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LLM API コスト計算|9つのモデル階層をトークン単価×リクエスト数で月次・年次シミュレーション【2026年版】

月間ユーザー数、1ユーザーあたりリクエスト数、平均 input/output トークンを入力すると、最上位・上位バランス型・軽量・中位マルチモーダル・超軽量・超長文対応(最上位/中位/軽量)など9つのモデル階層の月次コストと年次コストを一気に比較します。プロンプトキャッシングによる input 90%オフ、バッチAPIによる全体 50%オフの効果まで反映。チャットボット、要約、コード生成、RAG検索、社内AI導入まで、月10万〜1000万リクエスト規模のコスト設計をこの1本で完結できます。

最終更新:2026年8月14日/監修:計算ツールズ編集部

LLM API コスト計算ツール

MAU。B2C チャットは数千〜数百万、社内ツールは数十〜数千の想定。
チャットは20〜50、要約は5〜20、コード補完は数百〜数千。
input(コンテキスト)
output(生成)
目安:日本語 1文字 ≒ 1.5トークン。新しい世代のトークナイザでも、日本語は英語基準の1.2〜1.3倍かかります。
下の比較表では9階層すべての月次コストが同時に表示されます。
主要なLLM提供事業者はいずれも対応。キャッシュヒット時の input は概ね 10%(90%オフ)で計算します。
各社のバッチAPIはいずれもリアルタイム比 50%オフ。24時間以内のレイテンシで良い処理向けです。
2026年8月時点の目安。海外API決済のため円建て表示に反映されます。

コスト内訳フロー(主力モデル・キャッシュ/バッチ反映後)

9つのモデル階層の月次コスト一覧

モデルの階層input単価
($/1Mtok)
output単価
($/1Mtok)
月次USD月次JPY年次JPY

結果の見方

LLM API の請求金額は「input トークン単価 × input トークン数」+「output トークン単価 × output トークン数」の積み上げで決まります。output は input の 3〜5倍単価が相場のため、生成量を切り詰めるほど効果が大きい構造です。

  • 総リクエスト数:MAU × リクエスト/人。ここが 10万→100万→1000万と桁で動くと、そのままコストも桁で動きます。
  • 1リクエスト平均コスト:階層別の実効単価。軽量・超軽量は0.1円台、上位バランス型・中位マルチモーダルは1円前後、最上位・前世代の高価格帯は5〜10円レンジです。
  • キャッシュ効果:システムプロンプトや RAG のコンテキストが毎回同じなら、input 側を 90%オフにできる。BtoB SaaS では 30〜60% のヒット率が現実的です。
  • バッチ効果:24時間以内でよい非同期処理(要約、分類、翻訳、レビュー生成)は Batch API で 50%オフ。日次バッチ設計に切り替えるだけで請求が半減するケースもあります。
  • 最安モデル:単純な最安値。品質要件・ハルシネーション耐性・関数呼び出し対応・多言語性能・長コンテキスト対応まで含めて総合判断してください。

計算の仕組みと数式

基本式

月次コスト(USD) = ΣReq × ( InTok × (1 − Cache×0.9) × Pin + OutTok × Pout ) ÷ 1,000,000 × (1 − Batch×0.5)

  • ΣReq:月間総リクエスト数 = MAU × リクエスト/人
  • InTok・OutTok:1リクエストあたりの平均トークン数
  • Pin・Pout:モデル別の input/output 単価(USD/1Mトークン)
  • Cache:プロンプトキャッシング利用率(0〜1)。ヒット時 input を 10%まで割引
  • Batch:Batch API 利用率(0〜1)。全体を 50%まで割引

年次コスト・1リクエスト平均

年次コスト = 月次コスト × 12
1リクエスト平均 = 月次コスト ÷ ΣReq
JPY 換算 = USD × 為替レート

実際の運用では「エラー再試行 5〜15%」「システムプロンプト固定分 200〜1000トークン」「function calling の tool 定義トークン」「JSONモード時の追加トークン」を織り込むと、上式の 1.1〜1.3 倍が現実的な請求額の下限になります。

