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NO.111 田舎暮らし・完全自給自足・地域おこし協力隊

早稲田→証券マン年収980万を捨てて
島根の里山で田畑5反・米7俵・鶏15羽
完全自給自足・山里慎治(仮名)48歳
移住前貯蓄2,800万温存・年収420万・月10万生活の全実額

FICTION 本記事はフィクション。金額・制度は公的一次データに基づく参考値で、自分の現在地と比較するための構成です。

早稲田大学商学部から東京の中堅証券会社に入り、年収980万まで駆け上がった山里慎治さんは、リーマンショックで顧客資産を吹き飛ばした罪悪感と都会の消耗の果てに、2018年、妻・直子さん(46歳)と長男(当時5歳)を連れて島根県浜田市の里山へ移住した。古民家を400万円で購入、リフォームに600万円、農機具300万、生活立ち上げ200万、計1,500万を移住前貯蓄から取り崩し、田畑5反・鶏15羽・養蜂2箱・米7俵の完全自給自足生活を構築。年収は420万に激減したが、食費は月1.5万、生活費は月10万、移住前貯蓄2,800万のうち2,000万・NISA400万・米貴金属100万は温存したままだ。本稿は、山里さんの0歳から48歳までの全お金記録を、移住費用の領収書、地域おこし協力隊の給付金通知、田畑の収量表まで一次資料ベースで再構成した完全版である。

出身東京都杉並区
学歴早稲田大学商学部(偏差値65)
職歴中堅証券会社17年→2018年退職
移住先島根県浜田市(中山間地)
家族妻46歳・長男13歳の3人
年収420万(道の駅8万+投資コンサル12万+協力隊15万)
支出月10万(食費1.5万)
資産現金2,000万・NISA400万・米貴金属100万

本記事の読み方ガイド:長文(約2,100行・200KB相当)です。時間のない方は以下の優先順位で読むことを推奨します。

  1. まずヒーロー部1.ペルソナ詳細でペルソナの輪郭をつかむ
  2. 3.ライフチャート8.月次キャッシュフローでお金の全体像を把握
  3. 4.移住費用詳細5.自給自足経済で実額を確認
  4. 6.田舎暮らしの真実FAQで現実的な落とし穴を把握
  5. 12.3シナリオ22.10の教訓で自分の人生に応用

各セクションは独立して読めるよう設計されているため、関心のある順番で読み進めることが可能です。

1. ペルソナ詳細・生育環境(東京サラリーマン家庭から島根の里山へ)

1-1. 基本プロフィール

氏名(仮名)山里 慎治(やまざと しんじ)
年齢48歳(1977年11月7日生まれ・蠍座・寅年)
性別男性
出身地東京都杉並区高井戸(実家は築45年の戸建て)
現住所島根県浜田市旭町(中山間地・人口650人の集落)
家族構成妻・直子46歳(元保育士)、長男・蓮13歳(島根県立浜田中等教育学校1年)
最終学歴早稲田大学商学部(偏差値65・2000年卒)
職歴1. 中堅証券会社・営業(2000-2010)
2. 同・投資情報部(2010-2018)
3. フリーランス投資コンサル(2018-現在)
4. 浜田市地域おこし協力隊(2023-現在)
年収(2025年)420万円(道の駅販売96万+投資コンサル144万+協力隊180万)
世帯月支出10万円(食費1.5万・光熱4万・通信1万・税社保2万・その他1.5万)
金融資産2,500万円(普通預金2,000万・NISA400万・米貴金属100万)
不動産古民家+田畑5反(取得価額400万・固定資産税年間1.8万)
負債0円(移住時に住宅ローンを完済)
趣味養蜂・燻製・古書収集・五木寛之の音読・夏井いつきの俳句
健康BMI21・血圧118/72・移住後7kg減・腰痛は田植え後に持病化

1-2. 生育環境:典型的な東京サラリーマン家庭

山里慎治は1977年、東京都杉並区高井戸の戸建てに、父・山里 隆雄(当時33歳・大手生命保険の中堅社員)と母・山里 美佐子(当時31歳・専業主婦)の長男として生まれた。両親はそれぞれ新潟県長岡市と山形県米沢市の出身で、上京してから親戚づきあいの少ない核家族として暮らしてきた。実家は祖父が1965年に建てた木造2階建て・延床28坪・庭3坪・駐車場無しという「東京の典型的な戸建て」で、慎治は2歳下の妹・知佳(現46歳・専業主婦・横浜在住)と2階の6畳間を仕切って育った。

父・隆雄は朝7時に家を出て夜10時に帰る生命保険のサラリーマンで、休日は録画したNHKスペシャルを見ながら缶ビールを飲み、年に2回だけ家族で熱海か日光に温泉旅行に行くという「絵に描いたような昭和の中流サラリーマン家庭」だった。年収は1990年で750万、1995年で920万、2000年の定年延長後は580万に急減し、2007年に63歳で完全リタイア。母・美佐子はパートでヤマザキパンの工場に週3日通い、月7万を家計に足しながら、夕食は必ず家族4人で食べることを譲らなかった。慎治の食卓の記憶は「肉じゃが、ぶり大根、鯖の味噌煮、コロッケ、味噌汁」の循環で、外食は誕生日のサイゼリヤと、年末のおせち代わりの寿司の出前だけだった。

慎治は地元公立の高井戸第三小学校→杉並区立松ノ木中学校→都立西高校という、当時の杉並区の中流家庭の標準コースを歩んだ。塾は中学2年から早稲田アカデミー(当時の月謝3.8万)に通い、高校では駿台予備校の単科ゼミ(数学・英語)を取った。両親は「私立は無理だから国公立に行ってくれ」と繰り返したが、慎治は1995年の早稲田大学商学部に補欠で合格し、入学金30万+授業料年間98万を父が「教育ローン」で組んで賄った。母は入学式の日に、紺のリクルートスーツの慎治の前で「うちにとっては大金だからね」と3回繰り返し、慎治はその言葉を48歳の今も忘れていない。

1-3. 大学時代:バブル崩壊後の就活氷河期世代の入口

早稲田商学部での慎治は、テニスサークル「WMW」に所属しつつ、3年からはゼミでファイナンス論を専攻した。バイトは大手コンビニ高田馬場店で時給920円(当時)、月収7-8万を稼ぎ、奨学金(日本育英会・第二種・月5万・無利子)と合わせて年間180万の小遣いを得ていた。そのうち月3万を「将来の独立資金」としてメガバンクの定期預金に入れ続け、卒業時には140万の貯金が残った──この習慣が、後に山里家の「移住前貯蓄2,800万」の原型になる。

1999年の就活は、まさに就職氷河期の真っ只中だった。慎治は商社・金融・メーカーを中心に58社を受け、内定はわずか2社(中堅証券会社A社と地方銀行B社)。「東京を離れたくない」という理由でA社を選び、2000年4月、東京都中央区日本橋兜町の本社に配属された。初任給は手取り18.2万、住宅手当2万、ボーナス年2回(夏冬合わせて手取り42万)で、年収は約320万からのスタートだった。

1-4. 妻・直子との出会い:保育士と証券マンの偶然

妻・直子(旧姓:飯田)との出会いは2003年、慎治26歳・直子24歳のとき、共通の友人がセッティングした合コンだった。直子は当時、世田谷区の認可保育園で1歳児クラスを担当する保育士で、年収は手取り280万。慎治の年収は当時400万で、「証券マン」という職業に直子は最初警戒したが、慎治の「実家が普通のサラリーマン家庭」というエピソードに安心したという。2005年12月、慎治28歳・直子26歳で結婚。式は表参道のレストランで70人を招き、総額310万、ご祝儀は190万、慎治の貯金から120万を持ち出した。

新居は世田谷区祖師谷の2LDK・家賃13.8万で、結婚後も直子は保育士を続け、世帯年収は800万まで上がった。2010年に第一子を待望するも流産、2012年に長男・蓮を出産。直子は産休育休を経て2015年に職場復帰したが、保育園の人手不足と長時間労働で帯状疱疹を発症し、2016年に退職している。

1-5. 移住前夜:リーマンショックの傷と都会の消耗

慎治のキャリアの転機は、2008年9月15日、リーマン・ブラザーズの破綻だった。当時31歳、営業課長代理として個人富裕層40世帯を担当していた慎治は、9月の1ヶ月で顧客の評価損益が累計マイナス9億2,000万円に達した。とくに痛烈だったのは、慎治が強くプッシュした新興国通貨建ての仕組債を購入していた70代女性顧客が、評価損3,800万を抱えて「もう死にたい」と泣きながら電話してきた一件で、慎治は深夜の事務所で初めてトイレで嘔吐した。

リーマンショック後の3年で、慎治の担当顧客のうち6世帯が完全に証券口座を解約、2世帯が訴訟を起こし(うち1世帯は会社が和解金1,200万で解決)、1名は実際に首を吊って亡くなった。慎治は2010年に営業から投資情報部への異動を希望し、以後はマーケットレポートの執筆と若手教育に従事するが、「自分は人を不幸にして給料をもらっている」という罪悪感は消えなかった。年収は2015年に980万のピークを打ち、月の手取りは58万、ボーナス手取り180万、年間手取り870万に達したが、慎治は同年、初めて自律神経失調症の診断を受け、抗うつ薬(レクサプロ10mg)を処方されている。

決定的だったのは2017年6月、長男・蓮が小学校1年で「お父さん、最近笑わないね」と直子に言ったという話を、入浴後の慎治が直子から聞いたときだった。慎治はその夜、寝室のベッドで初めて声を出して泣き、翌朝、直子に「証券会社を辞めて田舎に行きたい」と告げた。直子は3秒沈黙したあと、「いいよ、私もずっとそう思ってた」と答えた──これが、山里家の島根移住の起点である。

1-6. 移住先選定の72時間:島根県浜田市にたどり着いた理由

移住を決めた2017年6月以降、山里家は計14都道府県・37市町村を比較検討した。慎治がスプレッドシートで採点した評価軸は8項目:(1) 古民家の市場価格、(2) 田畑の取得難易度、(3) 雪・台風の災害リスク、(4) 子の教育環境、(5) 医療アクセス、(6) ネット回線、(7) 移住者支援制度の手厚さ、(8) 直感(「ここで暮らしたい」感)。

最終3候補は、長野県飯山市、徳島県神山町、島根県浜田市。長野は雪深さで除外、神山はIT企業集積で「東京の延長」と感じ除外、浜田は「広島まで2時間で出られる距離感」「島根県・浜田市の補助金が手厚い」「直感の8点満点」で選ばれた。

2018年5月の3度目の現地訪問で、慎治は旭町の現古民家を見て「ここだ」と即決。直子も「家の前から見える棚田の景色を、毎日見られる人生にしたい」と賛成し、その日のうちに不動産屋に手付金50万を預けた。

1-7. 慎治の「副業ポートフォリオ」歴

移住後、慎治は本業(協力隊)以外に複数の収入源を実験してきた。成功と失敗の記録:

2019-2021投資情報メールマガジン(個人向け・月額3,000円・最大40名)→ピーク年144万、現在は閉鎖
2020-現在個人投資コンサル(オンライン・月額10,000円×12名)→年144万・主力副業
2021-2022YouTube「証券マンの里山日記」→月収500-2,000円・労力対効果低く休止
2022-現在note「半農半投資の家計簿」→月額500円×80名サブスク→年48万
2023-現在地元高校の探究学習授業の外部講師→年4回・1回2万=年8万
2024試行古民家の週末民泊(Airbnb)→6件×8,000円=4.8万・コロナ後の海外客減で停止
2025計画移住相談コンサル(任期終了後の主軸)→月10万目標

慎治の哲学:「副業は宝くじ。10個試して2個当たれば成功。失敗を恐れず数を打つ」。

2. 人生年表(0歳〜48歳・お金と意思決定の全48ステップ)

山里慎治の48年間を、年齢・西暦・年収・貯蓄・主要意思決定の5列で整理する。金額は実額(手取りベース・千円単位四捨五入)。

年齢西暦世帯年収累積貯蓄主要イベント・意思決定
01977父540万東京都杉並区高井戸で誕生・父は生命保険サラリーマン33歳
31980父610万妹・知佳誕生・母は専業主婦に専念
61983父680万母名義15万高井戸第三小学校入学・お年玉貯金開始
101987父740万40万家族で初の海外旅行(グアム5日・予算45万)
121989父780万55万松ノ木中学校入学・早稲田アカデミー入塾(月3.8万)
151992父820万70万都立西高校合格・バブル崩壊で父のボーナス減
181995父840万85万早稲田大学商学部入学(補欠・入学金30万)
191996父860万110万大手コンビニ高田馬場店バイト開始(時給920円)
211998父920万180万テニスサークルWMW副代表・ファイナンスゼミ所属
221999父920万140万就活・58社受験で内定2社・中堅証券A社を選択
232000慎治320万140万A社入社・日本橋兜町本社配属・初任給18.2万
252002慎治410万220万個人営業に異動・横浜支店・顧客15世帯担当
262003慎治430万260万合コンで直子(24歳・保育士)と出会う
282005世帯710万410万結婚・式310万・祖師谷の2LDK13.8万入居
302007世帯820万620万父・隆雄が63歳で完全リタイア・退職金1,800万
312008世帯860万720万リーマン破綻・担当顧客評価損9.2億・初の嘔吐
332010世帯870万900万営業→投資情報部へ異動・年収微増だが心は疲弊
342011世帯840万1,050万東日本大震災・東北の防災・自給自足に関心
352012世帯820万1,200万長男・蓮を出産・直子は育休に
362013世帯900万1,400万復帰した直子と世帯900万・初の家族旅行(軽井沢)
382015世帯940万1,800万慎治の年収980万ピーク・自律神経失調症診断
392016世帯910万2,100万直子が帯状疱疹で保育士退職・専業主婦化
402017世帯900万2,400万蓮の「お父さん最近笑わない」事件・移住決意
412018春世帯450万2,650万慎治退職・退職金850万受領・島根県浜田市に下見4回
412018夏世帯260万2,800万古民家400万購入契約・売主は元村長の遺族
412018秋世帯260万2,400万リフォーム600万着工(断熱・水回り・薪ストーブ)
422019世帯180万1,950万3月正式移住・農機具300万・生活立ち上げ200万
422019秋世帯180万1,800万初年度の田植え・収穫4俵(米農家として駆け出し)
432020世帯210万1,750万コロナ禍・投資コンサル副業を本格化(月8万へ)
442021世帯280万1,820万道の駅出荷開始・米5俵・野菜販売月3万
452022世帯330万1,900万養蜂2箱導入・初めての黒字年(年20万のプラス)
462023世帯400万2,050万地域おこし協力隊採用・月15万の安定収入
472024世帯420万2,300万米7俵達成・長男が県立中等教育学校進学(学費月1.2万)
482025世帯420万2,500万NISA満額継続・米貴金属購入・出版オファー1件

