下請法 支払遅延損害金シミュレーター|年14.6%・下請法適用判定・公取委リスクまで一発判断【2026年版】
発注額・支払期日・実支払日・親事業者と下請の資本金を入力するだけで、下請法の支払遅延損害金(年14.6%)と下請法適用の可否、そして公正取引委員会の勧告・指導リスクまで一発判定します。下請法違反は課徴金こそないものの、公取委による勧告・企業名公表・親事業者への信用毀損リスクが甚大。発注担当者、経理担当者、法務担当者、下請事業者側の債権管理担当者まで、契約関係の遅延リスクを数値で把握できる2026年最新版の無料ツールです。
支払遅延損害金シミュレーター
計算プロセス(内訳)
期日別 遅延損害金の推移
| 遅延日数 | 遅延損害金 | 合計支払義務 | 実質年利換算 |
|---|
結果の見方
下請法における遅延損害金は、民法所定の年3%(法定利率)ではなく、下請法特別の年14.6%が強制適用されます。当ツールの数字は次の3層で判断してください。
- 遅延損害金:下請事業者が請求可能な追加金額。特約による減免は下請法の趣旨に反するため原則不可(減免特約自体が違法無効)。
- 下請法適用:資本金基準と取引区分により決定。適用ありなら公取委・中小企業庁の書面調査対象になり、繰り返し違反は勧告・企業名公表リスク。
- 受領→期日:60日超の支払期日設定はそれ自体で下請法違反。60日以内であっても、その期日を過ぎた遅延は年14.6%の損害金が発生します。
- 合計支払義務額:発注額本体+遅延損害金。実務では債権者側から遅延損害金請求書を発行し、内容証明で通知するのが定石。
計算の仕組みと数式
下請法上の遅延損害金
下請代金支払遅延等防止法 第4条の2で「親事業者は、下請事業者に対し、遅延利息(下請代金の額×年14.6%×遅延日数/365)を支払わなければならない」と規定されています。
遅延損害金 = 下請代金 × 年14.6% × (遅延日数 / 365)
民法の法定利率(2026年時点で年3%)よりも大幅に高く、下請保護の観点から刑事罰的な水準に設定されています。実務例:500万円の発注が30日遅延→ 500万×14.6%×30/365=約6万円の遅延損害金が発生。
支払期日の起算点
支払期日 = 物品・情報成果物・役務を受領した日から60日以内で当事者間で定めた日
※定めがない場合:受領日を支払期日とみなす
※60日超で定めた場合:60日を経過した日を支払期日とみなす
「受領した日」は検収完了日ではなく、物品や成果物が親事業者に納入された日。検収基準(引渡し後に一定期間検査→合格後に支払)で60日を超える実質支払サイトは違法とされます。
下請法適用の資本金基準
| 取引区分 | 親事業者の資本金 | 下請事業者の資本金 |
|---|---|---|
| 製造委託等(製造・修理・情報成果物のうちプログラム・運送・物品倉庫・情報処理) | 3億円超 | 3億円以下(個人事業者含む) |
| 1千万円超 3億円以下 | 1千万円以下(個人事業者含む) | |
| 情報成果物作成委託・役務提供委託(上記以外) | 5千万円超 | 5千万円以下(個人事業者含む) |
| 1千万円超 5千万円以下 | 1千万円以下(個人事業者含む) |
下請法適用/非適用の比較
| 下請法適用 | 下請法非適用 | |
|---|---|---|
| 遅延利率 | 年14.6%(強制) | 民法法定年3%または契約による |
| 支払期日の上限 | 受領日から60日以内(強行規定) | 当事者間で自由設定 |
| 3条書面の交付義務 | あり(違反は罰金50万円以下) | なし |
| 5条書類の保存義務 | あり(2年間保存、違反は罰金50万円以下) | なし |
| 公取委調査 | あり(毎年書面調査、立入検査) | 民事紛争として当事者間解決 |
| 企業名公表リスク | あり(勧告時に企業名公表) | なし |
| 紛争解決手段 | 公取委相談窓口・下請かけこみ寺・調停 | 民事訴訟・調停・仲裁 |
| 減額・買いたたき等の禁止行為 | 11の禁止行為(4条各号)が強行法規 | 独占禁止法・民法一般規定 |
ケーススタディ:発注額×遅延日数×資本金別
① 500万円発注/30日遅延/親3億超・下請3億以下
製造業の部品発注で下請法適用ケース。— が遅延損害金。年14.6%×30日で発注額の1.2%相当。公取委の書面調査で「支払遅延」として計上される件数の典型パターン。
② 1,000万円発注/60日遅延