トークンと文字数の関係

主要なLLMが採用する BPE 系トークナイザでは、英語は 1トークン ≒ 4文字、日本語は 1文字 ≒ 1.5〜2トークンです。事業者が違ってもこの水準はほぼ変わりません。日本語中心のサービスは英語の 1.3〜1.5 倍のコストで見積もると安全です。

9つのモデル階層の比較表(2026年8月時点・USD/1Mトークン)

LLMは提供元が違っても、性能帯(階層)ごとに単価がほぼ揃います。会社名で覚えるより、下の9階層で相場を掴むほうが見積もりが早くなります。数値は上の計算機と同じです。

モデルの階層提供元の系統inputoutputコンテキスト強み
最上位モデル大手LLM事業者A系$15$75200K最高精度・複雑推論・長文生成
上位バランス型モデル大手LLM事業者A系$3$15200Kコスパ最強・実務のワークホース
軽量モデル大手LLM事業者A系$0.80$4200K低遅延・大量捌き・分類
前世代の高価格モデル大手LLM事業者B系$10$30128K安定・周辺ツールが最も厚い
中位マルチモーダルモデル大手LLM事業者B系$2.50$10128Kマルチモーダル・低遅延
前世代の低価格モデル大手LLM事業者B系$0.50$1.5016K激安・シンプルなタスク
超長文対応の最上位モデル大手LLM事業者C系$7$211M超長コンテキスト・動画理解
超長文対応の中位モデル大手LLM事業者C系$1.25$51M長文RAG・マルチモーダル
超長文対応の軽量モデル大手LLM事業者C系$0.075$0.301M超激安・大量処理・エッジ

※単価は各社の公式料金ページから抜粋した2026年8月時点の参考値を、階層ごとに代表化したものです。128K超プロンプトのプレミアム、キャッシュ read/write の細目、リージョン別課金は別途要確認。選ぶ観点は「必要な推論の深さ」「入力コンテキストの長さ」「マルチモーダルの要否」「出力トークン量」の4点で、コンテキスト長が足りていれば下の階層に落とすのが最も効きます。

ケーススタディ:5つの典型ユースケース

① チャットボット:MAU 3,000 × 月30req × in2K/out500

カスタマーサポート向け FAQ ボット。月10万リクエスト規模。上位バランス型で月次 。軽量モデルなら 1/4 以下になります。キャッシュ 60% を効かせると FAQ の固定コンテキストが激安になり、上位バランス型でも軽量モデル相当の水準に近づきます。

② 要約サービス:MAU 10,000 × 月100req × in5K/out800

ニュース/議事録要約 SaaS。月100万リクエスト。output は短くコンテキストが長いため input 側の効きが大きい。バッチAPI を 80% 適用できれば /月に圧縮可能。超長文対応の軽量モデル×バッチなら 1/50 以下も現実的です。

③ コード生成:MAU 500 × 月200req × in3K/out1500

開発者向けエディタ内 AI 補完。月10万リクエストだが 1req あたりのトークンが多い。品質重視なら上位バランス型/中位マルチモーダルが現実解です。月次 。関数呼び出しやツール使用のオーバーヘッドで実請求は 20% 増を見込みます。

④ RAG検索:MAU 5,000 × 月100req × in8K/out300

社内ナレッジ検索。1req のコンテキストが非常に長い(RAG で 5〜10 チャンク投入)。月50万リクエスト、キャッシュを効かせず上位バランス型なら /月。超長文対応の中位モデル(1Mコンテキスト)ならチャンク数を減らせ、実質単価が下がります。

⑤ 大規模社内AI:MAU 20,000 × 月500req × in2K/out500

従業員2万人企業の社内AIアシスタント。月1000万リクエスト規模。全部を上位バランス型で回すと月次 /月。軽量モデル8割+上位バランス型2割のルーター構成に、キャッシュ 60% とバッチ 40% を足せば 1/3 以下になります。この規模になると自社ホスティング vs API の TCO 比較も現実的な検討対象です。

プロンプトキャッシング&バッチAPI の効果

プロンプトキャッシング

システムプロンプトやドキュメント本文など、複数リクエストで再利用される長い input を、プロバイダ側でキャッシュ保持し、ヒット時は input 単価を大幅に減額する仕組みです。cache read は通常単価の10%(90%オフ)が代表的な水準で、主要な事業者はいずれも同水準の割引率を設定しています。