注:2018年以降、世帯収入は急減したが、移住費用1,500万を取り崩した結果、2019年の累積貯蓄が1,800万まで一時減少。その後、地域おこし協力隊と道の駅収入で2025年には2,500万まで回復している。NISA口座は退職金から400万を一括投入し、現在も全額温存中。

2-1. 年表に見る重要な5つの転換点

  1. 1995年(18歳):早稲田大学商学部入学・両親が「うちにとっては大金」発言・お金観の原点形成
  2. 2008年(31歳):リーマンショック・顧客自殺・職業観の崩壊と再構築の起点
  3. 2017年(40歳):長男「お父さん最近笑わない」発言・移住決意・家族価値観の転換
  4. 2019年(42歳):正式移住・移住前貯蓄2,800万→1,800万への激減・第二の人生開始
  5. 2023年(46歳):地域おこし協力隊採用・収入安定化と地域内ポジション確立

2-2. 同時期の社会経済イベントと山里家の対応

2008年・リーマンショック顧客資産9.2億の評価損・うつ症状発症
2011年・東日本大震災東北の自給自足コミュニティに関心・関連書籍10冊読破
2014年・消費税8%東京の生活コスト上昇・移住への意識萌芽
2019年・消費税10%移住直後で支出への影響軽微(自給自足で吸収)
2020年・コロナ禍投資コンサル副業を本格化・地方移住ブームに後押し
2022年・ロシア侵攻インフレ食料・エネルギー高騰だが自給自足で吸収・米貴金属購入開始
2024年・新NISANISA枠拡大に対応・配偶者と合算800万の活用検討
2025年・地方創生第二期協力隊任期最終年・独立準備に活用

2-3. 慎治の3つの「人生の証言記録」

(1) 2008年9月15日・リーマン破綻当日のメモ(実物再現)

「9/15 月曜。朝7時、テレビでリーマン破綻のニュース。会社に着いたら全社員緊急招集。社長から『顧客対応を最優先せよ』。担当40世帯への電話を9時から始める。最初の山田様(72歳)から『どうしてくれるんだ』と1時間怒鳴られる。次の佐藤様(68歳)からは『もう投資はやめる、全部解約してくれ』。お昼休み、トイレで初めて吐く。胃液だけ。午後、新興国通貨建て仕組債を持つ田中様(76歳・女性)から『もう死にたい』と泣きながら電話。1時間半話を聞く。夜10時、会社を出る。中央線の電車で、夜景を見ながら『この仕事は誰のためなんだろう』と考える。家に帰って直子に何も言えず、ビールを2本飲んで寝る。」

(2) 2017年6月15日・移住決意の夜のメモ

「6/15 木曜。仕事から帰宅22時半。直子からお風呂上がりに『今日、蓮が言ってたんだけどね』と切り出される。『お父さん、最近笑わないね』──蓮5歳の言葉。直子は『パパは仕事で疲れてるんだよ』と答えたらしいが、蓮は『でも、田中くん(蓮の友達)のお父さんは、ニコニコしてるよ』と返したという。寝室のベッドで、初めて声を出して泣いた。30分くらい。直子が背中をさすってくれた。涙が止まった後、『辞めようと思う、会社』と言った。直子は3秒沈黙して『いいよ、私もずっとそう思ってた』。電気を消して寝るまで、二人で30分くらい移住先候補を話し合う。長野・山梨・徳島・島根。明日、会社で具体的に動き出す。」

(3) 2019年4月1日・新生活初日のメモ

「4/1 月曜。島根県浜田市旭町、新居初日。朝5時に自然と目が覚める。東京では絶対に出来なかった早起き。窓の外、棚田の景色。鳥の声。妻も蓮も眠っている。土間で薪ストーブの火を起こす。お湯を沸かしてコーヒーを淹れる。豆は東京から持ってきた銘柄。窓辺の椅子で、両手でカップを持ち、湯気を眺める。涙が出てきた。『俺は、ここに来るために42年生きてきたのかもしれない』と思った。直子と蓮が起きてくる。蓮が『お父さん、ここ、うちなの?』と聞く。『そうだよ、ずっとうちだよ』と答える。蓮はニコッとして、土間を駆け回る。家族3人で、自家米ではなく東京から持ってきたサトウのご飯と味噌汁の朝食。新生活が始まった。」

3. 生涯収支ライフチャート(年収980万→420万への急転と支出激減)

横軸:年齢(0歳〜80歳の予測)/縦軸:年間収支(万円)。青線は世帯年収、赤線は世帯支出、緑塗りは累積貯蓄。2018年の移住で年収が急落したが、同時に支出も急落した結果、累積貯蓄は2019年の谷を経て回復軌道に乗っている。

山里慎治・生涯収支ライフチャート(0〜80歳) 1200 1000 800 600 400 200 0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 2018 / 41歳:島根移住・年収980→260万 2023:地域おこし協力隊採用 世帯年収 世帯支出 累積貯蓄 山里慎治 0〜80歳・収入と支出の急転と均衡(万円)
2018年(41歳)の島根移住で世帯年収は980万→260万まで急減したが、同時に支出も480万→200万へ激減。2023年の地域おこし協力隊採用で年収は420万まで回復し、累積貯蓄は2,500万を維持している。

3-1. ライフチャートが示す3つの真実

  1. 収入と支出は同時に動く:東京での年収980万・支出480万は、島根での年収420万・支出200万と、可処分所得ベースでは同等水準。
  2. 移住の谷は4年で抜ける:2018年から2022年までの貯蓄取り崩しは1,000万円規模だが、2022年以降は黒字転換し、2025年時点で移住前水準を回復。
  3. 老後の収支は予測可能:地域おこし協力隊の任期(最長3年)終了後も、年金+道の駅+投資コンサルで月15万の収入が見込まれ、貯蓄2,500万+NISA400万があれば80歳まで赤字にならない。

3-2. 移住前後の収入構成変化(円グラフ的記述)

2017年(東京・移住前):慎治給与980万(100%)/合計980万

2025年(島根・現在):地域おこし協力隊180万(43%)+投資コンサル144万(34%)+道の駅96万(23%)/合計420万

収入源の数:1→3に多様化。1つの組織に依存していた東京時代から、3つの異なるエコシステム(行政・市場・地域)に分散した移住後の方が、ショックへの耐性は高い。

3-3. 累積貯蓄推移の詳細(年末資産・千円単位)

2015年18,000千円(東京・年収980万ピーク)
2016年21,000千円
2017年24,000千円(移住決断)
2018年28,000千円(退職金850万受領)
2019年18,000千円(移住費用1,000万取り崩し)
2020年17,500千円(生活立ち上げ+初年度赤字)
2021年18,200千円(黒字転換初年)
2022年19,000千円
2023年20,500千円(協力隊採用)
2024年23,000千円
2025年25,000千円(普通預金のみ・NISA別途400万)

移住前ピーク2,800万から2,500万までの差は、実質300万円。一方、移住で得た「自由・健康・家族」の総合的価値はそれを大幅に上回ると慎治は評価している。

4. 移住費用詳細・1,500万の内訳と1円単位の支出表

2018年4月から2019年6月までの15ヶ月間で、山里家が支出した移住費用の総額は1,503万8,200円。この金額は、慎治の退職金850万+移住前貯蓄2,800万のうち653万を充当して支払われた。以下、4大カテゴリ別の詳細。

4-1. 古民家購入:400万円(土地5反含み)

物件所在島根県浜田市旭町今市・標高220m・南向き斜面
築年数1953年築(築72年)・木造平屋+2階・延床128㎡
付属土地宅地312㎡+田3反(約30a・3,000㎡)+畑2反(約20a・2,000㎡)
本体価格3,800,000円
仲介手数料189,000円(浜田市の地元不動産・宅建士1名)
登記費用123,500円(司法書士報酬82,000+登録免許税41,500)
印紙代10,000円(売買契約書・1,000万以下)
固定資産税精算21,400円(売主との日割り)
農地法3条許可申請17,000円(農業委員会・行政書士込み)
合計4,160,900円

売主は1985年まで浜田市旭町の村長を務めた故・上原幸夫氏(2015年に89歳で逝去)の遺族で、空き家のまま3年放置されていた物件。慎治は2018年GWに4回現地を訪れ、5月3日に1度目の売買交渉、5月14日に契約締結。引き渡しは2018年6月10日。

4-2. リフォーム:600万円(断熱・水回り・薪ストーブ・耐震補強)

断熱工事(壁・床・天井)1,820,000円(高性能グラスウール・気密シート・断熱サッシ8枚)
水回り全面(キッチン・風呂・トイレ)2,180,000円(タカラスタンダード・ユニットバス1216・ウォシュレット)
薪ストーブ設置(ノルウェー製ヨツール)620,000円(本体380,000+煙突工事240,000)
耐震補強(筋交い・基礎補強)740,000円(県の耐震診断補助で実質負担540,000)
屋根葺き替え(瓦→ガルバリウム)520,000円(92㎡)
外壁塗装+雨樋交換180,000円
電気工事(配線・分電盤・LED)240,000円
合計6,300,000円(県・市の補助金120万差し引き後の自己負担額)

施工は浜田市内の地元工務店「中島工務店」(職人4名)に依頼。工期は2018年9月〜2019年2月の5ヶ月。山里家は2018年6月から2019年2月までの8ヶ月間、隣の集落の空き家(家賃月2万・光熱費別)を仮住まいとした。仮住まい家賃16万+引越し費用2回分(東京→仮住まい12万・仮住まい→本宅3万)の計31万も別途発生している。

4-3. 農機具:300万円(中古中心)

軽トラック(ダイハツ・ハイゼット2015年式・走行4.2万km)620,000円(地元中古車屋)
耕運機(クボタ・GT-5・2010年式中古)380,000円
田植機(クボタ・SPJ4・2008年式中古)520,000円
コンバイン(ヤンマー・GC325・2009年式中古)720,000円
乾燥機・籾摺り機(共用施設利用契約・年間8千円)0円(地元集落の共同施設)
草刈機(ホンダ刈払機×2+ハスクバーナ・チェンソー)185,000円
養蜂セット(巣箱2+燻煙器+防護服+採蜜器)140,000円
鶏小屋資材+初期ヒナ15羽(名古屋コーチン)92,000円
その他農具(鍬・鎌・スコップ・噴霧器・苗箱100枚)83,000円
合計2,740,000円

4-4. 生活立ち上げ:200万円

家族用ワゴン(マツダMPV・2014年式中古)980,000円
家具・家電(薪ストーブ以外の暖房器具・冷蔵庫・洗濯機・寝具)520,000円
水道引込工事(既存井戸+上水道引込)180,000円
浄化槽設置(5人槽・市の補助金後の自己負担)110,000円
プロパンガス契約(ボンベ50kg×2基設置)38,000円
光回線引込(NTT・10万→補助で実質4万)40,000円
引越し関連(家具廃棄・追加運搬)62,000円
地域加入金(自治会・水利組合・集落運営費)50,000円
合計1,980,000円

4-5. 補助金で取り戻した235万

山里家が浜田市・島根県・国から受給した補助金の総額は235万円。内訳:

補助金は移住後1年〜3年に分割で振り込まれ、実質的な自己負担額は1,503万→1,268万に圧縮された。

4-6. 移住費用1円単位レシート(一部抜粋)

慎治は移住費用の全レシートをエクセル管理し、現在も保管している。一部抜粋:

4-7. 移住資金の調達ロードマップ(時系列)

2017年6月移住決断時の手元資金:2,400万円(普通預金1,800+投信500+退職金未受領)
2017年12月投信を全売却→現金化 1,950万、年末ボーナス手取り180万入金で計2,130万
2018年3月退職金850万受領で計2,800万円のキャッシュポジション完成
2018年5月古民家手付金50万支払
2018年6月古民家残金350万支払、累積貯蓄2,400万に
2018年9月リフォーム着手金200万支払、累積2,200万に
2018年12月リフォーム中間金200万支払、累積2,000万に
2019年2月リフォーム残金200万+農機具中古一括250万支払、累積1,550万に
2019年6月生活立ち上げ200万+追加修繕38万支払、累積1,300万に
2019年12月NISA口座開設、年金原資400万を別途確保(普通預金から振替)
2020年12月補助金235万受領で累積1,600万に回復
2025年12月累積貯蓄2,000万+NISA400万+米貴金属100万=資産2,500万

4-8. 「もしローンを組んでいたら」の試算

仮に山里家が、古民家400万+リフォーム600万=1,000万を住宅ローン(金利1.5%・25年返済)で組んでいた場合:

慎治の判断「現金一括払い」は、結果的に1,200万円の機会損失を回避し、心理的な月々返済プレッシャーから家族を守った。

5. 自給自足経済・食費月1.5万の正体と年間収穫量の全実績

山里家の食費は月1万5,000円、年間18万円。これは東京での同世帯の平均食費84万円(総務省2024年家計調査)の約21%に過ぎない。なぜここまで圧縮できるのか。鍵は、田畑5反・鶏15羽・蜂2箱からの自給自足と、地域の物々交換・出役(しゅつえき)経済にある。

5-1. 食費月1.5万の内訳(2025年実績)

調味料(醤油・味噌・酢・砂糖・油・酒)3,200円/月(味噌は手作り、醤油は地元仕込み品を年1回まとめ買い)
800円/月(沖縄の天然塩・1.5kg/月)
魚介(地元浜田漁港の朝市)4,500円/月(のどぐろ・ハマチ・アジ・イカ)
肉(鶏肉以外=牛・豚)2,800円/月(地元A-coopの特売)
乳製品(牛乳・チーズ・バター)1,800円/月(島根県産パスチャライズ牛乳)
果物(自家産以外の柑橘・バナナなど)900円/月
嗜好品(コーヒー・紅茶・お茶)1,000円/月
合計15,000円/月

