コンプレッサ選定計算
【ご注意】このページの計算結果・情報は参考値です。正確性・最新性は保証できません。税務・法務・お金・設計・施工・安全などに関わる判断は、公式の資料と専門家の確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。免責事項
接続機器の消費空気量・同時使用率・余裕率から必要吐出量と推奨出力を求め、瞬時最大消費と許容圧力降下から空気タンク容量、圧力容器の区分、年間電力費まで算出します。新設・増設・更新の検討に使えます。
コンプレッサ選定計算ツール
計算式
必要吐出量は Q=Σ消費量×同時使用率×(1+余裕率) で、既定値では 400×0.7×1.3=364L/min(ANR)です。出力は形式ごとの「1kW あたりの吐出量」で割って求めます。給油式スクリュは 0.7MPa で 160L/min/kW が目安で、圧縮の仕事は圧力比の対数に比例するため、使用圧力での吐出量は ln(7.91)/ln((P+0.1013)/0.1013) 倍で補正します(0.6MPa で 1.07倍の 171L/min/kW、0.8MPa で 0.94倍)。既定値では 364/171=2.13kW で、負荷率が80%以下に収まる標準出力として 3.7kW(吐出量目安 633L/min・負荷率58%)を選びます。
空気タンクは、瞬時の最大消費 900L/min が 30秒続く間に圧縮機の吐出 633L/min で足りない分 (900−633)×30/60=134L(ANR)を、許容圧力降下 0.1MPa の範囲で供給できる容積として V=不足量/(ΔP/0.1013)=135L と求めます。ゲージ圧0.2MPa 以上で内容積 0.04m³ 以上のタンクは第二種圧力容器に当たり、1年以内ごとの定期自主検査が必要です。
定格出力別の吐出空気量の目安(0.7MPa・給油式)
| 定格出力 | レシプロ(130L/min/kW) | スクリュ(160L/min/kW) | 目安となる用途規模 |
|---|---|---|---|
| 0.75kW | 98L/min | — | エアブロー1本・小型工具 |
| 1.5kW | 195L/min | 240L/min | 小規模作業場 |
| 2.2kW | 286L/min | 352L/min | 整備工場の1〜2ベイ |
| 3.7kW | 481L/min | 592L/min | 小規模ライン・塗装ブース |
| 5.5kW | 715L/min | 880L/min | 複数装置の同時運転 |
| 7.5kW | 975L/min | 1,200L/min | 中規模工場の1系統 |
| 11kW | 1,430L/min | 1,760L/min | 複数ライン |
| 15kW | 1,950L/min | 2,400L/min | 工場の主機 |
| 22kW | 2,860L/min | 3,520L/min | 大規模工場 |
| 37kW | 4,810L/min | 5,920L/min | 集中供給 |
空気機器の消費空気量の目安(使用中の値)
| 機器 | 消費空気量 | 備考 |
|---|---|---|
| エアブローガン(φ1.5mm ノズル・0.5MPa) | 100〜200L/min | 吹いている間だけ消費。断続使用 |
| インパクトレンチ 1/2インチ | 250〜400L/min | 使用率は通常20〜30% |
| エアグラインダ・サンダ | 300〜500L/min | 連続使用が多い |
| スプレーガン(重力式) | 150〜300L/min | 塗装中は連続 |
| エアシリンダ φ50×200mm 10往復/分 | 約50L/min | 配管分を含む計算値 |
| 釘打機・タッカ | 1打ち 1〜3L | 打数×1打ち消費で見積もる |
空気タンクの法規区分(労働安全衛生法施行令)
| 区分 | 条件 | 求められること |
|---|---|---|
| 第二種圧力容器 | ゲージ圧 0.2MPa 以上の気体を保有し、内容積 0.04m³ 以上(または胴内径200mm以上かつ長さ1,000mm以上) | 製造時の個別検定、1年以内ごとの定期自主検査と記録の3年保存 |
| 規制の対象外 | 上記に満たない小型タンク | メーカーの取扱説明に従った点検 |
| 第一種圧力容器 | 蒸気や化学反応など、内容積×圧力が大きい容器 | 圧縮空気の受槽は通常該当しない |
※本ツールは理論式による参考計算です。機器の選定は各メーカーのカタログ値と安全率、および JIS・ISO と労働安全衛生法令の要求事項に従ってください。
