンCO2

EVとガソリン車の二酸化炭素排出量を、製造時と走行時に分けて足し上げ、保有年数と年間走行距離から生涯の合計を比べます。走行が伸びるほどEVが有利になる交点がどこに来るかを確かめられます。

最終更新:2026-05-06/監修:計算ツールズ編集部

EV vs ガソリンCO2ツール

計算式と前提

総走行距離 = 保有年数 × 年走行距離

EV総CO2(kg) = 10,000 + 総走行距離 × 0.06

ガソリン総CO2(kg) = 5,000 + 総走行距離 × 0.18

既定値の保有10年・年10,000kmなら総走行は100,000kmで、EVは10,000+6,000=16,000kg、ガソリン車は5,000+18,000=23,000kgです。定数のうち10,000kgと5,000kgは製造・廃棄までの1台あたりの排出、0.06と0.18は走行1kmあたりの排出を表す本ツールの前提値で、入力では変えられません。走行側の0.18kg/kmは、揮発油1リットルあたり約2.29kgの二酸化炭素から逆算すると燃費12.7km/L相当、0.06kg/kmは電力1kWhあたり0.422kgから逆算すると電費7.0km/kWh相当にあたります。

早見表

年10,000km走る場合の保有年数別(単位:kg-CO2)

保有年数総走行距離EV総CO2ガソリン総CO2差(EV−ガソリン)
3年30,000km11,80010,400+1,400
5年50,000km13,00014,000−1,000
8年80,000km14,80019,400−4,600
10年(既定値)100,000km16,00023,000−7,000
15年150,000km19,00032,000−13,000
20年200,000km22,00041,000−19,000

差がゼロになるのは総走行41,667kmで、このときEV・ガソリンとも12,500kgです。年10,000kmなら4年目と5年目の間、年5,000kmなら8年目あたりで入れ替わります。

保有10年での年走行距離別(単位:kg-CO2)

年走行距離総走行距離EV総CO2ガソリン総CO2差(EV−ガソリン)
3,000km30,000km11,80010,400+1,400
5,000km50,000km13,00014,000−1,000
8,000km80,000km14,80019,400−4,600
10,000km(既定値)100,000km16,00023,000−7,000
15,000km150,000km19,00032,000−13,000
20,000km200,000km22,00041,000−19,000

2つの表の数字が同じなのは偶然ではありません。この計算は保有年数と年走行距離の積しか見ていないので、3年×年10,000kmと10年×年3,000kmは同じ結果になります。年数だけを延ばしても走らなければ差は開きません。

交点が4万km台に来る理由と、その手前で変わるもの

この比較は、出発点の差と傾きの差という2つの量だけで決まります。出発点の差は製造段階で、EVが10,000kg、ガソリン車が5,000kgと置かれているので、走り出す前からEVは5,000kg分の負債を抱えています。傾きの差は走行段階で、1kmあたりEVが0.06kg、ガソリン車が0.18kgですから、1km走るごとに0.12kgずつ差が縮まります。5,000を0.12で割った41,667kmが、負債を返し終える距離です。製造段階の差が広がれば交点は遠のき、走行段階の差が広がれば近づきます。EVの評価が割れるのは、この2つの定数をどう置くかで結論が動くからです。

走行段階の0.18kg/kmが何を意味するかは、燃料側から確かめられます。揮発油は1キロリットルあたりの発熱量が33.4ギガジュール、炭素の排出係数が1ギガジュールあたり0.0187トンと省令に定められており、二酸化炭素に換算すると1リットルで約2.29kgです。0.18kg/kmを割り戻すと燃費12.7km/L相当です。電気側の0.06kg/kmは、電気事業全体の2024年度実績(調整後)である1kWhあたり0.422kgで割ると、電費7.0km/kWh相当です。どちらも実用車として無理のない値ですが、燃費20km/Lの車なら走行段階は0.11kg/km程度まで下がり、交点は6万km台まで遠のきます。

見落とされやすいのは、電気側の係数が固定されている点です。実際の排出係数は小売電気事業者ごとに公表されており、全国平均から大きく離れるものもあります。再生可能エネルギー由来のメニューなら走行段階はさらに下がり、石炭比率の高い電源構成なら上がります。もう一つはバッテリーの扱いで、製造段階の10,000kgは容量にほぼ比例して増減する部分を含んでいます。大容量のバッテリーを積むほど出発点の負債は増え、途中で交換すればさらに上乗せされます。廃棄・再資源化での回収分も入っていません。