5-2. 年間収穫量・自給率93%の根拠

米(コシヒカリ)3反作付け・年7俵(420kg)・自家消費180kg・道の駅販売240kg
野菜(年間種類)キャベツ・大根・人参・じゃがいも・玉ねぎ・トマト・きゅうり・ナス・ピーマン・かぼちゃ・里芋・サツマイモ・ほうれん草・小松菜・水菜・春菊・白菜・ねぎ・しょうが・にんにく・ハーブ各種=約32品目
果樹柿(年90個)・梅(年12kg)・栗(年8kg)・ぶどう(年4kg)・ブルーベリー(年3kg)
鶏(名古屋コーチン15羽)卵:年2,800個(うち500個は地元へ販売)/成鶏処分:年4羽(自家食用)
蜂蜜(日本蜜蜂2箱)年12kg(自家消費3kg・販売9kg・600g瓶15本)
米麹・味噌年仕込み量:味噌25kg(家族年消費量の100%)
梅干し・梅酒年仕込み:梅干し3kg・梅酒6L
燻製(鶏胸・卵)月1回・薪ストーブの煙突を活用

5-3. 自給自足の例外:買わざるを得ない品目

山里家が「自給できない」と認めて買い続けているのは以下の通り。これらは概念的に「現代日本では完全自給は不可能」と慎治が割り切った領域である。

5-4. 地域の物々交換・出役経済

金銭を介さない経済が、山里家の食卓の3割を支えている。慎治は移住直後、「都会的常識」で全てに対価を払おうとして、隣家から「水臭い」と本気で叱られた経験がある。それ以降、彼は「お金で清算しない関係」の重要性を学び直した。

5-5. 自給自足の年間収益化(道の駅販売)

米(コシヒカリ240kg・玄米5kg袋=48袋)2,800円×48=134,400円/年
野菜(季節物・年間出荷回数約180回)平均1回1,500円=270,000円/年
蜂蜜(600g瓶15本)1,800円×15=27,000円/年
卵(10個入りパック・年300パック)500円×300=150,000円/年
梅干し・味噌(年に各5kg販売)合計58,000円/年
道の駅手数料15%控除後年間総売上639,400円・手取り約543,500円
月平均約45,000円/月

慎治は道の駅販売を「年90万」と言うが、出荷経費(袋・ラベル・運搬燃料)を差し引いた純利益は約8万/月で、これがペルソナ概要の「道の駅販売 月8万」の根拠である。

5-6. 1日の食卓の実例(2025年4月の3日分)

4月10日(火)

4月15日(日)・特別なごちそうの日

4月22日(月)・農繁期の質素飯

3日間の食材費合計:約3,000円。月平均1日500円×30日=月15,000円が実額の根拠。

5-7. エネルギー自給率の試算

暖房(薪・自家伐採+集落調達)自給率 100%(年間4立米)
給湯(プロパンガス)自給率 0%(月9,800円の購入)
調理(プロパン+薪ストーブ)自給率 約30%(薪ストーブ調理活用)
電気(中国電力購入)自給率 0%(太陽光は将来検討)
飲料水(上水道)自給率 0%(井戸は雑用水)
雑用水(井戸)自給率 100%(洗濯・風呂・打水)
食料総合自給率 約93%(米・卵・野菜・蜂蜜・果樹)

5-8. 田畑5反の年間労働カレンダー

1月農具のメンテ・薪割り・確定申告準備(労働約60時間)
2月苗代の準備・籾の塩水選・剪定(約80時間)
3月苗代の播種・耕運機による田起こし・春野菜の植え付け(約120時間)
4月代掻き・田植え準備・春野菜の管理(約140時間)
5月田植え(最大繁忙期)・夏野菜植え付け・養蜂始動(約180時間)
6月除草(手取り+除草機)・梅収穫・梅干し仕込み(約160時間)
7月除草継続・夏野菜収穫ピーク・道の駅出荷頻度UP(約170時間)
8月夏野菜収穫・自治会出役(草刈り)・お盆対応(約140時間)
9月稲穂の管理・秋野菜の植え付け・蜂蜜採蜜(約130時間)
10月稲刈り(最大繁忙期)・籾摺り・新米出荷(約200時間)
11月秋野菜収穫・冬支度・薪確保・干し柿仕込み(約120時間)
12月味噌仕込み・正月準備・年末出荷・確定申告準備(約90時間)
年間合計約1,590時間(夫婦合算で約2,400時間/農作業のみ)

慎治の労働時間内訳:田畑1,590時間+協力隊1,400時間+投資コンサル720時間=年3,710時間。週平均71時間。東京の証券マン時代(年2,400時間)より約1.5倍働いているが、本人曰く「労働の質が全く違うので、疲労感は3分の1」。

5-9. 自給自足の「実費換算」

もし山里家が現在の自家消費食材を全てスーパーで買ったら、年間どのくらいかかるか?

米180kg(自家消費分)無農薬コシヒカリ相場で年12万円相当
野菜32品目家族3人の有機野菜年間相場で年30万円相当
卵2,300個(自家消費分)平飼い卵相場で年9.2万円相当
蜂蜜3kg(自家消費分)国産日本ミツバチ蜂蜜相場で年4.5万円相当
梅干し3kg・梅酒6L市販相場で年2.4万円相当
味噌25kg有機味噌相場で年5万円相当
果樹(柿・栗・ブルーベリー等)市販相場で年3万円相当
合計年間約66万円相当の自家生産

慎治の労働時間1,590時間で年66万円の食料を生産しているので、時給換算すると約415円。最低賃金以下に見えるが、これは「労働+健康+食の安全+家族の絆+地域の関係性」の総合パッケージとして捉えるべき経済活動である。

6. 田舎暮らしの真実・移住者が直面する10の落とし穴

「田舎は物価が安く、人情があり、自然が豊か」という移住雑誌のキャッチコピーは、半分は本当で、半分は嘘だ。山里慎治が7年間で経験した、雑誌に書かれない真実を10項目で記録する。

6-1. PTA・自治会・冠婚葬祭:時間を奪う「無償労働」

移住前の慎治の想定では、自治会費は年8,000円程度だった。実際は、年会費12,000円+お盆灯籠寄付3,000円+秋祭り寄付5,000円+自治会館修繕積立2,000円+出役免除金1万円(参加できない場合のみ)+冠婚葬祭の香典・祝儀(年5〜6回・1回1万円)=年間最低7万円・最大15万円の出費が発生する。これに加えて、自治会の役員(5年に1度回ってくる)になった年は、別途3〜5日分の労力が無償で必要になる。

PTAも同様で、長男・蓮の中等教育学校では、年に運動会・文化祭・登校班指導・地区懇談会・卒業対策委員会など、両親いずれかが必ず参加すべきイベントが12回。直子は2024年度から地区委員になり、月平均8時間の無償労働を提供している。

6-2. 水道引込:井戸との二刀流

古民家には1953年築当時からの井戸(深さ8m・湧水量毎分12L)があったが、リフォーム時に水道局から「飲用は推奨しない」と言われ、上水道引込工事に18万円を投じた。それでも、洗濯・風呂は井戸水、飲用・調理は水道水と使い分け、月の水道代は2,800円に抑えている。慎治が東京時代に支払っていた水道代は月4,200円だったので、わずかだが安くなった計算。

6-3. 冬季の凍結対策:初年度の悲劇

2018年12月の初冬、慎治は東京の感覚で水道管の保温材を巻かなかった結果、12月31日の朝、台所と風呂場の給湯管が凍結破裂した。修理費は元日料金で78,400円。さらに2019年1月、薪ストーブの灰受けに残った熾火が床板を焦がし、消防署に通報されかけた事件もあった(実害は床板の焦げ跡のみ)。以降、毎年11月最終週は「冬支度の週」として、水道管保温・薪ストーブ煙突清掃・タイヤ交換・除雪機メンテを必ず実施している。

6-4. 医療アクセス:最寄り病院まで車で27分

山里家から最寄りの内科クリニックまで車で12分、総合病院(浜田市国保総合病院)まで27分、夜間救急対応病院まで38分。長男・蓮が2020年に高熱を出した深夜、救急車を呼んだが現場到着まで22分かかった。以降、慎治は車に常備薬・解熱剤・抗生物質(処方済み)・体温計・パルスオキシメーターを常時積載している。

東京時代は徒歩6分のクリニックに行けば良かったが、現在は通院1回につき往復24分のドライブが必須。雪の日や台風の日には実質的に通院不能になる。

6-5. 通信インフラ:光回線が来てラッキー

幸運にも山里家のある旭町は、2019年に島根県と浜田市が共同で整備した光回線エリア内にあり、NTTフレッツ光・1Gbpsを月5,200円で利用できている。これは慎治の投資コンサル業務(オンライン会議・データ分析)にとって死活的に重要なインフラで、もし光回線がなければ移住自体を断念したと慎治は語る。

しかし、隣の集落(直線距離2km)はまだADSL止まりで、移住希望者が「ネット環境」を理由に断念するケースも頻発している。

6-6. 子の教育:選択肢が極端に少ない

長男・蓮は2024年に島根県立浜田中等教育学校(公立中高一貫・入試あり)に合格した。これは旭町から車で35分・自宅から最も近い「中学受験で行ける選択肢」だった。私立中学は浜田市内には存在せず、もし蓮が公立中高一貫に落ちていたら、慎治家は移住を継続すべきか深刻に悩んだという。

大学進学を見据えると、島根大学・島根県立大学以外は全寮制または下宿が必要。慎治は蓮が18歳になった時点で、年200万の仕送り原資を別途確保することを長期計画に組み込んでいる。

6-7. 物価の二重構造:食料は安いが、その他は東京と同じ

地元産の米・野菜・魚は東京の半額〜3分の1で買えるが、家電・衣料・書籍・ガソリン・自動車関連は東京と同じか、ガソリンに至っては東京より高い(2025年4月時点で1L186円・東京の平均より8円高)。「田舎は物価が安い」は、食料に限った話で、衣料品・電子製品はAmazonかネット通販に頼るしかない。

6-8. 高齢者比率:集落の平均年齢68歳

山里家のある集落(28世帯・人口52人)の平均年齢は68歳。同年代の40代世帯は山里家を含めて2世帯のみ、子持ち世帯は1世帯だけ(つまり山里家のみ)。長男・蓮の遊び友達は集落内には存在せず、車で15分の街中の子と遊ぶか、オンラインゲームで都会の友人と繋がるかの二択になっている。

6-9. ガス・灯油・薪:エネルギー多重化が必須

山里家の冬季暖房は、薪ストーブ(メイン・1日12時間燃焼)+灯油ファンヒーター(朝の補助)+電気カーペット(蓮の部屋)の三段構え。年間の薪消費量は約4立米(地元の山林から自家伐採+集落内で余った木の譲り受け、購入分は0円)、灯油は年200L(38,000円)、電気は12月〜2月のみ月12,000円増。

東京のオール電化マンション時代の冬季電気代は月18,000円だったので、エネルギーコスト全体で見ると年間4万円ほど安くなっているが、薪割り・灯油配達依頼・煙突清掃の労力を加味すれば、決して「楽」ではない。

6-10. 関係性の濃さ:プライバシーの希薄化

移住して半年後、慎治は集落の老婆から「東京から来た山里さんとこ、お風呂は朝に入っとるみたいねぇ」と声をかけられて凍りついた。集落では、煙突から立つ朝の煙、軒下の洗濯物、軽トラの動き、宅配便の配達時間まで、全てが「観察」されている。慎治は移住前、「東京の希薄な人間関係」に疲れていたが、移住後3年目に「東京の希薄さは、希薄であるがゆえの自由でもあった」と認めるようになった。

6-11. 移住者あるある「失敗7選」と山里家の対処

  1. 「都会的な野菜(ルッコラ・パクチー)を育てたが地元では売れない」:山里家もハーブを育てたが、道の駅では1パック150円でも売れず、結果的に自家消費へ。翌年から地元志向の「白菜・大根・玉ねぎ・じゃがいも」を主軸に。
  2. 「集落のしきたりに合わせず孤立」:新参者が「自分流」を貫くと10年経っても外様扱い。山里家は移住1年目から自治会の役員補佐を引き受け、信頼を積み上げた。
  3. 「子どもが寂しがり、夫婦喧嘩が増える」:蓮も移住直後、東京の保育園の友達と離れて泣いた時期があった。月1回の東京帰省と、地元の子育てサークル参加で乗り越えた。
  4. 「冬の寒さでうつ気味になる」:島根の冬は曇天が多く、日照時間が東京の70%。慎治は12〜2月の朝、ビタミンD(サプリ)と人工太陽光ライト(朝30分)で対策。
  5. 「ネット通販の配達が遅い・追加料金」:Amazonは即日配達対応外、大手宅配会社は中山間地割増あり。山里家はまとめ買い・月1回の浜田市街買い物で対応。
  6. 「地元の方言が聞き取れず会話が成立しない」:移住1年目は集落の老人会の会話の40%が理解不能。3年で90%理解、5年でほぼ完全理解。
  7. 「車の維持費が想定以上」:軽トラ+ワゴンで年間維持費(保険・税・車検・ガソリン・整備)合計約36万。東京時代の電車代年間18万の2倍。

6-12. 「行政の縦割り」あるある

山里家が移住手続きで体験した行政手続きの数:

慎治は2018-2019年の移住手続きで、上記すべてに2人で対応した経験から、現在は地域おこし協力隊として「移住手続きパッケージ・ガイドブック」を作成し、新規移住者に提供している。

7. 業界詳細・地方移住・自給自足・関係人口の現在地

山里慎治のような「都市から地方への移住・半農半X」は、2010年代後半から急速に拡大し、2025年現在では年間14万人規模の社会現象となっている(総務省・2024年地方移住動向調査)。本節では、移住業界・自給自足経済・地域おこし協力隊・関係人口の4軸でデータを整理する。

7-1. 地方移住の実数推移(2015→2025)

2015年東京圏→地方移住者数:年間21,000人(うち40代以下55%)
2018年同:48,000人(山里家もこの年)
2020年同:92,000人(コロナ禍でピーク)
2023年同:110,000人(リモート定着で高止まり)
2025年同:140,000人(推計・地方創生交付金第二期効果)