コンプレッサ選定計算の詳しい解説
コンプレッサ選定で最初に決めるのは圧力ではなく空気量です。圧力は接続機器の要求で自動的に決まり、多くの工場では 0.7MPa 吐出・0.5〜0.6MPa 使用に落ち着きます。空気量は各機器の消費量(ANR)を積み上げ、同時に動く割合と、漏れや増設の余裕を掛けて求めます。同時使用率は工具類で20〜40%、自動機のシリンダ群で60〜80%、塗装やブローのように連続で使う機器は100%と見ます。余裕率30%は、配管系の漏れが1〜2割あることと、数年のうちに機器が増えることを織り込んだ経験値で、これを省くと稼働後すぐに圧力不足に悩まされます。
必要吐出量を出力に直すときは、形式ごとの1kW あたりの吐出量を使います。給油式スクリュはおよそ 160L/min/kW、レシプロは 130、オイルフリーは 115 前後が 0.7MPa での目安で、同じ出力でもスクリュの方が2割ほど多く出ます。この換算値はメーカーと機種で1〜2割の幅があるので、候補が絞れたらカタログの実測吐出量に置き換えて確認してください。圧縮の仕事は圧力比の対数に比例するので、同じ出力で得られる空気量は使用圧力を 0.1MPa 下げるごとに約7%増え、上げれば同じだけ減ります。機器が本当に必要とする圧力まで下げるのが最も確実な省エネで、このページの補正係数はその関係をそのまま式にしたものです。
空気タンクの役割は圧力の平滑化と瞬時負荷の吸収です。圧縮機の吐出は連続でも、エアブローやクランプの一斉動作のように瞬間的に吐出量を超える消費が起きるとき、その不足分をタンクに蓄えた空気で賄います。必要な容積は「不足する空気量を、許容できる圧力降下で供給できる大きさ」として求めます。既定値では 900L/min の消費が30秒続くときに 592L/min の吐出では 154L(ANR)足りず、0.1MPa の降下を許すなら 156L のタンクが要る計算です。圧力降下をもっと許せるなら小さくて済み、0.05MPa しか許せなければ倍の容積が必要になります。レシプロ機ではこれに加えて起動停止の頻度を抑えるための容積が必要で、吐出量(L/min)と同じか、それ以上の容量を選ぶのが慣例です。
タンクを選ぶときは法規も確認します。ゲージ圧 0.2MPa 以上の空気を保有し内容積が 0.04m³(40L)以上の容器は労働安全衛生法施行令の第二種圧力容器に当たり、製造時の個別検定を受けた製品を使い、1年以内ごとの定期自主検査と記録の保存が求められます。市販の 100L 以上のレシーバタンクはほぼ該当するので、設置後の検査計画まで含めて考えてください。窒素などのガスを 1MPa 以上で扱う場合は高圧ガス保安法の領域になりますが、空気圧縮機の一般的な 0.7〜1.0MPa はその手前です。
電力費は出力×稼働時間×単価で見積もります。3.7kW を年2,000時間動かせば全負荷で 222,000円で、圧縮機の生涯コストの7〜8割は電力です。負荷率が低いときの消費電力は制御方式で大きく変わり、アンロード運転のあるスクリュ機は無負荷でも定格の3〜4割を消費します。負荷率が50%を切るなら出力を一段下げるか、インバータ機や複数台の台数制御を検討する方が電力費は下がります。反対に負荷率が90%を超える選定は、漏れの増加や夏場の吐出量低下で圧力不足になりやすいので、推奨機の負荷率は60〜80%に収まる出力を選ぶのが目安です。
別の条件での計算例
自動車整備工場の2ベイで、インパクトレンチ 350L/min×2、ブローガン 150L/min×2、スプレーガン 250L/min を使うとします。合計 1,250L/min ですが工具は断続使用なので同時使用率30%、余裕30%を掛けて必要吐出量は 1,250×0.3×1.3=488L/min。0.6MPa の給油式スクリュ(171L/min/kW)なら 2.85kW で、負荷率80%以下になる標準出力は 3.7kW(633L/min・負荷率77%)です。塗装中はスプレーガンとブローガンで 400L/min を連続で使いますが吐出量を下回るので、瞬時消費による不足分は計算上ゼロになります。この場合でもレシプロ機なら起動停止の頻度を抑えるために吐出量(L/min)の3分の1〜同量の容量、スクリュ機でも圧力の平滑化のために 100L 前後のレシーバタンクを置くのが慣例で、計算値がゼロでもタンクを省くという意味ではありません。
業界・現場での使い方
工場の新設・増設
機器ごとの消費量を積み上げ、同時使用率と余裕率で必要吐出量を出し、負荷率60〜80%になる出力を選びます。
自動車整備・板金塗装