条件による違いも整理しておきます。年間走行距離が短い使い方、たとえば買い物と送迎だけで年3,000km程度なら、10年乗ってもEVのほうが排出は多いまま終わります。通勤や営業で年15,000kmを超えるなら3年ほどで逆転し、その後は差が開き続けます。寒冷地では暖房で電費が落ち、渋滞の多い都市部ではガソリン車の実燃費が落ちるため、地域によって交点は前後します。中古で乗り継ぐ場合は製造段階を前の所有者が負担した後なので、走行段階だけで比べるほうが実態に近くなります。なお二酸化炭素の量は補助金や税の判定基準そのものではありません。制度上の区分は燃費基準や電費の公式値で決まるため、申請にあたっては所管の窓口でご確認ください。

よくある間違い・注意点

  • 製造段階を無視して走行分だけで比べる — EVは走り出す前に5,000kgの差を負っています。総走行41,667kmを超えるまで、合計ではガソリン車のほうが少ない期間が続きます。
  • 保有年数を延ばせば差が広がると思う — 効くのは保有年数と年走行距離のだけです。年3,000kmで20年乗っても、年10,000kmで6年乗ったのと同じ結果になります。
  • 電気の排出係数を全国平均のまま自分に当てはめる — 0.06kg/kmは1kWhあたり0.422kg相当の固定値です。契約先や電源構成で実際の値は上下し、入力では変えられません。
  • 燃費のよい車と比べているのに0.18kg/kmのまま読む — 0.18kg/kmは燃費12.7km/L相当です。ハイブリッドや軽自動車と比べる場面では、走行段階の差が想定より小さくなります。
  • この数値を補助金や税制の判定に使う — 制度上の区分は公式の燃費・電費値と基準達成度で決まります。本ツールの排出量は目安であり、申請の根拠にはなりません。

参考資料

※本ツールの定数(製造10,000kg/5,000kg、走行0.06/0.18kg-km)は、比較の構造を示すための固定値です。実際のライフサイクル排出量は車種・バッテリー容量・電源構成・使用地域で大きく変わります。補助金や税制の適用可否は所管の窓口にご確認ください。

よくある質問(FAQ)

EVのほうが少なくなるのは何km走ってからですか?

総走行41,667kmを超えたときです。ここで両方とも12,500kgになり、以降はEVのほうが少なくなります。年10,000kmなら4年目と5年目の間、年15,000kmなら3年目に入ったあたりが目安です。

製造段階の10,000kgと5,000kgはどこから来た数字ですか?

製造から廃棄までに1台あたり出る排出量として本ツールが置いている前提値で、入力では変えられません。EVが大きいのはバッテリーの製造分で、容量が大きいほど増えます。実際の値は車種と生産地の電源構成で幅があります。

再生可能エネルギーの電力に切り替えると結果は変わりますか?

実際の排出は減りますが、本ツールの数字は変わりません。走行1kmあたり0.06kgは固定です。電気の排出係数は小売電気事業者ごとに公表されているので、自分の契約先の値を0.422で割った比率を0.06に掛け直すと、おおよその補正ができます。

ハイブリッド車と比べたい場合はどうしますか?

本ツールにはハイブリッドの区分がありません。走行段階の0.18kg/kmは燃費12.7km/L相当なので、燃費25km/Lのハイブリッドなら0.09kg/km前後になります。EVとの差が0.03kg/kmまで縮むと、製造段階の5,000kgを埋めるには16万km以上かかる計算になります。

バッテリーを交換したらどう考えますか?

製造段階の排出が上乗せされるため、交点は遠のきます。本ツールは交換を前提にしていないので、交換の予定がある場合は10,000kgに交換分を足した状態を想像しながら読んでください。使用済みバッテリーの再利用や再資源化で回収される分も計算には入っていません。

年間走行距離が短い場合、EVは環境面で不利ですか?

二酸化炭素の総量だけで見れば、走行が少ないほど製造段階の差を返しにくくなります。年3,000kmなら10年乗ってもEVのほうが1,400kg多いままです。ただし排出量は選択の一要素にすぎず、騒音や大気汚染物質、燃料の調達など別の観点もあります。

この数値を補助金の申請に使えますか?

使えません。補助や税の区分は、公式に測定された燃費値・電費値と基準達成度で決まります。本ツールは前提を固定した比較の目安であり、制度上の数値ではありません。適用条件は所管の窓口でご確認ください。