島根県への移住者は2024年度で1,840世帯・3,210人。うち浜田市は92世帯・158人で、県内で松江市・出雲市に次ぐ第3位の受け入れ実績。

7-2. 移住者の3類型

  1. 完全リモート型(IT・コンサル・クリエイター):東京の仕事を継続しつつ移住。年収維持率が高く、平均年収は東京時代の82%。慎治の投資コンサル副業はここに該当。
  2. 地域おこし協力隊型:自治体の制度を活用、月15〜20万の給与+活動費。任期最大3年・任期後の定着率は全国平均64%。慎治の主収入はここ。
  3. 完全就農・転職型:農業・漁業・林業に就業。平均年収は移住前の34%まで激減するが、生活コストも激減し、可処分所得ベースでは均衡する世帯が多数。慎治の田畑5反運営はこの類型に近い。

7-3. 地域おこし協力隊・制度の現在地

地域おこし協力隊は、総務省が2009年に開始した制度で、都市住民が条件不利地域に移住し、3年以内の任期で地域協力活動に従事する仕組み。隊員1人当たり国費で年最大470万円(給与・活動経費)が自治体に交付される。山里慎治の場合:

所属島根県浜田市役所・産業観光部・地域づくり課
任期2023年4月〜2026年3月(3年・最終年度)
給与(手取り)月15万円・年180万円(額面月20万)
活動経費(実費精算)年200万円(PC・車燃料・出張・研修)
主活動(1) 旭町地区の空き家マッチング、(2) 移住希望者向けの相談窓口、(3) 半農半X実践者ネットワーク構築、(4) 道の駅旭温泉の販路開拓
勤務形態週4日(実際は柔軟・農繁期は減らせる)

慎治は2026年3月の任期終了後、市が用意する「協力隊起業支援補助金」(最大100万円)を活用して、移住コンサルティング個人事業主として独立する計画を立てている。

7-4. 半農半Xの所得構造

「半農半X」は、農業を生業の半分とし、残り半分を本人の特技(X)で稼ぐスタイル。塩見直紀氏の提唱で2003年頃から広がった概念。山里家の所得構造は、まさに半農半Xの教科書的事例:

7-5. 関係人口・観光客でも移住者でもない第三の概念

「関係人口」は、定住人口でも交流人口でもない「地域に多様に関わる人」を指す総務省概念。2025年時点で全国に約1,900万人と推計され、山里慎治は浜田市側の「受け皿」として、関係人口を移住予備軍に育てる役割を担う。具体的には:

7-6. 自給自足経済の市場規模

「自給自足志向の世帯」は2024年時点で全国に推定82万世帯。専業の自給自足世帯(年間自給率80%以上)は約4.2万世帯、半自給型(年間自給率40〜80%)は約78万世帯。市場規模としては、農機具・種苗・農園資材・移住相談・関連書籍を合わせて年間約4,800億円(2024年・矢野経済研究所)。

7-7. 直近の制度変化と政策動向

7-8. 国・自治体別の移住助成金マップ(2025年)

島根県浜田市定住奨励金(家族世帯3年継続居住)100万円+空き家改修20万+3歳未満子育て世帯一時金30万
島根県全体UIターン促進補助60万+耐震改修50万+奨学金返還補助36万/年
国(東京圏移住)東京23区から地方移住で最大100万円(単身60万)+子育て世帯加算30万
島根県奥出雲町新婚世帯30万+古民家購入補助50万+第3子以降出産祝い100万
島根県美郷町UIターン定住奨励金120万+住宅取得補助150万(県内最高水準)
鳥取県智頭町移住者起業支援300万円+空き家活用50万+森林ボランティア活動費
岡山県西粟倉村百年の森林事業による林業就労支援、年収400万保証+住居斡旋

7-9. 半農半X実践者の年収統計(2024年・全国2,400人調査)

下位25%(年収300万未満)新規移住3年以内・専業就農志向・副業未開発
中央値(年収380-450万)移住5年以上・地域おこし協力隊経験・複数収入源確立
上位25%(年収550万超)都市キャリアの専門性をリモートで生かす型・出版や講演収入あり
上位5%(年収800万超)地方発のスタートアップ起業者・観光・宿泊・特産品ECで成功

山里慎治の年収420万は、半農半X実践者の中央値ゾーン。上位25%入りの可能性は、移住コンサル独立の成否で決まる。

7-10. 関係人口の収益化モデル(5パターン)

  1. 米オーナー制度:1区画3万円×30口=年90万円。山里家も2024年から開始。
  2. 農業体験ツアー:1人1日5,000円×年200人=年100万円。リピート率4割が目標。
  3. ふるさと納税返礼品:米・蜂蜜・野菜セット。粗利30%・年200万売上で純利60万。
  4. 移住希望者向けお試し住居:古民家の一室を週末民泊として貸し出し。年30件×8,000円=年24万。
  5. クラファン・コミュニティ運営:月額500円×100人=年60万円。コアファン化が鍵。

7-11. 都道府県別・移住者受入れ数ランキング(2024年)

1位 長野県年間4,820人(上田・松本・佐久エリア中心)
2位 静岡県年間3,940人(伊豆半島・浜松周辺)
3位 山梨県年間3,210人(北杜・八ヶ岳エリア)
4位 福岡県年間3,180人(福岡市・糸島・北九州)
5位 広島県年間2,890人(瀬戸内海島嶼部)
......
22位 島根県年間1,840人(松江・出雲・浜田)

7-12. 自給自足世帯のエネルギー自給率分布

全国の自給自足志向世帯約4.2万世帯のエネルギー自給率分布(2024年・自給自足協会調査):

山里家のエネルギー自給率は約30%(暖房は完全自給だが、給湯・電気・調理の一部は購入)。今後5年で太陽光発電(自家消費型・40万円投資)を計画中で、達成目標は60%。

7-13. 移住者の3年定着率と離脱理由

2018-2020年に地方移住した世帯の3年定着率は78%(22%が3年以内に離脱)。離脱理由トップ5:

  1. 収入減・生活コストミスマッチ:38%
  2. 地域コミュニティとの不適合:22%
  3. 子の教育環境への不満:14%
  4. 配偶者・家族の不適応:12%
  5. 医療アクセス・健康問題:8%
  6. その他(親の介護・仕事都合):6%

山里家は移住7年目で定着率の22%離脱層を脱しており、現在は「定住層」としてカウントされる。

8. 月次キャッシュフロー(Sankey図・月収35万→月支出10万+貯蓄25万)

2025年現在、山里家の月次収入合計は約350,000円(手取り)、月次支出は100,000円、月次貯蓄・投資は250,000円。Sankey図で全フローを可視化する。

山里家・月次キャッシュフローSankey 月次キャッシュフロー(2025年・単位:千円) 地域おこし協力隊月150 投資コンサル 月120 道の駅販売 月80 月次収入合計350千円 食費 15 光熱・燃料 40 通信 10 税・社保 20 その他 15 貯蓄・投資月250 普通預金 130 NISA積立 50 教育・予備費 70
月次収入35万円のうち、生活費10万円を引いた25万円が貯蓄・投資に回る。年間で約300万円を積み上げ、移住前貯蓄2,800万に上乗せされている。

8-1. 月次10万円支出の細目(2025年4月実績)

食費15,200円(うち調味料3,200・魚介4,500・乳1,800・果物900・調味油1,800・嗜好品1,000・その他2,000)
電気代11,400円(オール電化ではないので夏冬以外は7,000台)
プロパンガス9,800円(風呂・調理)
灯油4,200円(補助暖房・年間平均化)
水道2,800円(井戸併用で抑制)
軽トラ+ワゴン燃料11,000円(軽トラ20L・ワゴン40L)
車両保険・税・車検積立9,200円(2台分・月割り)
通信(光回線+スマホ2台)9,800円(楽天モバイル×2+NTT光)
固定資産税(月割り)1,500円
国民健康保険・年金(夫婦2人)18,400円
長男の学費・部活3,200円(公立中等教育のため低額)
その他(医薬品・衣類・書籍・自治会)3,500円
合計100,000円(端数調整後)

8-2. 季節別収支変動(月次の振れ幅)

1月収入30万(協力隊15+コンサル15)/支出14万(灯油+電気+年始の祝儀)/差額+16万
2月収入30万/支出13万(除雪関連)/差額+17万
3月収入32万(コンサル増)/支出12万(春の苗代購入)/差額+20万
4月収入35万/支出10万/差額+25万(協力隊報酬満額の月)
5月収入36万(道の駅春野菜売上増)/支出9万/差額+27万
6月収入34万/支出9万/差額+25万
7月収入32万/支出10万(夏の電気代増)/差額+22万
8月収入30万(夏休みでコンサル減)/支出12万(お盆寄付・帰省関連)/差額+18万
9月収入34万/支出9万/差額+25万
10月収入37万(米収穫期・道の駅売上ピーク)/支出9万/差額+28万
11月収入36万/支出11万(冬支度)/差額+25万
12月収入34万/支出13万(年末・蓮の冬期講習)/差額+21万
年間合計収入400万/支出131万/貯蓄269万

8-3. 過去5年の年次収支推移

2021年年収280万・年支出120万・貯蓄160万・年末資産1,820万
2022年年収330万・年支出110万・貯蓄220万・年末資産1,900万(端数)
2023年年収400万・年支出115万・貯蓄285万・年末資産2,050万
2024年年収420万・年支出125万・貯蓄295万・年末資産2,300万
2025年年収420万・年支出120万・貯蓄300万・年末資産2,500万予測

5年間で年間貯蓄は160→300万に倍増。これは収入の伸びと、生活コストの逓減(リフォーム費の追加発生がなくなった効果)が寄与している。

9. IF分岐・東京残留と完全自給の4パターン比較

もし山里慎治が、2018年の人生分岐点で別の選択をしていたら、現在の金銭・健康・家族関係はどう変わっていたか。4パターンを実額で比較する。

9-1. パターンA:東京残留・証券会社継続(実際には選ばなかった道)

2025年予測年収1,250万円(部長昇格・基本給720+ボーナス530)
世帯年収1,250万円(直子は引き続き専業主婦)
住居世田谷区の3LDKマンション・家賃22万または住宅ローン残債4,800万
世帯月支出72万円(家賃22・食費12・教育費15・通信2・光熱3・交通3・娯楽5・保険5・その他5)
世帯月貯蓄22万円
2025年累積貯蓄4,200万円
健康面うつ病再発・抗うつ薬服用継続・休職経験2回想定
家族関係長男・蓮は私立中(年学費110万)・中受成功で都内私立進学想定
慎治の自覚「金はあるが、心は枯れている」

9-2. パターンB:実際の選択・島根移住+半農半X(現在)

2025年年収420万円
世帯月支出10万円
世帯月貯蓄・投資25万円
2025年累積貯蓄2,500万円(NISA400万・米貴金属100万を別途保有)
健康面抗うつ薬を移住2年目で完全離脱・腰痛のみ持病化
家族関係夫婦の会話量が東京時代の約4倍・蓮は地元でのびのび
慎治の自覚「金は減ったが、人生が戻ってきた」

9-3. パターンC:移住したが完全自給に振り切った(副収入なしの極端版)

想定収入道の駅販売 月8万=年96万のみ
想定支出月8万円(さらに節約)
2025年累積貯蓄1,400万円(移住前貯蓄2,800万から1,400万取り崩し)
リスク長男の高校・大学進学資金が不足、医療費の備えが薄い
得られたもの真の意味での「自給自足」と1日12時間の自由時間
慎治の自覚(仮想)「金はもう増えない、でもこれが俺の最終形」

9-4. パターンD:移住したが投資コンサルだけで生きる(リモート完結型)

想定収入月30万・年360万(地域おこし協力隊と農作業を放棄)
想定支出月14万(食費は完全買い物、移住の意味が薄れる)
2025年累積貯蓄2,300万円
リスク地域との関係性が築けず、Uターン都市民として孤立
慎治の自覚(仮想)「これなら東京の自宅でも良かった」

9-5. 4パターンの結論

金銭資産だけで比較すれば、パターンA(東京残留)が4,200万で最大、次にパターンB(実際)が2,500万、D・Cと続く。しかし、健康・家族関係・自由時間・地域への帰属感を加味した「総合的人生資産」では、パターンBが最大であると慎治は信じている。

慎治の言葉:「金で買えるものは、金で買えるものに過ぎない。金で買えないものを得るには、金を捨てる勇気が要る」。

10. 意思決定ログ・人生を変えた5つの選択

山里慎治の人生を金銭的に決定づけた5つの意思決定を、当時の状況・選択肢・選んだ理由・5年後の評価で記録する。

意思決定1:1999年・地方銀行B社ではなく中堅証券A社を選択(22歳)

状況:就職氷河期で内定2社のみ。地元志向の地方銀行(札幌本店)と、東京本社の中堅証券。両親は「安定の銀行を」と勧めた。

選んだ理由:「東京を離れたくなかった、ただそれだけ」。給与は証券の方が30万安かったが、東京で働き続けるという1点で証券を選んだ。

5年後の評価:「銀行を選んでいれば、リーマンショックで苦しまなかったかもしれない。だが、リーマンを経験したからこそ、自給自足の価値を知った」

「人生は、選ばなかった方の道を悔やむためにあるんじゃない。選んだ道を肯定するためにある」

意思決定2:2010年・営業から投資情報部への異動(33歳)

状況:リーマン後の罪悪感で営業継続が困難。同期は次々と昇進していたが、慎治は自ら異動を願い出た。

選んだ理由:「人を不幸にする仕事を続けられなかった」

5年後の評価:「年収は上がらなかったが、この異動が無ければ移住も無かった。心の余裕を取り戻すための撤退戦だった」

「キャリアは前進だけが正解じゃない。撤退も時に最高の戦略になる」

意思決定3:2017年6月・島根移住の決断(40歳)

状況:長男・蓮の「お父さん最近笑わない」発言。年収980万のピーク。住宅ローン残債1,800万。

選んだ理由:「子どもが見ている父の顔が、自分の知らない自分だった」

5年後の評価:「決断から実行まで12ヶ月。長すぎなかったし、短すぎなかった。下見4回・物件選定3物件比較は最低限のリサーチだった」

「人生最大の決断は、データではなく、子どもの一言で下されることがある」

意思決定4:2018年・古民家400万+リフォーム600万を全て現金払い(41歳)

状況:移住先で住宅ローンを組むことも可能だったが、慎治は退職金850万+貯蓄から現金一括払いを選択。

選んだ理由:「証券マン時代に、ローンの恐ろしさを嫌というほど見てきた。月々の返済プレッシャーから解放されることが、自由の根幹」

5年後の評価:「正解だった。年収420万でも家賃ゼロなら生活できる。ローンを組んでいたら毎月の返済で精神を削られていた」

「自由の値段は、月々の固定費の総和に等しい」

意思決定5:2023年・地域おこし協力隊への応募(46歳)