インパクトレンチやスプレーガンは断続使用なので同時使用率を低く取り、塗装中の連続消費に耐えるタンク容量を確保します。
省エネ診断
実測の負荷率と圧力設定から、圧力の引き下げ・台数制御・インバータ化の効果を年間電力費で比較します。
保全・更新計画
既設機の負荷率が90%を超えていれば更新時に一段上げ、50%未満なら下げるかインバータ機にする根拠を数字で示せます。
よくある間違い・注意点
- 全機器の消費量をそのまま足す — 同時に動く割合を掛けます。工具類は20〜40%、自動機は60〜80%が目安で、足しただけでは過大な機種になります。
- 余裕率を省く — 配管の漏れが1〜2割、数年で機器が増えるのが普通です。余裕率0では稼働後すぐに圧力不足になります。
- 1kW あたりの吐出量を固定値と思う — 機種で1〜2割の幅があります。候補が絞れたらカタログの実測値で確認します。
- 圧力を高めに設定しておく — 0.1MPa 上げると電力は7〜8%増え、漏れも増えます。機器が必要とする最低限まで下げます。
- タンクの法規を見落とす — 0.2MPa 以上・40L 以上は第二種圧力容器で、個別検定品の使用と年1回の定期自主検査が必要です。
関連する規格・公的資料
- 日本産業標準調査会(JISC) — JIS規格の検索と閲覧。空気圧・油圧の各規格番号はここで確認できる
- 日本フルードパワー工業会(JFPA) — 油圧・空気圧機器の業界団体。技術資料と機器の安全基準
- 日本フルードパワーシステム学会 — 油空圧の学術団体。基礎理論と最新の研究
- ISO(国際標準化機構) — ISO 6358・ISO 15552・ISO 3320 などの原規格
- 厚生労働省 — 労働安全衛生法と圧力容器・空気圧機器の安全規制
- e-Gov 法令検索 — ボイラー及び圧力容器安全規則・労働安全衛生法施行令の条文
- 高圧ガス保安協会(KHK) — 高圧ガス保安法の解説。1MPa以上の圧縮ガスの扱い
- 産業技術総合研究所 計量標準総合センター — 圧力・流量・温湿度の国家計量標準
- 日本機械学会 — 流体工学・機械設計の学術資料
- 日本規格協会(JSA) — JIS規格票の発行と規格の解説
- 労働安全衛生総合研究所 — 産業安全の研究機関。機械災害の防止
- 経済産業省 — 産業保安と省エネルギー施策。コンプレッサの省エネ指針
- 労働安全衛生法施行令 第1条(第二種圧力容器の定義) — ゲージ圧0.2MPa以上・内容積0.04m³以上の容器の区分
- ボイラー及び圧力容器安全規則 — 第二種圧力容器の定期自主検査と記録保存
- JIS B 8341(容積形圧縮機 試験及び検査方法) — 圧縮機の吐出量・動力の試験方法
- JIS B 0132(送風機・圧縮機用語) — 吐出量・圧力などの用語の定義
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
必要吐出量はどう求めますか?
接続機器の消費量の合計×同時使用率×(1+余裕率) です。既定値では 400×0.7×1.3=364L/min(ANR)です。
1kW でどのくらいの空気が出ますか?
0.7MPa で給油式スクリュが約160L/min、レシプロが約130、オイルフリーが約115 が目安です。機種で1〜2割の幅があります。
同時使用率はどう決めますか?
工具類は20〜40%、自動機のシリンダ群は60〜80%、塗装・ブローなど連続使用の機器は100%が目安です。
空気タンクの容量はどう決めますか?
瞬時最大消費が続く間に吐出量で足りない空気量を、許容圧力降下で供給できる容積として求めます。既定値では135Lです。
第二種圧力容器とは何ですか?
ゲージ圧0.2MPa以上の気体を保有し内容積0.04m³以上の容器です。個別検定品を使い、1年以内ごとの定期自主検査が必要です。
使用圧力を上げると吐出量は減りますか?
減ります。圧縮の仕事は圧力比の対数に比例するため、0.7MPa 基準の吐出量を ln(7.91)/ln((P+0.1013)/0.1013) 倍で補正しています。0.1MPa 上げるごとに約7%減ります。
負荷率はどのくらいが適正ですか?
60〜80%が目安です。50%未満なら出力を下げるかインバータ機、90%超なら一段上の出力を検討します。
年間の電力費はいくらですか?
定格出力×稼働時間×単価で、3.7kW・2,000時間・30円なら222,000円です。実際は負荷率と制御方式で変わります。
オイルフリーはなぜ吐出量が少ないのですか?
潤滑油による密封と冷却がないぶん効率が下がるためです。清浄度が必要な食品・医療・塗装で選びます。