  • 効くケース:FAQ ボット(固定 FAQ)/RAG(固定チャンク)/社内ドキュメント検索/同一資料への複数質問
  • 効かないケース:都度異なるユーザー入力/短いプロンプト/output 主体のタスク
  • 実務ヒット率:うまく設計すれば 40〜70%。全プロンプトを cacheable prefix + variable suffix に分離するのが定石

バッチAPI

24時間以内のレイテンシを許容する代わりに、全料金を 50%オフにする非同期処理APIです。主要な事業者はいずれも対応しています。

  • 効くケース:日次集計/記事の一括要約/レビュー分析/大量ラベリング/画像OCR後の構造化/夜間再学習用データ生成
  • 効かないケース:チャット/リアルタイム検索/音声応答/同期IDEアシスト
  • 実装:JSONL 形式で複数リクエストを1ファイルにまとめて submit、job ID で結果取得。ワーカー管理不要

キャッシュ+バッチの合わせ技

非同期の大量要約タスクにキャッシュ+バッチを両方効かせると、上位バランス型の実効単価が軽量モデルの通常単価相当まで下がることが起こり得ます。「品質を落とさずコストだけ 1/5 にする」のがこの組み合わせの主戦場。設計時点でシステムプロンプトを固定化・共通化しておくと後から効き始めます。

コスト削減の実践テクニック

1. モデルルーティング(軽量で先出し/最上位を保険に)

まず軽量・超軽量モデルで回答し、confidence スコアや自己評価で「難しい」と判断した場合だけ上位バランス型・最上位に escalation する方式です。大半の質問を軽量モデルで処理できれば、実請求は軽量モデル単価の 1.2〜1.5 倍で、最上位級の品質担保に近づけられます。

2. output トークンの上限管理

output は input の 3〜5倍単価。max_tokens を明示指定し、「200文字以内で」等をシステムプロンプトで縛るだけで output コストを 30〜60% 削減できます。長文生成は本当に必要な場合だけ、Streaming で途中停止できる UI を用意するのも有効。

3. コンテキスト圧縮

過去チャット履歴を毎回全部投入するのではなく、要約・埋め込み検索で必要な部分だけを再投入。長期記憶は memory API/Vector DB に外出しし、API 側の input を毎回 500〜2000 トークンに抑えるのが黄金比。

4. Structured Output / JSON モードの活用

関数呼び出しや Structured Output を使うと、自然文生成より output トークンを 30〜50% 削減できるケースが多い。分類・抽出・スコアリング系タスクは即座に導入検討価値あり。

5. 為替ヘッジ

API 決済はUSD建てのため、円安局面では円建て請求が毎月動く。年間 API 費が 1億円を超える規模なら、経理と連携して 3〜6ヶ月先のUSD建て予算をヘッジしておくと突然の 20% 上振れを避けられます。

⚠ 当ツールは概算用です。実際の請求額は各社の料金改定・リージョン別課金・キャッシュ read/write の細目・function calling のトークン計上・エラー再試行等で変動します。本番稼働前に必ず小規模検証で実測してください。

よくある質問(FAQ)

結局どの階層が安いですか?

「単純な激安」で言えば 超長文対応の軽量モデル(input $0.075/output $0.30)が圧倒的に最安、次点が前世代の低価格モデルです。「品質とコストのバランス」なら 上位バランス型($3/$15)・中位マルチモーダル($2.50/$10)・超長文対応の中位モデル($1.25/$5)が実務のワークホース。「最高品質が必要」なタスクだけ最上位クラスを使う多段構成が現実解です。

プロンプトキャッシングは本当に90%オフになりますか?

代表的な料金体系では、cache write が通常単価の 1.25 倍(初回のみ)、cache read が 通常単価の 0.10 倍(90%オフ)です。主要事業者はいずれも同水準。ただしキャッシュには「最低 1024トークン以上・5分TTL」等の条件があり、短いプロンプトでは効きません。実務では「システムプロンプト+固定ドキュメント」で数千トークンを超える設計にすると効果が出ます。

バッチAPIはどんなときに使えますか?