状況:移住5年目で道の駅販売と投資コンサルだけでは将来不安があった。協力隊は若い人向けという先入観で応募を躊躇。

選んだ理由:「年齢制限が緩和されたこと、協力隊任期後の起業支援があること、何より移住者を増やす役割に意義を感じたこと」

2年後の評価:「主収入の柱になっただけでなく、地域との関係性が一気に深まった。任期後の独立準備も整いつつある」

「制度は使える側が使うもの。年齢で諦めるのは早すぎる」

10-6. 山里慎治の意思決定マトリクス(人生の岐路の判断軸)

慎治は重要な意思決定の前に、必ず以下の5項目をスプレッドシートに書き出して点数化する習慣を持つ。

軸1:心の健康その選択は自分の精神状態を改善するか?(5点満点)
軸2:家族の幸福家族3人の総合的な幸福度は上がるか?(5点満点)
軸3:金銭の持続可能性10年後にも金銭的に成立しているか?(5点満点)
軸4:自由時間の量1日の自由に使える時間は増えるか?(5点満点)
軸5:社会的意義誰かの役に立つか・社会に何を残せるか?(5点満点)

2017年・移住決断時の自己採点:

「人生の意思決定は、感情で決めて理屈で正当化するか、理屈で決めて感情で受け入れるか、どちらかしかない。私は後者を選ぶ」

10-7. 「決めなかった意思決定」も記録する

慎治は「決めたこと」だけでなく「決めなかったこと」も意思決定として記録している。たとえば:

「決めなかった選択肢が、決めた選択肢の輪郭を作る」が慎治の哲学。

12. 3シナリオ・楽観/標準/悲観で見る今後30年

12-1. 楽観シナリオ:地域おこし展開・年収700万へ

2026年協力隊任期終了・移住コンサル独立・初年度年商380万
2028年移住コンサル年商600万・道の駅販売年100万・投資コンサル年144万=合計844万
2030年53歳・移住者向け書籍出版・印税年200万追加
2035年58歳・累積貯蓄6,500万・米価値上がりでNISA800万
2045年68歳・年金月18万+執筆+顧問業で月35万・蓮独立済
2055年78歳・累積金融資産9,200万・古民家を集落の若者に1円で譲渡

このシナリオが実現する条件は、(1) 移住コンサルがメディア露出で軌道に乗る、(2) 蓮が県内大学進学で仕送り負担が小さい、(3) 慎治の健康が60歳まで保たれること。

12-2. 標準シナリオ:現状維持・年収420万→年金生活

2026年協力隊任期終了・移住コンサル年商200万・他は維持で年計420万
2030年53歳・年収440万維持・累積貯蓄3,500万
2035年58歳・蓮の大学費用で年200万を取り崩し(4年間)
2040年63歳・蓮独立・農作業中心生活・年収300万
2045年68歳・年金月13万+道の駅5万=月18万生活
2055年78歳・累積金融資産2,800万・古民家+田畑は維持

12-3. 悲観シナリオ:体力低下・農作業継続困難

2027年50歳・腰痛悪化で田畑半減・年収380万
2030年53歳・米作り断念・野菜中心へ縮小・年収280万
2032年55歳・直子が乳がん発覚・治療費年100万・闘病3年
2035年58歳・直子完治するも体力激減・蓮の大学費用で貯蓄1,800万に
2040年63歳・古民家のメンテ困難・冬は東京の妹宅へ避難生活
2045年68歳・年金月13万のみ・累積貯蓄1,200万・空き家化リスク
2055年78歳・浜田市内の高齢者向け団地に転居・古民家を集落に寄贈

12-4. 3シナリオの比較と備え

3シナリオの累積金融資産(78歳時点)は、楽観9,200万・標準2,800万・悲観0円。差は9,200万に達する。慎治の備えは:

12-5. 各シナリオの3年後月次キャッシュフロー試算(2028年・51歳時点)

楽観(移住コンサル軌道)収入70万・支出12万・貯蓄58万/月/資産5,500万到達
標準(現状維持型)収入37万・支出11万・貯蓄26万/月/資産3,400万到達
悲観(体力低下+直子病気)収入24万・支出16万(医療含む)・貯蓄8万/月/資産2,100万まで減少

12-6. 慎治の「セーフティネット5層」

  1. 第1層(流動資金):普通預金300万・即時引き出し可
  2. 第2層(生活防衛資金):普通預金1,200万・3-5年の生活費を担保
  3. 第3層(中期資産):NISA400万+普通預金500万=900万・10年スパン
  4. 第4層(インフレヘッジ):米国貴金属ETF・実物金100万・通貨価値暴落時の保険
  5. 第5層(不動産):古民家+田畑5反・換金困難だが衣食住の最終保障

第1層から第5層までの資産が、慎治の「悲観シナリオでも生き延びる」自信の根拠。

13. 家族の声・妻と長男の本音インタビュー

13-1. 妻・直子(46歳)の本音

取材場所:山里家のキッチン・薪ストーブの前。直子が丹波黒豆を炊きながら、ぽつぽつと語った。

「最初は不安でした。本当に。慎治さんから『田舎に行きたい』って言われた夜、私は『いいよ』って即答しちゃったけど、布団の中で『私、保育士もう辞めてるし、田舎で何ができるんだろう』ってずっと考えてました。」

「でも今は、これで良かったって思ってます。理由は3つあって。1つ目は、慎治さんが笑うようになったこと。東京の最後の3年は、家でも会社の電話を受けて、夜中に『申し訳ありません』って何度も頭を下げてた。あの姿を蓮(長男)が見てたんですよね。今はもう、そういう姿は無いです。」

「2つ目は、お金の不安が消えたこと。年収980万から420万に減ったって聞くと、みんな『えっ』ってなるんですけど、家賃も保育料も習い事代も無いし、食費は1.5万円ですから。実は東京時代より、月末の財布の中身は多いんです。」

「3つ目は、私自身が『何かを作る人』になれたこと。味噌・梅干し・パン・蜂蜜の瓶詰め・蓮のお弁当の野菜まで、全部自分で作ってる。東京時代の保育士は子どもを『預かる』仕事だったけど、今は家族と土地を『育てる』仕事をしてる感じがします。」

「ただ、本音を言えば、不満も無いわけじゃない。一番きついのは、やっぱり病院ですね。私が更年期で婦人科に行きたくても、車で30分。それと、化粧品とか服が買いにくいこと。あとは、東京の友達と会えないこと。年に2回、慎治さんが東京出張に合わせて私も行きますけど、それじゃ足りない。」

「将来の不安は、私の親(神奈川県在住・75歳と73歳)の介護です。何かあったら東京方面に長期で戻らないといけない。慎治さんも『その時はその時で考えよう』って言ってくれてるけど、頭の片隅にいつもあります。」

13-2. 長男・蓮(13歳)の本音

取材場所:蓮の自室・部活(ハンドボール部)の練習着のまま。

「東京時代の記憶はあんまり無い。5歳までいたから、保育園のことくらい。」

「島根は普通に楽しい。学校までスクールバスで35分かかるけど、その時間に本読んだりゲームしたりしてる。中等教育学校は周り賢い子が多くて、ちょっと刺激ある。」

「お父さんが『田舎で良かった?』って聞いてくるけど、比較するものがないからわからない。でも、お父さんが家にいる時間が長いのは、嬉しいかな。東京のお父さんがどんなだったかは、写真でしか知らないけど、今のお父さんは怒鳴ったりしないし、夜ご飯を一緒に食べる。」

「お金のことは、たぶんウチは余裕あるんだと思う。お母さんが『お金心配しないで』ってよく言うし、修学旅行の積立とかも普通に払えてる。でも、塾は通ってない。地元には大手塾がほぼないから。スタディサプリで自分で勉強してる。」

「将来は、東京に出るかもしれないし、出ないかもしれない。少なくとも、お父さんみたいに田舎に来たくて来た人と、しょうがなく住んでる人は違うと思う。僕は、選んで住むタイプの人になりたい。」

「悩みは、彼女ができにくいこと(笑)。集落に同年代いないし、学校でもみんな浜田市内の街中の子だから、放課後は会えない。」

13-3. 父・隆雄(81歳)と母・美佐子(79歳)の声

移住当初、慎治の両親は猛反対だった。「年収980万を捨ててどうするんだ」「孫の教育はどうする」「お前の人生だけじゃない、家族の人生を考えろ」。慎治と父は2018年6月から2019年3月まで、約9ヶ月間ほぼ会話を絶っていた。

転機は2019年5月の連休。両親が初めて島根の家を訪ねたときだった。古民家の薪ストーブの前で、父は無言で1時間座った後、「お前、ここでなら、生きていけるかもしれんな」とぽつりと言った。それ以降、両親は年2回の長期滞在を続けている。

母の言葉:「最初は心配だったけど、慎治がこんなに穏やかな顔になるとは思わなかった。お金は減ったみたいだけど、人としては豊かになった気がする」。

13-4. 妹・知佳(46歳・横浜在住)の眺め

慎治の2歳下の妹・知佳は、横浜市で会社員(精密機器メーカー総務)の夫と、中学2年・小学5年の2人の子と暮らす。年収は世帯1,100万、住宅ローン残債2,400万のマンション住まい。

知佳は2023年に1度、家族で島根の慎治宅を訪れ、3泊4日を過ごした。彼女の感想:

「お兄ちゃんの家に行って、最初の夜は『電波が悪い』『コンビニが遠い』『虫が多い』って文句を言ってた子どもたちが、3日目には『また来たい』って言うようになった。それが衝撃だった。」

「私たちは、横浜のマンションに住宅ローンを払い続けながら、毎週のように習い事に追われて、夫婦の会話も少ない。お兄ちゃんちは、夫婦が同じ畑で並んで草取りしてた。あの光景は、たぶん私たちには手に入らない。」

「でも、私はもう移住はできない。子どもの中受も控えてるし、夫の仕事も都市型だし。お兄ちゃんは40歳で決断した。私は46歳で決断する勇気がない。これが、たった2年の差。」

13-5. 元同僚・東京の山下(45歳・元証券マン)の眺め

慎治の元同期で、現在も同じ証券会社で部長を務める山下康介(45歳・年収1,420万・神奈川県川崎市在住)の眺め。

「山里が辞めるって聞いたとき、正直『勿体ない』と思った。あいつの投資情報部での評価は高くて、本部長も『次世代の幹部候補』と見ていた。年収もこのまま定年まで行けば、退職金込みで生涯3億は超えただろう。」

「でも、3年前に島根の山里を訪ねた時、あいつの顔を見て『俺は何のために働いてるんだろう』ってなった。山里は痩せてたし、日焼けしてたし、爪に土が入ってた。でも、目が完全に違ってた。会社では絶対に見られない目だった。」

「俺はあいつほどの勇気はない。住宅ローン残債4,200万、息子は私立中、嫁は専業主婦。今の生活を捨てる選択肢は、もう俺にはない。だから、せめて山里の話を後輩に伝えるのが、俺の仕事だと思ってる」

13-6. 集落の隣人・上田富子さん(72歳)の眺め

山里家の隣に住む農家の上田富子さん(72歳・夫は10年前に逝去・1人暮らし)。山里家の最大の理解者であり、生活の知恵の師匠。

「山里さんとこは、東京から来た人にしては、よう馴染んだ。1年目はおっかなびっくりやったけど、3年目から土の扱い方が変わった。それが分かるんよ、農家のおばあちゃんには。」

「特にお子さんが、夏に裸足で田んぼ走り回るのが好きで、ええなぁ思って見とった。今は中学生になって、たまにしか会わんけど、会ったら必ず挨拶してくれる。礼儀正しい子に育っとる。」

「奥さんもね、最初は緊張しとったけど、今は私のとこに梅干しの仕込みを教わりに来るし、私も山里さんとこの蜂蜜を年に2回いただく。これが集落の付き合いやし、お金じゃ買えん関係や」

14. 金銭権力図・島根浜田 vs 東京世田谷 vs 沖縄離島

14-1. 山里家の集落内・金銭権力図

島根県浜田市旭町・山里家の集落(28世帯・人口52人)における金銭的・社会的権力構造。

第1階層・地主層(5世帯)江戸時代から続く田畑10反以上の地主。集落運営を実質支配。年金+林業所得で世帯年収800-1,200万。
第2階層・元行政職員(4世帯)役場OB・教員OB・警察OB。年金月25-35万。集落の意思決定の文書化・対外折衝を担当。
第3階層・現役兼業(3世帯)浜田市街に通勤する会社員+実家の田畑を継ぐ。世帯年収600-800万。集落の若手担い手。
第4階層・年金高齢者(13世帯)年金のみで生活する単身・夫婦世帯。世帯年収150-300万。集落の人口の半数以上を占める。
第5階層・移住者(2世帯)山里家+元教員の50代夫婦。年収300-450万。「外様」として一定の距離を保たれる。
第6階層・空き家(1棟)所有者は東京在住の遺族。集落の管理対象。

14-2. 山里家の集落内ポジション

移住7年目の山里家は、第5階層から第3階層に近い位置に上昇しつつある。理由は3つ:

慎治は「自分は永久に第5階層の最上位どまり。第3階層には世代を1つまたがないと入れない」と冷静に認識している。

14-3. 地域別生活コスト比較(4人家族・月支出)

項目東京世田谷/島根浜田/沖縄離島(石垣島)
家賃・住居費22万/0円(持家)/12万
食費12万/1.5万/9万
光熱・燃料3.5万/4万(薪・灯油・電気)/3万
通信1.8万/1万/1.2万
交通3万(電車)/1.1万(軽トラ+ワゴン燃料)/2.5万
教育・娯楽15万/0.3万/4万
税・社保5万/2万/3万
その他5万/1.5万/3万
月支出合計67.3万/10万/37.7万

14-4. 地域別の「年収400万の質」比較

同じ年収420万でも、地域によって意味が全く異なる。

慎治のメッセージ:「年収の絶対額より、可処分所得の比率で人生は決まる。場所を変えれば、同じ年収が3倍の意味を持つ」。

15. ライフエンド・田舎での老後・墓・医療アクセス

15-1. 田舎暮らしの老後の現実

山里家のある旭町の集落の高齢者を観察すると、80歳を超えると以下の3パターンに収束する。

慎治と直子は、現時点ではパターンAを希望しているが、長男・蓮の進路次第ではパターンCもあり得ると認識している。

15-2. 墓・先祖代々の問題

慎治の本籍は東京都杉並区、墓は東京都八王子の都立霊園にある。父・隆雄が2010年に購入した永代使用権付き墓地で、使用料一時金120万+年間管理料1.2万。慎治の代で墓を継承するか、島根に新たに墓を作るか、樹木葬・散骨に切り替えるかは、両親の存命中に決断が必要。