大型システム開発の中間支払遅延。—。年14.6%×60日で発注額の2.4%相当。遅延が2か月級になると公取委の指導対象になる確率が急上昇。
③ 2,000万円発注/15日遅延
大型設備工事の部品納入。—。1日あたり8,000円級の損害金が積み上がる。月次締めのタイミングで週次で支払処理する体制なら回避可能な遅延。
④ 資本金3億円→2.5億円の下請(下請法非適用)
大企業間取引で下請法対象外のケース。—(民法年3%)。同じ遅延でも損害金は5分の1程度。ただし信用毀損・関係悪化のビジネスリスクは同等以上。
⑤ 資本金1億円→3千万の下請(製造委託等)
中堅親事業者と小規模下請の典型。—(1,000万発注30日遅延ベース)。下請の経営体力から見て遅延インパクトが大きい構造で、公取委は特に手厚く監督。
公取委勧告リスクと信用毀損
公取委の3段階アクション
- 指導:軽微な違反や初回違反時。企業名公表なし、社内改善報告書提出で終了することが多い。年間8,000件前後発生。
- 勧告:重大な違反、または繰り返し違反時。企業名・違反内容が公取委HPで公表され、報道されることが多い。年間10件前後。
- 刑事告発:3条書面不交付・5条書類未保存に対する罰金(50万円以下)。実務ではまれだが、悪質な虚偽記載等は対象。
勧告事例の傾向
公取委は毎年「下請法勧告事案の概要」を公表しており、直近数年の勧告事例では次のパターンが多発:
- 減額(発注後の値引き強要、消費税分の切り捨て、振込手数料の下請負担強要等)
- 支払遅延(60日超支払期日の設定、月末締翌々月末払など)
- 買いたたき(原材料高騰時の据置き、通常対価より著しく低い代金)
- 受領拒否・返品(発注後のキャンセル、瑕疵なき返品)
- 手形長期化(120日超の手形交付、電子記録債権の類似ケース)
企業名公表の実務インパクト
公取委HPでの公表は3年間掲載され、Google検索で企業名+「下請法」と入力すると上位表示されます。上場企業では株価下落、取引先からの信用照会・契約見直し、新規取引開拓の困難など、直接的な事業インパクトが数億円規模に及ぶ事例も。取引先の「下請取引適正化推進月間」(毎年11月)に集中的な監視が入ります。
遅延防止の実務ポイント
支払サイト設計の原則
- 受領日基準で60日以内:検収基準で90日など従来慣行は違法。「20日締翌月末払」なら受領日から30〜60日の範囲に収まるが、月跨ぎで60日を超えないよう管理必要。
- 手形払は120日以内(2024年11月以降):それ以前は下請振出手形は60日以内が推奨。電子記録債権も同基準で扱われる。
- ファクタリング活用:親事業者が指定ファクタリング会社と契約し、下請が即時現金化できる制度は容認。
3条書面の必須記載事項
- 下請事業者の給付内容
- 下請代金の額(算定方法でも可)
- 支払期日
- 下請代金の支払方法・手形の場合の期間等
- 納入場所、検査完了期日、電子的支払手段の場合の追加事項
3条書面は電子交付も認められており、EDIやメール添付PDFで交付可能。ただし「発注前」交付が絶対条件で、発注後の追加交付では違反となる点に注意。
5条書類(発注記録)の保存
親事業者は下請取引の記録(発注日・給付内容・受領日・検査結果・支払日・遅延利息等)を2年間保存する義務があります。年間1,000件超の発注がある企業は下請法対応システム(下請法SaaS)の導入が現実的。手作業のExcel管理では毎年の公取委書面調査対応に耐えられません。
よくある質問(FAQ)
下請法の遅延損害金は必ず年14.6%になりますか?
下請法適用取引では年14.6%が強行規定で、契約で減額特約を結んでも無効です。「双方合意で遅延利息を年3%に減額する」といった合意条項は下請法の趣旨に反し、無効となります。逆に下請事業者から遅延利息を請求しなかった場合でも、公取委は書面調査でチェックしており、事後的に指摘されて追加支払を求められることがあります。
下請法の対象になるかどうかはどう判定しますか?
「①取引区分(製造委託等 or 情報成果物・役務)」と「②親事業者・下請事業者双方の資本金」の2軸で判定します。製造委託等では親3億円超×下請3億円以下、または親1千万円超3億円以下×下請1千万円以下。情報成果物・役務では親5千万円超×下請5千万円以下、または親1千万円超5千万円以下×下請1千万円以下。個人事業主は「資本金なし=1千万円以下扱い」となり下請側にカウントされます。
親事業者の資本金が減資したら下請法適用は外れますか?