「24時間以内に結果が返ればよい」タスク全般です。具体的には日次記事要約、レビュー分析、翻訳バッチ、埋め込み生成、ラベリング、深夜のレポート生成。50%オフが保証されるため、非リアルタイム系は全部バッチに寄せるだけで請求が半減します。同期チャットや音声応答には使えません。

日本語は英語より高くなるって本当ですか?

本当です。BPE系トークナイザは英語アルファベットに最適化されており、日本語 1文字が 1.5〜2 トークンに分割されます。同じ内容を英語で投げた場合と比べ、日本語は 1.3〜1.5 倍のコストになります。新しい世代のモデルはトークナイザの改良で英語比 1.1〜1.2 倍まで縮まっていますが、それでも英語より高い水準です。

output トークンが input より高いのはなぜですか?

生成(autoregressive decode)が計算資源を最も消費するためです。input の処理は並列化可能ですが、output は 1トークンずつ順に生成する必要があり、GPU の実時間占有量が桁で違います。3〜5倍の単価差はどのプロバイダも共通の構造で、短くさせる設計がそのままコスト削減になります。

function calling/tool use はコストにどう影響しますか?

tool 定義(JSON schema)が毎回 input に乗るため、100〜1000トークン程度の固定オーバーヘッド。tool 数が10個を超えると 3000〜5000トークンに膨らむこともあります。対策は「tool 定義を最小限に絞る」「複数 tool をルーター LLM で振り分ける」「よく使う tool 定義をキャッシュ対象に含める」の3つが有効です。

ストリーミング応答(streaming)は課金が変わりますか?

変わりません。ストリーミングは表示体験向上のための転送方式であり、課金は生成された output トークン数ベースで同じ。ただしユーザー側で「途中停止」できる UI を用意すれば、実生成トークン数を削減でき、実質コスト削減になります。

fine-tuning(微調整)はコスト効率的ですか?

前世代の低価格モデルや軽量・超軽量モデルの fine-tuning は、システムプロンプトを短縮できる分 input コストが下がり、月100万リクエスト以上の規模なら回収可能です。ただし fine-tuning 済みモデルの推論単価は base の 2〜3倍が相場のため、リクエスト規模が小さいと逆に高くなります。

大手クラウド経由だと料金は変わりますか?

大手クラウドのAIプラットフォーム経由でも、トークン単価は本家とほぼ同水準です。リージョン別で若干異なるほか、スループット確保型の契約(専有枠の月額固定)を選べば費用が予測しやすくなります。企業向けのセキュリティ・監査・権限管理が追加されるため、エンタープライズ用途ではむしろクラウド経由が主流です。

自社ホスティング(オープンウェイトモデル)との損益分岐点は?

月間 1〜3億トークン規模から検討価値が出ます。オープンウェイトの70Bクラスをデータセンター向けGPU 2枚で運用すると月間 40〜80 万円のGPU費用。上位バランス型で同じトークン量を API から使うと同額水準に近づくため、「品質を上位バランス型相当まで下げてよく、かつ月間 5億トークン以上」なら自社ホスティング側に軍配が上がります。運用工数(監視・アップデート・スケール)まで含めて総合判断が必要です。

出典・参考資料

  • 各LLM提供事業者の「Pricing」ページ(階層別の input/output 単価、プロンプトキャッシング、バッチAPI 50%オフの条件)
  • 各社のプロンプトキャッシング仕様ドキュメント(cache read/write の割引率、最低トークン数、TTL)
  • 各社のバッチAPI仕様ドキュメント(対応モデル、投入形式、上限件数、SLA)
  • 各社のRate Limitドキュメント(Tierごとの RPM/TPM と昇格条件)
  • 各社が公開するトークナイザ(日本語のトークン数を事前見積もりするために使用)

※本記事の計算結果はあくまで概算です。実際の請求額は各社の料金改定・リージョン別課金・function calling/JSON モードの追加トークン計上・エラー再試行・cache read/write 細目により変動します。本番導入判断時は小規模PoCで必ず実測してください。