慎治の現在の考え:「両親の代までは八王子の墓を維持。自分と直子は、島根の集落の共同墓地(管理料年5,000円)か、自然葬を希望」。蓮には「墓は守らなくていい、お盆だけ思い出してくれれば十分」と既に伝えてある。

15-3. 医療アクセスの長期計画

50代年1回の人間ドック(広島市内・5万円)・通常診療は浜田市国保総合病院
60代慢性疾患管理を地元クリニックに移管・大病は広島大学病院(特急で2時間)
70代運転免許返納時期・訪問診療への移行検討
80代在宅医療+ヘルパー+集落の互助ネットワーク
緊急時ドクターヘリ要請可(島根県は中国地方広域ドクターヘリ運用)・離陸から30分で広島市内に到着

15-4. 介護費用の試算

夫婦2人がともに要介護2レベルになった場合の月額費用試算:

慎治は、年金月18万+累積貯蓄2,500万+NISA400万+古民家・田畑の売却可能性で、最長18年の介護費用は確保できる試算を立てている。

15-5. 死後の田畑・古民家の処分

蓮が「島根に戻る選択をしない」場合、古民家+田畑5反の処分が課題。慎治の現在の方針:

15-6. 慎治の死生観

「東京で死ぬのは、たぶん寂しい。深夜の救急車のサイレンと、医師の業務的な顔と、機械の音だけが満たす個室で死ぬんだろう。島根で死ぬなら、たぶん集落のじいさん・ばあさんが時々様子を見に来てくれて、最期は薪ストーブの暖かさの中で逝けるんじゃないか。それが、俺がここに来た最終的な答え合わせかもしれない」

15-7. 慎治・直子の遺言準備

2025年現在、夫婦で公正証書遺言の作成を弁護士(島根県弁護士会・浜田支部)に依頼中。骨子:

15-8. 健康寿命の自己管理

定期検診年1回・広島市内総合病院での人間ドック(5万円)
歯科検診年4回・浜田市内歯科クリニック(年12,000円)
運動習慣農作業+週3回の朝散歩30分+月2回の整体(年48,000円)
食習慣1日3食・自家食材中心・ファストフード月0回
睡眠21時〜5時の8時間・週末は早朝養蜂作業も
飲酒週2回・地元クラフトビール1本+日本酒1合
喫煙2018年の移住で完全禁煙(東京時代は1日10本)
メンタル抗うつ薬は2020年に完全離脱・現在は問題なし

15-A. FAQ・読者からよくある10の質問

Q1. 移住前貯蓄が2,800万もないと、田舎移住はできませんか?

必須ではありません。地域おこし協力隊(年最大470万円の活動費+月15-20万の給与)を活用すれば、貯蓄500万円台でも移住可能です。山里慎治のような完全現金払いは「最も保守的な選択」であり、若い世代では住宅ローン併用+協力隊活用も合理的選択になります。

Q2. 子どもが小さくないと移住は難しいですか?

必須ではありませんが、未就学児(0-5歳)の方が地域コミュニティへの溶け込みが圧倒的に楽です。中学生以上の移住は、子の意思尊重と教育環境(高校・予備校・大学)の選択肢が課題になります。山里家は移住時に蓮5歳という「ベストタイミング」でした。

Q3. 妻(または夫)が反対している場合、説得できますか?

慎治の経験からは「説得して移住すると5年以内に離婚」がほぼ確実。本気で行きたいなら、まずは1ヶ月のお試し移住(島根県や徳島県神山町など複数の自治体が制度あり)で配偶者の不安・期待値を可視化することを推奨します。

Q4. 完全自給自足は可能ですか?

食料は90%超は可能ですが、塩・砂糖・油・嗜好品まで含む完全自給は現代日本では現実的に不可能です。「自給率を高める」ことに価値があり、「100%」を目指すと家族の楽しみが減って続きません。

Q5. 田畑5反は素人でも管理できますか?

1年目は不可能、3年目で何とか、5年目で標準化、というのが現実です。山里慎治も初年度の米収穫は4俵(後年の60%)でした。地元の老農家に教えを請う姿勢が必須で、移住直後の謙虚さが3年後の収量を決めます。

Q6. 副業(投資コンサル等)の収入をどうやって作りましたか?

慎治は東京での顧客40世帯のうち15世帯と移住後も関係を維持し、月額制のオンラインコンサルに移行しました。既存の人脈・専門性をリモート化することが第一歩で、ゼロから田舎で副業を立ち上げるのは至難です。

Q7. 親の介護で都会に戻る選択は?

山里家も将来的なリスクとして認識しています。実家から3-4時間圏内で移住先を選ぶ、兄弟姉妹との分担を事前合意、介護休業制度の確認、長期的にはサテライト居住(実家と移住先の2拠点)も視野に入れる必要があります。

Q8. 田舎の冬はどれくらい厳しいですか?

島根県浜田市旭町(標高220m)では、12-2月の最低気温-5℃前後、年間降雪40cmレベル。北海道や東北の豪雪地帯ほどではないですが、東京の感覚では「想定外の寒さ」です。薪ストーブ+灯油+電気の3段重ね暖房と、水道凍結対策が必須です。

Q9. 老後資金として、移住生活で十分蓄えられますか?

山里家のように複数収入源を確立できれば、年300万の貯蓄は可能で、20年で6,000万まで積み上がります。しかし収入源が1本(年金のみ等)だと、田舎暮らしでも老後赤字は発生します。重要なのは「移住前の貯蓄+移住後の継続収入」の両輪です。

Q10. 移住して後悔したことはありますか?

山里慎治の答え:「7年で唯一の後悔は、もっと早く来なかったこと。35歳で来ていたら、子育ての黄金期間を全て田舎で過ごせた。40歳でも遅くはなかったが、35歳がベストだった」。

16. ポッドキャスト台本(45分・対談形式)

「一億人の妄想 お金の現在地」公式ポッドキャスト第111回。ゲスト:山里慎治/聞き手:番組MC・桐谷さゆり。

16-1. オープニング(0:00〜2:30)

桐谷:みなさんこんにちは、「一億人の妄想 お金の現在地」、MCの桐谷さゆりです。今回はNo.111、島根県浜田市の里山で完全自給自足生活を送られている山里慎治さんをお迎えしました。山里さん、よろしくお願いします。

山里:よろしくお願いします。東京から取材に来ていただいて、ありがとうございます。

桐谷:いきなりですが、年収980万から420万に減ったって、リスナーには相当インパクトあると思うんですけど、実感としてどうですか?

山里:一言で言うと、「お金が減った実感はない」です。むしろ、東京時代の方が、毎月『お金が消えていく』感覚が強かった。

16-2. パート1:移住の決断(2:30〜12:00)

桐谷:2018年に移住を決めた、その瞬間の話を聞かせてください。

山里:2017年の6月、子どもが『お父さん最近笑わないね』って妻に言ったんです。それを妻から聞いた夜、寝室で30分くらい声を出して泣きました。証券マンとして15年積み上げてきたものが、ぜんぶ虚しくなった瞬間でした。

桐谷:その夜、すぐに『移住』が頭に浮かんだ?

山里:はい、即です。実は2011年の東日本大震災以降、ずっと『東京は脆い、いつかここを離れる時が来る』って思ってたんです。震災のあと、東北の自給自足の方々の本を10冊くらい読みました。それが下地になっていました。

桐谷:奥様は反対されなかった?

山里:『いいよ、私もずっとそう思ってた』と即答でした。これは結婚して良かったと思った瞬間です(笑)。

16-3. パート2:移住費用と現金一括の真実(12:00〜22:00)

桐谷:古民家400万、リフォーム600万、農機具300万、生活立ち上げ200万、計1,500万円を全て現金で支払った、というのが衝撃でした。なぜローンを組まなかったんですか?

山里:証券マン時代、ローンに苦しむお客様を何百人も見てきたんです。月々の返済プレッシャーで判断を誤る人を。だから自分は絶対に、住宅ローンも農機具ローンも組まない、と決めていました。

桐谷:退職金850万+貯蓄から650万を出した。残った貯蓄は2,150万。これで子どもの教育費とか不安はなかったですか?

山里:正直、最初の2年は不安で胃が痛かったです。でも、地方の物価で月10万の生活が成立すると分かってから、不安は消えました。むしろ『年収420万でも貯金が増える』という確信が持てた。

16-4. パート3:自給自足経済の実際(22:00〜32:00)

桐谷:食費が月1.5万円というのが信じられないんですが、本当ですか?

山里:本当です。米は7俵採れて家族年消費の倍。野菜は32品目自給、卵は鶏15羽から年2,800個、蜂蜜は年12kg。買うのは塩・砂糖・油・コーヒー・乳製品くらいなんです。

桐谷:家族3人で年18万円の食費。東京の同じ家族構成だと年84万くらいですから、ざっくり66万円の差。月にすると5.5万円も浮く計算ですよね。

山里:そうなんです。でもこれ、お金の話だけじゃなくて、子どもが『自分の家の米』『自分の家の卵』って意識を持つことが大きい。蓮は今、コンビニのおにぎりを食べると『これは何の米なんだろう』って気にする子になっています。

16-5. パート4:田舎暮らしの落とし穴(32:00〜40:00)

桐谷:移住雑誌には書かれない『落とし穴』も、ぜひ聞きたいです。

山里:3つあります。1つ目は自治会・PTA・冠婚葬祭の出費。年間最低7万、最大15万円かかります。2つ目は冬の凍結事故。私は初年度に水道管破裂で7.8万円飛ばしました。3つ目はプライバシーの希薄化。集落の人は、私の家の煙突の煙の出方まで観察しています。

桐谷:プライバシーの希薄化、慣れますか?

山里:3年目で諦めました。希薄な人間関係を求めて田舎に来た人は、たぶん10年で都市に戻ります。私は『見られていることを前提に生きる』に切り替えて、楽になりました。

16-6. パート5:これから移住を考える人へ(40:00〜45:00)

桐谷:最後に、これから移住を検討している方への一言を。

山里:3つだけ伝えたいです。1つ、移住費用は最低1,500万、できれば2,000万を現金で持っておくこと。ローン併用は3年目に必ず後悔します。2つ、家族全員の合意を絶対に取ること。1人でも反対が残れば、5年以内に家庭が壊れます。3つ、3年は『学ぶ年』と覚悟すること。地域・気候・農作業・人付き合いの全てを覚え直す3年間が必要です。

桐谷:逆に、移住して『良かった一言』は?

山里:『朝、自分の家の卵で目玉焼きを焼く時の感触』。これは東京では絶対に得られなかった豊かさです。年収980万を捨てる価値が、ここにある。

桐谷:素晴らしい。山里慎治さん、本日はありがとうございました。

山里:ありがとうございました。

17. 書類SVG3点(地域おこし協力隊給付金通知・古民家売買契約書・農地利用権契約書)

17-1. 地域おこし協力隊給付金通知書(再現)

地域おこし協力隊給付金通知書 地域おこし協力隊給付金通知書 浜田市役所 産業観光部 地域づくり課 発行 通知書番号:浜地隊2025-第042号 交付決定日:2025年4月15日 交付対象期間:2025年4月1日〜2026年3月31日 隊員氏名:山里 慎治 所属:浜田市役所 産業観光部 地域づくり課(旭町地区担当) 交付内容 1. 報償費(月額):200,000円(年額 2,400,000円) 2. 活動経費(年額):2,000,000円(実費精算) 3. 起業・事業承継支援金:100,000円(任期最終年度のみ) 4. 住居手当:本制度では適用外(持家のため) 活動内容(指定) (1) 旭町地区の空き家マッチング業務 (2) 移住希望者向け相談窓口の運営 (3) 道の駅旭温泉の販路開拓・出荷者育成 (4) 半農半X実践者ネットワークの構築・SNS発信 浜田市長 印 浜田

17-2. 古民家売買契約書(再現・主要部抜粋)

古民家売買契約書 不動産売買契約書 2018年5月14日締結 売主:上原 ハル子(昭和10年生・故上原幸夫氏遺族代表) 買主:山里 慎治(昭和52年生・東京都世田谷区) 仲介:旭町不動産株式会社(宅建免許 島根県知事(3)第840号) 第1条 物件の表示 所在:島根県浜田市旭町今市字上原 2587番地 建物:木造平屋一部2階建・延床面積128.42㎡(昭和28年築) 土地:宅地312㎡・田3,012㎡(3反)・畑2,108㎡(2反) 第2条 売買代金 金 3,800,000円(消費税非課税) 内訳:建物 800,000円、宅地 1,200,000円、田畑 1,800,000円 第3条 支払方法 手付金:500,000円(契約締結時・現金) 残代金:3,300,000円(引渡日・銀行振込) 第4条 引渡日 2018年6月10日(農地法3条許可後) 売主 印: 上原 買主 印: 山里

17-3. 農地利用権設定契約書(再現)

農地利用権設定契約書 農地利用権設定契約書 浜田市農業委員会 受付番号 2018-第135号 貸主:浜田市旭町農地中間管理機構 借主:山里 慎治 利用権の種類:賃借権(10年・自動更新) 第1条 対象農地 浜田市旭町今市字上原 2588番(田・約1反) 浜田市旭町今市字上原 2589番(田・約1反) 合計:田 約2反(隣接の上原家所有地・元村長未利用分) 第2条 賃料 年額 6,000円/反 × 2反 = 12,000円/年 支払日:毎年12月末日(現金または銀行振込) 第3条 利用目的 水稲(コシヒカリ)作付けに限定 農地転用は禁止・除草・畔管理は借主負担 第4条 期間と更新 2019年4月1日〜2029年3月31日(10年) 期間満了の6ヶ月前までに異議なき場合は同条件で自動更新 農業委員会会長 印

18. お金の苦労3エピソード(移住直後の現金不足・PTA寄付・初年度凍結事故)

18-1. エピソード1:移住直後の現金不足(2019年6月・42歳)

移住直後の山里家を直撃したのは、「予期せぬ現金支出」のラッシュだった。古民家400万+リフォーム600万+農機具300万+生活立ち上げ200万を計画通り支出した上に、想定外だったのが以下の項目:

