太陽光LCOE
初期費用と発電量、割引率から、太陽光発電の均等化発電原価(LCOE)を計算します。
太陽光LCOEツール
計算式と考え方
LCOEは「初期費用+運転維持費の現在価値+撤去費の現在価値」を「発電量の現在価値」で割って求めます。1,000kWを1kWあたり17万円で建てると1億7,000万円、運転維持費と土地代の年600万円を割引率4%・25年で現在価値にすると約9,373万円、撤去費1,000万円の現在価値は約375万円です。発電量は初年度120万kWhから年0.5%ずつ落ち、現在価値の合計は約1,784万kWhとなるため、LCOEは約15.0円/kWhになります。
LCOEを構成する要素
| 初期費用 | パネル、パワコン、架台、造成、系統連系工事の合計。規模が大きいほど1kWあたりは下がるが、造成と連系の条件で幅が出る |
|---|---|
| 運転維持費 | 保守点検、除草、監視、保険、固定資産税など。事業用では1kWあたり年5,000円前後が一つの目安とされる |
| 土地の費用 | 賃借料または取得費用。日射条件の良い地域ほど土地代が高いとは限らず、地域差が大きい |
| 割引率 | 資金調達のコストと事業リスクを反映する。1ポイント変えるだけでLCOEが1円前後動くため、前提の明示が要る |
| 撤去・処分費用 | 2022年から売電収入から源泉的に積み立てる制度が定められている。長期の資金計画に織り込む必要がある |
太陽光LCOEの詳しい解説
LCOEが単なる初期費用の割り算ではなく現在価値で計算されるのは、費用の発生時期と発電の時期がずれているからです。初期費用は建設時に一度で出ていきますが、発電は20年以上にわたって続きます。同じ1kWhでも20年後に得られる1kWhは今の1kWhより価値が低い、という考え方を入れないと、期間の長い設備が不当に有利に見えてしまいます。そこで分母の発電量にも分子の費用と同じ割引率を適用します。この扱いに違和感を持つ人が多いのですが、電力を将来の収入に換算して考えれば、収入を割り引くのと同じことをしているにすぎません。割引率の置き方でLCOEは大きく動きます。同じ設備でも割引率が3%か6%かで2円から3円の差が出るため、他の電源と比較するときは割引率をそろえる必要があります。海外の低いLCOEが引用される場面では、割引率だけでなく日射量と人件費、土地代の前提が違うことが多く、そのまま日本に当てはめられません。日本のLCOEが海外より高い主な理由は、日射量が中東やオーストラリアより2割から4割低いこと、造成が必要な傾斜地が多いこと、系統連系の工事負担金が高いことにあります。判断が分かれるのは、系統制約と出力抑制をどう扱うかです。LCOEは発電できた量を分母に置きますが、実際には系統の需給バランスによって発電を止められることがあります。抑制率が5%あれば、実質のLCOEは5%以上上がる計算になります。九州をはじめとする一部の地域では抑制が常態化しており、立地を決める段階で見込みを確認する必要があります。加えて、LCOEはあくまで発電単価であり、需要と一致しない時間に発電する電源の価値を反映しません。太陽光が大量に入った系統では昼間の卸価格が下がるため、同じLCOEでも実際に得られる収入は低くなります。この差を埋めるために蓄電池を併設する場合、その費用をLCOEに含めるかどうかで数字が変わります。見落とされやすいのは撤去と処分の費用です。事業用の設備については売電収入から源泉的に積み立てる制度が定められており、長期の資金計画に織り込む必要があります。処分費用は事業期間の終わりに発生するため現在価値では小さく見えますが、積立が不足すると事業終了時に資金が用意できない事態になります。制度の要件は改正されることがあるため、最新の内容の確認が必要です。
業界・現場での使い方
電源間の比較
火力や風力と同じ割引率で並べ、発電単価としての競争力を確かめます。
入札価格の検討
必要な利回りを確保できる売電単価の下限を把握します。
前提の感度分析
割引率、発電量、初期費用を動かして、どの前提が結果を最も動かすかを見ます。
よくある間違い・注意点
- 割引率をそろえずに電源を比較する — 割引率が3%か6%かでLCOEは2円から3円動きます。比較するときは同じ前提にそろえてください。
- 出力抑制を見込まない — 発電できても系統の都合で止められる時間があります。地域ごとの抑制の見込みを発電量の前提に反映してください。
- LCOEが低ければ収益が出ると考える — 太陽光が多い時間帯は卸価格が下がります。発電単価と実際に得られる収入は別に確認する必要があります。
関連する規格・法規
- 資源エネルギー庁
- 環境省
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
住宅用と事業用でLCOEが違うのはなぜですか?
住宅用は1kWあたりの初期費用が事業用の1.5倍前後になり、規模の経済が働かないためです。その分、買電単価との比較で評価されます。
パネルの価格が下がればLCOEも同じだけ下がりますか?
パネルは初期費用の一部にすぎません。架台、工事、系統連系、土地の費用が残るため、パネル価格の下落率ほどには下がりません。
事業期間を長く取ればLCOEは下がりますか?
下がりますが、割引の効果で後半の発電量の寄与は小さくなります。同時に維持費と機器更新の費用も増えるため、無条件には下がりません。