登山の引き返し時刻計算
日没時刻・登りと下りのコースタイム・休憩時間から、推奨出発時刻、引き返し時刻、山頂での滞在可能時間を算出します。
登山の引き返し時刻計算ツール
引き返し時刻は日没−バッファ−下りのコースタイムで求めます。既定の日没17時00分からバッファ60分を引いた16時00分が下山の期限で、そこから下り2.5時間を戻した13時30分が引き返しの限界です。推奨出発時刻は期限から登り4.0時間・下り2.5時間・休憩1.0時間・山頂滞在30分を差し引いた8時00分。実際に7時00分に出発すると山頂到着は11時36分となり、114分滞在できます。下山予定は14時30分です。
月ごとの日没時刻の目安(本州の中部)
| 時期 | 日没 | 薄明の終わり |
|---|---|---|
| 4月中旬 | 18時20分ごろ | 18時45分ごろ |
| 6月下旬 | 19時00分ごろ | 19時30分ごろ |
| 9月中旬 | 17時50分ごろ | 18時15分ごろ |
| 11月中旬 | 16時40分ごろ | 17時05分ごろ |
体力の補正とコースタイムの伸び
| 区分 | 補正 | 登り4時間の場合 |
|---|---|---|
| 速い | 0.85倍 | 3時間24分 |
| 標準 | 1.0倍 | 4時間00分 |
| ゆっくり | 1.2倍 | 4時間48分 |
| 荷物が重い場合の追加 | 1.1〜1.3倍 | 4時間24分〜5時間12分 |
※参考計算です。気象・体調・装備の個体差で結果は変わるため、実際の行動計画は現地の予報と装備の実測値で確認してください。
登山の引き返し時刻計算の詳しい解説
山の事故が起きやすいのは、下山の途中で日没を迎える場面です。暗くなると足元の段差が読めず、道迷いと滑落の危険が一気に上がります。そこで先に決めるべきなのは登頂時刻ではなく下山の期限で、日没から余裕を引いた時刻を期限に置き、そこから下りのコースタイムを戻した点が引き返しの限界になります。既定の条件では日没17時00分に対して13時30分が限界で、山頂まであと少しでもこの時刻を過ぎたら戻るという線引きになります。
判断が分かれるのはバッファの取り方です。30分で足りるという見方と、1時間以上取るべきだという見方があります。単独か複数か、道が明瞭か、下山口に公共交通の時刻があるかで妥当な幅は変わります。パーティーの人数が増えるほど休憩の回数と長さが増え、実際の下りは計画より延びる傾向があるため、人数が多いときほどバッファを厚くするのが現実的です。
見落とされやすいのは、コースタイムが荷物と体調を織り込んでいないことです。地図に記載された時間は標準的な装備での目安で、テント泊装備を背負えば1割から3割は延びます。加えて登りより下りのほうが遅くなる人も多く、疲労した脚では下りのコースタイムが登りに近づきます。休憩の合計も、地図上の時間には含まれていない点に注意が必要です。
季節による違いも大きく出ます。11月の日没は6月より2時間以上早く、同じコースでも出発時刻を前倒しする必要があります。薄明の時間帯は日没後20分から30分ほど明るさが残りますが、樹林帯では日没前から暗くなります。ヘッドランプは行動の予定に関わらず必ず携行し、予備の電池と合わせて手の届く場所に入れておいてください。
下山口の交通機関も期限を左右します。バスの最終便が16時台なら日没よりそちらが実質の期限になり、乗り遅れれば長い車道歩きかタクシーの手配が必要です。マイカーであれば駐車場の閉門時刻が制約になります。計画の段階で、日没と最終便と閉門時刻のうち最も早いものを下山の期限に据えておくと山中で迷いません。単独行では自分の判断だけが頼りになるため、この線引きを紙に書いて持つ方法が有効です。
業界・現場での使い方
日帰り登山の計画
日没から逆算して出発時刻を決め、山頂での滞在可能時間を把握します。
山岳ガイドの行程管理
参加者の歩行速度に合わせた補正をかけ、引き返し時刻をパーティーで共有します。
山岳会の計画書作成
下山予定時刻と緊急連絡の時刻を明記し、届け出の内容に反映します。
学校や団体の登山
バッファを厚めに設定し、遅れが出た場合の判断基準を事前に決めます。
よくある間違い・注意点
- 登頂を目的にして下山時刻を決めない — 下山の期限を先に決めないと、山頂での判断が甘くなり日没に追われます。
- コースタイムをそのまま使う — テント泊装備では1〜3割延びるうえ、休憩の時間は地図の数字に含まれていません。
- 日没時刻だけで期限を決める — 樹林帯では日没前から暗くなるため、30分から1時間のバッファが必要です。
- ヘッドランプを持たずに日帰りする — 想定より遅れることは珍しくなく、灯りがないと下山そのものが不可能になります。
- 下りは速いと決めてかかる — 疲労した脚では下りのコースタイムが伸び、登りと同程度になることもあります。
関連する規格・公的資料
- 日本山岳・スポーツクライミング協会 — 登山・クライミング
- 日本山岳会 — 山岳
- 日本山岳ガイド協会 — 山岳ガイド
- 環境省 — 国立公園・自然環境
- 国土地理院 — 地形図・標高
- 気象庁 — 気象・日の出入り
- 警察庁 — 山岳遭難の統計
- 林野庁 — 国有林・森林
- 日本赤十字社 — 救急法
- 医薬基盤・健康・栄養研究所 — 身体活動・栄養
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
日没17時のとき引き返し時刻は何時ですか?
下り2.5時間・バッファ60分の既定値で13時30分です。この時刻を過ぎたら山頂を諦めて戻ります。
推奨出発時刻はどう決まりますか?
下山の期限から登り・下り・休憩・山頂滞在30分を差し引いた時刻です。既定値では8時00分になります。
バッファは何分取るべきですか?
単独で道が明瞭なら30分、複数人や不慣れなコースでは60分以上が目安です。
山頂ではどのくらい休めますか?
7時00分に出発した既定値では114分です。到着が遅れるとその分だけ短くなります。
コースタイムはどこまで信用できますか?
標準的な装備での目安です。テント泊装備や大人数では1〜3割延びると考えてください。
日没後はどのくらい明るさが残りますか?
薄明は日没後20〜30分ほど続きますが、樹林帯や谷筋では日没前から暗くなります。
引き返す判断ができないときはどうしますか?
出発前に時刻を紙に書いてパーティー全員で共有し、その時刻で機械的に判断する運用が有効です。
登山届は出したほうがよいですか?
下山予定時刻を含めた計画を提出しておくと、遭難時の捜索が早くなります。多くの山域で提出が求められています。