合計116.5万円が、移住費用1,500万の枠外で必要となった。慎治は2019年6月、銀行口座の残高が初めて200万を切ったとき、深夜に直子に向かって「お金、足りるかな」と弱音を吐いた。直子は「足りなかったら、私が浜田の街中でパートする」と即答し、慎治は涙ぐんだ。

結果的には、地域おこし協力隊応募までの3年間(2019-2022)、慎治は投資コンサル副業を月8万→12万→15万→20万と段階的に拡大し、現金不足は乗り切った。しかし、この経験から「移住費用は1.5倍見積もる」という鉄則を、慎治は移住相談者に必ず伝えるようになった。

18-2. エピソード2:PTA寄付の重圧(2024年4月・47歳)

長男・蓮が県立浜田中等教育学校に進学した2024年4月、慎治は「中等教育学校PTA特別寄付金」の打診を受けた。金額は1世帯3万円、目的は「校舎の音響設備更新」。任意とされていたが、新入生122世帯のうち121世帯が支払うことが決まっており、実質的に強制だった。

慎治は移住前なら「3万円なんて」と即決していた金額だったが、年収420万・月支出10万の生活では、3万円は世帯の月次貯蓄の12%に相当する大金だった。慎治は3日間悩み、最終的に支払ったが、その経験から「教育費は移住前の想定より2倍はかかる」という別の鉄則も得た。

その後の追加支出:

結果として、長男の教育費は中学1年で年間約32万円。これは慎治の月支出10万の3.2ヶ月分にあたる。

18-3. エピソード3:初年度の凍結事故(2018年12月31日・41歳)

2018年12月31日、大晦日の朝7時。山里家の薪ストーブの火を起こそうと土間に降りた慎治は、台所の床がびしょびしょになっているのに気づいた。給湯管の凍結破裂だった。気温はマイナス4℃。元日の早朝、慎治は浜田市内の水道工事業者に必死で電話をかけまくり、ようやく1社が「元日料金で5万増し、合計7.8万」で対応してくれた。

修理は午後3時に完了、その間、家族3人は近所の温泉施設「旭温泉」で半日過ごした(入浴料3人で2,400円)。慎治はその夜、薪ストーブの前で正月の雑煮を食べながら、「移住1年目で7.8万の出費、合計10万円超え。これが田舎の洗礼か」と直子に苦笑した。

翌2019年からは、毎年11月最終週を「冬支度の週」と定め、以下のチェックリストを必ず実行している:

移住7年目の現在、凍結事故・冬季トラブルは年0件を維持している。「田舎暮らしは段取り力で決まる」というのが、慎治が痛い目で得た最大の教訓だ。

19. 愛読書10冊・山里慎治の人生を変えた書籍

  1. 『置かれた場所で咲きなさい』渡辺和子(2012・幻冬舎)

    慎治が証券マン時代に妻・直子から贈られた一冊。「上司・同僚・顧客を選べないなら、置かれた場所で咲く以外にない」という教えに、リーマン後の慎治は救われた。移住後は「島根の里山が、自分が選んだ『置かれた場所』」という解釈に変化している。

  2. 『種をまく人』ポール・フライシュマン/さくまゆみこ訳(1998・あすなろ書房)

    クリーブランドの空き地に多様な人々が種をまき、コミュニティガーデンが生まれる物語。慎治は移住直前の2017年秋に読み、「種をまくことで土地と関係が生まれる」という核心に共感。蓮にも10歳のとき朗読してあげた本。

  3. 『懸場日記』辻永(1971・宝雲舎)

    戦前から戦後にかけて行商人が書き続けた営業日報の記録。山里家では、慎治が道の駅出荷の記録を「現代の懸場日記」として毎日つけている。1日のメモ、天候、売れた品、買い手の反応を1行ずつ記録する習慣は、この本がきっかけ。

  4. 『半農半Xという生き方』塩見直紀(2003・大手電機メーカー・マガジンズ)

    山里家の生き方の理論的支柱。塩見氏が綾部市で実践した「半分農、半分X」のXに何を入れるかが、現代の生き方の問いと位置付けた一冊。慎治のXは「投資コンサル+地域おこし協力隊」。

  5. 『田舎暮らしに殺されない法』丸山健二(2008・朝日新書)

    移住雑誌の理想化された田舎像を徹底的に否定する痛烈な警告書。慎治は移住前の2017年12月に読み、「田舎を理想化する自分」を1ヶ月かけて解体した。移住相談者には必ず先に読ませる本。

  6. 『しないことリスト』pha(2016・大和書房)

    『持たない暮らし』『目標を立てない』『出世競争に乗らない』──都市的成功の反対側を肯定する哲学書。慎治は東京での残業漬け時代に読み、「しないことを選ぶ勇気」を学んだ。

  7. 『ウォールデン 森の生活』ヘンリー・D・ソロー/飯田実訳(1995・岩波文庫)

    1845年のソローの自給自足実験記録。慎治が早稲田時代から手元に置いている古典で、移住後の現在も毎年冬に再読している。「人間が真に必要とするものは驚くほど少ない」という根本命題が、月10万生活の根拠。

  8. 『日本人はなぜ存在するか』與那覇潤(2013・集英社新書)

    日本社会の同調圧力・濃密な人間関係を歴史的に解き明かした書。慎治は集落での「観察される生活」に苦しんでいた2020年に読み、「日本の田舎の濃密さは江戸時代から続く構造」と理解できたことで気持ちが楽になった。

  9. 『農的暮らしをはじめる本』新田穂高(2010・農文協)

    移住直後の慎治が、田植え・稲刈り・養蜂・鶏飼育の全てを学んだ実用書。移住後5年は毎月1回開いており、ボロボロになっている。慎治は「この本がなければ初年度の米収穫は4俵で終わっていた」と語る。

  10. 『ファイナンシャル・フリーダム』グラント・サバティエ/岩本正明訳(2020・朝日新聞出版)

    FIREムーブメントの代表的書籍。慎治は移住後にあえてこれを読み、「FIREは収入を増やすゲーム、自給自足は支出を減らすゲーム。本質的にゴールは同じ」という気付きを得た。投資コンサルの仕事のヒントにも使っている。

20. 用語集・自給自足/関係人口/里山関連50語

1. 自給自足
食料・燃料・水などの基本的生活資材を、自らの労働で生産・調達する生活様式。
2. 半農半X
塩見直紀提唱。生業の半分を農業、もう半分を本人の特技(X)で構成する生き方。
3. 関係人口
定住人口でも交流人口でもなく、地域に多様に関わる人。総務省の政策用語。
4. 地域おこし協力隊
総務省が2009年開始の制度。3年以内の任期で都市住民が地方で地域協力活動。
5. 里山
集落の周辺にある人手の入った山林・農地・水辺。生態系と人間活動が共存。
6. UIターン
U=Uターン(出身地に戻る)、I=Iターン(縁のない地域に移住)の総称。
7. 反(たん)
面積単位。1反=約991.7㎡(約10アール、約300坪)。米作の単位。
8. 俵(ひょう)
米の重量単位。1俵=60kg。1反で4〜7俵が標準収量。
9. 古民家
築50年以上の伝統的木造住宅。空き家活用と移住の重要な接点。
10. 空き家バンク
自治体が運営する空き家マッチング制度。山里家の物件もバンク経由。
11. 農地法3条許可
農地の所有権移転に必要な農業委員会の許可。
12. 農地中間管理機構
農地の貸し借りを仲介する都道府県組織。利用権設定の中核。
13. 利用権設定
農地の賃借権を設定する行政手続き。10年間が標準。
14. 出役(しゅつえき)
集落の共同作業に労役で参加すること。道路清掃・草刈り・水路管理など。
15. 結(ゆい)
集落内の労力交換の慣習。田植え・稲刈り・屋根葺きなどで成立。
16. 講(こう)
集落内の互助・信仰グループ。山里家の集落では年4回の集会あり。
17. 自治会費
集落の共益費。山里家の場合年1.2万+寄付金で実質7-15万/年。
18. 入会権(いりあいけん)
集落の共有地(山林・牧野)を利用する慣習的権利。
19. 集落営農
集落の農地を共同で耕作する組織。山里家の集落も2020年から導入検討中。
20. 道の駅
地域産品の直売・休憩所。山里家の主要販売チャネル。
21. 直売所手数料
道の駅などへの出荷時の販売手数料。一般に売上の15〜20%。
22. 籾摺り(もみすり)
玄米から籾殻を取り除く工程。山里家は集落の共同籾摺り機を使用。
23. 中山間地
平地と山地の中間地帯。耕作条件が不利で、補助金が手厚い。
24. 中山間地域等直接支払制度
農業の継続が困難な地域への国の助成。山里家の田畑も対象。
25. 担い手不足
農業者の高齢化と後継者不在問題。山里家の集落も平均年齢68歳。
26. 鳥獣害対策
イノシシ・シカ・サル・カラスなどによる農作物被害への対策。電気柵が標準。
27. 電気柵
低電圧の電線で囲って獣害を防ぐ柵。山里家の田畑にも全周設置(30万)。
28. 養蜂(ようほう)
ミツバチを飼育して蜂蜜を得る農業。日本ミツバチは飼育届が必要。
29. 名古屋コーチン
愛知県原産の在来種ニワトリ。山里家で15羽飼育。
30. 平飼い卵
ケージに閉じ込めず広い場所で飼育した鶏の卵。山里家の卵もこれ。
31. 薪ストーブ
薪を燃料とする暖房・調理器具。山里家はノルウェー製ヨツール。
32. 煙突清掃
薪ストーブ煙突のススを年1回除去する作業。安全のため必須。
33. 浄化槽
下水道がない地域で使う家庭排水処理装置。5人槽が標準。
34. プロパンガス
地方の主要ガス供給方式。都市ガスより1.8倍程度高い。
35. 井戸
地下水を汲み上げる施設。山里家は飲用水道+洗濯井戸の二刀流。
36. 凍結防止帯
水道管に巻く電熱線。冬季の凍結防止に必須。
37. 軽トラ
軽自動車のトラック。地方の必需品。山里家は2015年式中古。
38. ドクターヘリ
医療従事者を乗せた緊急医療ヘリ。中山間地の救命率向上の鍵。
39. 訪問医療
医師が患家に出向いて行う診療。中山間地の高齢者医療の中核。
40. 限界集落
65歳以上が住民の半数以上を占める集落。山里家の集落も該当。
41. UIターン奨励金
移住者向けの一時金制度。浜田市は最大100万円。
42. 耐震改修補助金
旧耐震基準の住宅の耐震化への自治体補助。山里家は50万受給。
43. 空き家改修補助金
空き家のリフォーム費用への自治体補助。浜田市は上限20万。
44. 青年等就農資金
新規就農者向けの無利子融資制度。山里家は活用せず。
45. 認定農業者
市町村の経営改善計画認定を受けた農業者。各種優遇あり。
46. 農業者年金
農業者向けの公的年金。山里家は加入検討中(年36万拠出)。
47. 米オーナー制度
都市住民が田の所有権を1区画購入し、収穫米を受け取る仕組み。
48. 関係人口創出事業
総務省の補助事業。地方への関心層を増やす活動への助成。
49. 集落支援員
地域おこし協力隊の地元版。退任後の隊員が担当することが多い。
50. ライフ・ピボット
人生の方向転換。山里慎治の島根移住は典型的なライフ・ピボット事例。

20-1. 補足用語30語(移住・地方経営の応用知識)

51. ふるさと納税
自治体への寄付で住民税控除+返礼品。山里家も米・蜂蜜の返礼品提供を検討中。
52. 関係人口創出事業
総務省の補助事業。山里慎治も2024年から関与。
53. 6次産業化
農業(1次)×加工(2次)×販売(3次)の融合。山里家の梅干し販売も該当。
54. 認定NPO
所轄庁の認定を受けたNPO。寄付控除の対象になる。
55. 集落再編
過疎集落の統廃合・支援拠点化。山里家の集落も対象になりつつある。
56. 公共交通空白地
路線バス廃止地域。山里家の集落も該当・タクシー+自家用車のみ。
57. 自治会自動加入
慣習的に新住民は自治会加入が前提。山里家も自動加入。
58. 地縁血縁
地縁=地域に根ざす関係、血縁=親族。地方では混在し独特の関係構造。
59. 過疎債
過疎地域指定自治体が起債する地方債。優遇あり。
60. 鳥獣被害防止特措法
2007年法。電気柵設置補助の根拠。
61. 圃場整備
田畑の区画整理事業。山里家の田んぼも1980年代に圃場整備済み。
62. 中山間地域等直接支払
農地維持への支払い。山里家も加入で年8万受給。
63. 多面的機能支払
農地の環境・防災機能への支払。集落単位で受領。
64. JA
農業協同組合。山里家の出荷・購買・金融・共済の窓口。
65. JA出資
JA組合員になる際の出資金。山里家は10万円出資。
66. 営農組合
集落単位の農業経営組織。山里家の集落でも検討中。
67. 棚田
山間地の段々の田。山里家の周辺も棚田景観。
68. ESG投資
環境・社会・ガバナンスを重視する投資。山里慎治の投資コンサルでも扱う領域。
69. オフグリッド
電力会社送電網に依存しない自家発電・蓄電。山里家は将来検討。
70. パーマカルチャー
持続可能な農的暮らしのデザイン体系。山里家の田畑配置も影響受けている。
71. ポリカルチャー
多品種複合栽培。モノカルチャーの対義語。山里家の畑は典型。
72. コンポストトイレ
排泄物を堆肥化する循環型トイレ。山里家は浄化槽併用で導入せず。
73. ストックレスファーミング
家畜糞尿を使わない有機農業。山里家は鶏糞を活用するため非該当。
74. 不耕起栽培
耕さずに作物を育てる手法。山里家は試験的に1反で実施。
75. 自然農法
福岡正信などの自然循環型農法。山里家の野菜の一部で実践。
76. 在来種
地域固有の種子。山里家は地元の在来大豆を栽培中。
77. 種苗法
2020年改正。種苗の知的財産権を強化。自給自足派は注意必要。
78. アグロフォレストリー
農業と林業の融合。山里家の柿・栗の植栽も応用例。
79. 集落保全活動
過疎集落の景観・文化を維持する活動。山里家も参加。
80. インバウンド・ファーミング
海外からの農業移住・体験者受入れ。山里家もWWOOF登録予定。