資本金要件を下回れば法律上は下請法の対象外になりますが、公取委は「下請法を潜脱する目的の減資」を厳しくチェックしています。減資後も引き続き従来と同様の取引を続けた場合、独占禁止法上の「優越的地位の濫用」として指導・勧告対象となる可能性が高く、実質的な保護は継続します。単純な適用回避目的の減資はレピュテーションリスクも大きく、経営判断としては推奨できません。
支払期日が受領日から60日超だった場合、何が起きますか?
2つのペナルティが同時発生します。①60日を超える設定自体が下請法4条2項1号違反で公取委の指導対象、②受領日から60日を経過した日を法定支払期日とみなすため、それ以後の遅延に年14.6%の遅延損害金が発生。例:受領から90日払と設定していた場合、実質は「60日を過ぎた30日分」に年14.6%が課される計算です。
下請事業者側から遅延損害金を請求する方法は?
①請求書再発行:本体+遅延損害金の合算請求書を発行し、通常業務ラインで送付。②内容証明郵便:請求書と併せて内容証明で通知することで請求の時効中断効を得る。③下請かけこみ寺(中小企業庁委託)に無料相談。取引継続を懸念する場合、④公取委への申告を選択(申告者秘匿制度あり)。実務では①②で解決するケースが大半ですが、常態化した遅延には③④のエスカレーションが有効。
公取委勧告を受けた場合の経済的インパクトは?
直接コストとしては遅延損害金・減額分の返還・改善報告書作成(弁護士・コンサル費用500万〜数千万円)。間接コストは企業名公表による信用毀損・株価下落・新規取引停滞で、大企業では総額数億〜十数億円規模。公取委HP公表は3年間掲載され、Google検索・報道で長期的に影響が残ります。上場企業なら適時開示(重要事実として開示検討)、IR説明会での質疑対応まで発展します。
発注書面(3条書面)はメール・PDFでもよいですか?
電子交付が認められており、EDI・メール添付PDF・受発注SaaS等での交付が可能。ただし下請事業者の承諾が事前に必要(電子契約に関する承諾書の交付)。承諾なしのメール送付は書面交付とみなされないため、EDI導入時は下請への説明・承諾書取得が必要です。実務ではSAP・Ariba・楽楽販売等の受発注システムで対応するのが定石。
手形払(電子記録債権含む)の場合の期間規制は?
2024年11月以降、下請代金の支払手形は60日以内(従来120日)が推奨されました。電子記録債権(でんさい)も同基準。手形の期間が60日を超える場合、公取委は「割引困難な手形」として指導対象とし、下請の資金繰りを圧迫する取引慣行として是正を促します。金融庁と公取委の連携により、金融機関からも下請保護の観点で監視が強化されています。
買いたたき(原材料高騰の据置き)はどのように判断されますか?
公取委は「①従来価格の一方的据置き」「②下請の原価上昇を反映しない価格交渉拒否」を典型的な買いたたき事例として重点監視しています。2022年以降の物価上昇局面では、価格転嫁協議への応諾を親事業者に強く求める指針を発出。単に「据置き」というだけで即違法ではなく、「①下請の申入れの有無」「②協議の実質性」「③価格決定プロセスの合理性」を総合判断します。
下請法の相談窓口はどこですか?
①公正取引委員会 下請取引調査室(各地方事務所):正式な申告・相談窓口、②下請かけこみ寺(中小企業庁委託・全国48拠点):無料・秘匿・弁護士相談も可、③各都道府県の中小企業支援センター:地域密着型の相談、④日本弁護士連合会:法的アドバイスが必要な場合。公取委への申告は申告者の秘匿制度があり、取引先に発覚しにくい仕組みが整っていますが、初期相談は「下請かけこみ寺」から始めるのが実務上の定石です。
出典・参考資料
- 公正取引委員会「下請代金支払遅延等防止法」 https://www.jftc.go.jp/shitauke/
- 公正取引委員会「下請取引適正化推進講習会テキスト」 https://www.jftc.go.jp/shitauke/legislation/text.html
- 中小企業庁「下請かけこみ寺」 https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/kakekomi.htm
- 公正取引委員会「下請法勧告事案・指導事案の概要」(年次公表) https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/
- 下請代金支払遅延等防止法 第4条の2(遅延利息) e-Gov法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/
※本記事の計算結果はあくまで概算です。個別事案の下請法違反判定・遅延損害金請求・公取委への申告は必ず弁護士または公正取引委員会・下請かけこみ寺にご相談ください。