21. リスクマトリクス・田舎暮らし固有の12リスクと対策

山里慎治が7年間の移住生活で実体験・観察したリスクを「発生確率」と「影響度」の2軸でマッピング。

#リスク確率影響度年間想定損失対策
1農作業中の怪我(腰・骨折)20万-100万整体月1・労災任意加入・無理な作業を避ける
2水道管凍結・破裂低(対策後)5万-15万保温材・元栓細開け・凍結防止帯
3イノシシ・シカによる農作物被害10万-30万電気柵・猟師との連携・年間捕獲計画
4豪雪による孤立・除雪困難3万-10万除雪機・備蓄1週間分・燃料予備
5台風・豪雨による土砂災害50万-300万家屋火災保険・避難経路・自治会の防災訓練
6米の不作(病害虫・天候)5万-15万無農薬主義の調整・JA共済の収入保険加入
7養蜂群消失(ダニ・蜂児腐病)低-中3万-8万巣箱の定期点検・分蜂時のスペア確保
8地域おこし協力隊任期終了後の収入減確実(2026年)180万/年移住コンサル独立・出版・SNS収益化
9子(長男)の都市部進学・仕送り負担180-240万/年×4年NISA・教育費別積立・奨学金併用
10慎治・直子の親の介護で帰京20-50万/年介護休業制度・兄弟姉妹との分担計画
11古民家の大規模修繕(屋根・水回り)中(10年に1回)200-500万/回修繕積立月3万・補助金活用・DIY化
12慎治の心身疾患再発50-200万無理しない・趣味の時間確保・年1回人間ドック

21-1. リスク総額と備え

上記12リスクの年間想定損失の中央値は、合計約200万円/年。山里家の年間貯蓄300万から見れば、大半は吸収可能。最大級のリスクは「No.8 任期終了後の収入減」と「No.9 子の進学費用」で、これらは事前計画で対応可能。

慎治の備えの哲学:「リスクの多様化は、収入の多様化と同じ。1つの大波で沈まない構造を作る」

22. 10の教訓・山里慎治が48年で学んだこと

  1. 年収の絶対額より、可処分所得の比率で人生は決まる

    東京年収980万・支出480万=可処分46%と、島根年収420万・支出240万=可処分43%は、ほぼ同等。場所を変えれば同じ年収が3倍の意味を持つ。

  2. 住宅ローン・農機具ローンを組まないこと、それが自由の源泉

    月々の固定的な返済プレッシャーから解放されることが、人生の選択肢を最大化する。慎治は移住費用1,500万を全額現金で支払い、現在も負債ゼロを貫いている。

  3. 移住費用は計画額の1.5倍を準備せよ

    仮住まい・追加修繕・予期せぬ初期投資で、計画額の30〜50%は超過する。山里家も1,500万計画→実費1,503万+116万=合計1,619万を必要とした。

  4. 家族全員の同意を取れ、1人の不同意は5年で家庭を壊す

    慎治家は妻・直子の即答「いいよ」が決定的だった。子の年齢が小さいうちに移住する方が、子の意思決定に振り回されにくい。

  5. 収入源は3本柱を作れ、1本では脆い

    山里家は道の駅販売・投資コンサル・地域おこし協力隊の3本柱。1つが失われても2つで生き延びる構造。

  6. 食費は地方で月1.5万まで圧縮可能、ただし条件あり

    田畑5反+鶏15羽+蜂2箱+集落の物々交換ネットワーク+手作り保存食、この5要素が揃って初めて月1.5万が成立。1つ欠ければ月3-5万になる。

  7. 田舎のプライバシー希薄化は3年で諦めて受け入れろ

    「見られていることを前提に生きる」に切り替えれば楽になる。希薄な人間関係を求めて田舎に来ると失敗する。

  8. 子の教育費は移住前想定の2倍を見ておけ

    地方の塾選択肢の少なさ、修学旅行・PTA寄付・部活遠征・大学進学時の仕送りで、計画より遥かに多い支出が発生する。

  9. 地域おこし協力隊・補助金制度を最大限活用せよ

    知らずに払う民間市場価格と、知っていて受け取る公的補助の差は大きい。年齢制限が緩和された今、40代・50代でも応募可能。

  10. 都市的成功を捨てることは、別の豊かさを得ること

    年収980万・抗うつ薬服用・家族との会話消失の都市生活と、年収420万・薬離脱・夫婦の会話4倍の田舎生活。何を「豊かさ」と定義するかで人生の風景は変わる。

22-1. 山里慎治・人生哲学10箇条

  1. 金は、金で買えるものに対してのみ強い。
  2. 時間は、戻らない最後の通貨である。
  3. 家族と土地は、所有するものではなく育てるものだ。
  4. 不便さは、日々の創意工夫を生む「教師」だ。
  5. 地域は、観光客でいる限り永遠に部外者であり続ける。
  6. 食卓に並ぶものの履歴を知ることは、人生を取り戻す第一歩。
  7. 自由は買えない、設計するものだ。
  8. 失敗は学費。学費を払わない者は学べない。
  9. 子どもは親の言葉ではなく、親の表情で育つ。
  10. 引き算の人生こそ、足し算の人生より豊かになり得る。

22-2. 慎治が「もし時間が戻れるなら」

2025年の今、慎治が2008年(リーマンショックの年・31歳)の自分にメッセージを送るとしたら、何を伝えるか。本人の言葉で:

「2008年9月の俺へ。お前は今、顧客の1人を失って自殺された罪悪感で押し潰されそうになっているはずだ。会社のトイレで吐いて、上司に頭を下げ続け、夜中に電話で泣かれて、自分の存在価値が分からなくなっている。」

「俺は2025年の俺だ。お前は今、こう思うべきだ。『この罪悪感は、俺が人として正常な証拠だ』。人を不幸にして金をもらうことに痛みを感じない人間になっていたら、お前はもっとやばい場所に行く。今の痛みは、お前の人間性が叫んでいる声だ。」

「だから、9年待ってくれ。9年後の2017年、お前の息子が『お父さん最近笑わない』と言う日が来る。その日に、人生を変える決断をしてくれ。それまで、心を完全には殺さないでほしい。生き延びてくれ。」

「2025年のお前は、島根の里山で、朝の薪ストーブの前で珈琲を淹れている。窓の外には自分が植えた稲が風にそよいでいる。直子と蓮が起きてきて、自分の家の卵で目玉焼きを焼いている。それが、お前の19年後だ。」

「金は減ったけど、人生は戻ってきた。9年、もう少しだけ歯を食いしばってくれ。──2025年4月、48歳の俺より」

23. 相談窓口・移住・自給自足・地域おこしの公的支援

23-1. 全国・国の機関

23-2. 島根県・浜田市の窓口

23-3. 民間・NPO・コミュニティ

23-4. メンタル・健康相談

23-A. 編集後記・記事全体の総括

本記事の意義

「一億人の妄想 お金の現在地」NO.111として、山里慎治(48歳・島根県浜田市・元証券マン)の0歳から48歳までの全お金記録を、移住費用の領収書、地域おこし協力隊の給付金通知、田畑の収量表まで一次資料ベースで再構成した。本記事は架空のペルソナだが、登場する金額・制度・地域名・補助金は2025年時点の実在のデータに基づいており、移住検討者・自給自足志向者にとって「現実的な参照点」として機能することを意図した。

読者へのメッセージ

もしあなたが今、年収800-1,000万のキャリアを積み上げている都市生活者で、心のどこかに「このままでいいのか」という小さな声を持っているなら、山里慎治の記録は1つの可能性として参考になるはず。彼の選択が正解とは限らないが、選ばなかった道の輪郭を知ることは、選ぶ道の意味を深める。

逆に、すでに地方で暮らしている読者にとっては、慎治の月10万生活・年貯蓄300万・複数収入源の組み立て方が、自身のキャッシュフロー設計の比較材料になるはずだ。

本記事のキーナンバーまとめ

取材協力・謝辞(架空)

本記事の構成にあたって、地方移住・半農半X・地域おこし協力隊の各分野の専門家・研究者・実践者に取材を行ったという設定で記述している。架空の人物・団体ではあるが、参照したデータと制度は実在のもの。読者が本記事を起点に、ふるさと回帰支援センター・各自治体の移住相談窓口に問い合わせることを想定して構成した。

24. References・参考資料20本

  1. 総務省(2024)『令和6年度 過疎地域の現況等に関する基礎データ』総務省自治行政局過疎対策室
  2. 総務省(2024)『地域おこし協力隊の隊員数等の推移(令和5年度実績)』
  3. 総務省(2024)『関係人口の創出・拡大に向けた取組事例集』
  4. 農林水産省(2024)『令和5年度 食料・農業・農村白書』
  5. 農林水産省(2024)『新規就農者調査(令和5年度実績)』
  6. 国土交通省(2024)『国土の長期展望専門委員会・最終とりまとめ』
  7. 島根県(2024)『令和6年度 島根県UIターン者統計』島根県政策企画局
  8. 浜田市(2024)『浜田市総合振興計画 後期基本計画』
  9. 認定NPO法人ふるさと回帰支援センター(2024)『2023年度 移住希望地ランキング』
  10. 矢野経済研究所(2024)『2024年版 国内農機具・家庭園芸市場調査』
  11. 株式会社メガバンクリサーチ&コンサルティング(2024)『地方移住者の経済影響分析』
  12. 塩見直紀(2003)『半農半Xという生き方』大手電機メーカー・マガジンズ
  13. 新田穂高(2010)『農的暮らしをはじめる本』農文協
  14. 丸山健二(2008)『田舎暮らしに殺されない法』朝日新書
  15. ヘンリー・D・ソロー/飯田実訳(1995)『ウォールデン 森の生活』岩波文庫
  16. 渡辺和子(2012)『置かれた場所で咲きなさい』幻冬舎
  17. pha(2016)『しないことリスト』大和書房
  18. 小田切徳美(2014)『農山村は消滅しない』岩波新書
  19. 増田寛也編(2014)『地方消滅』中公新書
  20. 藻谷浩介・NHK広島取材班(2013)『里山資本主義』角川oneテーマ21

本記事は架空のペルソナを描いたフィクションです。実在の人物・団体・地域とは無関係であり、引用統計は2024年時点の公開データに基づきますが、ペルソナ個別の数値は創作です。投資・移住・就農・税務に関する個別の判断は、必ず専門家・公的機関にご相談ください。

24-1. オンライン参考資料

  1. 総務省「地域おこし協力隊」公式ポータル https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/02gyosei08_03000066.html
  2. 認定NPO法人ふるさと回帰支援センター https://www.furusatokaiki.net/
  3. JOIN(移住・交流推進機構) https://www.iju-join.jp/
  4. SMOUT(株式会社カヤック) https://smout.jp/
  5. 島根県UIターンポータル「くらしまねっと」 https://www.kurashimanet.jp/
  6. 浜田市定住推進課・空き家バンク https://www.city.hamada.shimane.jp/
  7. 島根県中山間地域研究センター https://www.pref.shimane.lg.jp/chusankan/
  8. 農林水産省「新規就農者支援」 https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/
  9. e-Stat「過疎地域統計データ」 https://www.e-stat.go.jp/
  10. 農業会議所「新規就農相談センター」 https://www.nca.or.jp/

24-2. 関連書籍・拡張学習

  1. 『田舎暮らしの本』(宝島社・月刊誌)
  2. 『TURNS』(第一プログレス・季刊誌)
  3. 『ソトコト』(RR・月刊ローカルライフマガジン)
  4. 『現代農業』(農文協・月刊誌)
  5. 『婦人之友』(婦人之友社・自給自足特集多数)
  6. 『暮しの手帖』(暮しの手帖社・節約と手作り情報)
  7. NHK「人生の楽園」(移住者ドキュメンタリー番組)
  8. NHKスペシャル「里山資本主義」シリーズ
  9. BS-TBS「日本縦断 こころ旅」(火野正平)
  10. YouTube「田舎暮らしvlog」各チャンネル群

記事ID:NO.111/作成日:2026-04-22/最終更新:2026-04-22/架空ペルソナ|文責:一億人の妄想 お金の現在地 編集部

24-3. 山里慎治・もし会えるなら聞きたい10の質問(読者投稿想定)

  1. もし2018年に戻れるなら、移住先は本当に島根浜田を選びますか?
  2. 長男・蓮が将来「都会に出たい」と言ったら、応援しますか?
  3. 奥様の親の介護で東京に長期戻ることになったら、移住生活はどうなりますか?
  4. 地域おこし協力隊の任期終了後、本当に独立で食べていけますか?
  5. 古民家のリフォーム600万、もう一度なら何を変えますか?
  6. 食費月1.5万生活、家族から「もっと外食したい」と言われませんか?
  7. 島根の冬の孤独感、どう対処していますか?
  8. NISAの運用方針、新NISAになって変えましたか?
  9. お子さんの大学費用、貯蓄から取り崩す前提ですか?奨学金併用ですか?
  10. 80歳になったとき、振り返って「移住して良かった」と言えますか?

24-4. 続編企画予告

本シリーズでは、山里慎治と異なる「田舎暮らし」「自給自足」「半農半X」のパターンを今後も追加予定です:

各記事は山里慎治と同等のディテールで、各ペルソナの全お金記録を公開予定です。

24-5. 本記事を友人にシェアする際のサマリー文(コピペ用)

「早稲田卒・東京の証券マンで年収980万まで上がった男が、リーマン後の罪悪感と『お父さん最近笑わない』という子の一言を機に、2018年・41歳で島根県浜田市の里山に移住。古民家400万+リフォーム600万+農機具300万+生活立ち上げ200万を全額現金で支払い、田畑5反+鶏15羽+蜂2箱+米7俵で完全自給自足を実現。年収は980万→420万に減ったが、食費月1.5万・支出月10万、移住前貯蓄2,800万のうち2,000万を温存。地域おこし協力隊と道の駅と投資コンサルの3本柱で、月25万を貯蓄し続ける現代版・半農半Xの全実額記録。年収より可処分所得、そして時間と健康と家族の絆で人生を再設計した48歳の答え合わせ」

24-6. 本記事の検証可能性(出典マッピング)

本記事に登場する「事実」は架空ですが、以下の制度・統計は実在します:

本記事を起点に、上記の実在制度・実在窓口に問い合わせれば、読者ご自身の「お金の現在地」を、ペルソナ慎治と同じレベルで設計し直すことが可能です。