計算ツール
sme保険年金社会保障

経営者保険

保険料と解約返戻率、損金算入の割合から、経営者保険の実質負担額と解約時の課税を試算します。

最終更新:2026-05-06/監修:計算ツールズ編集部

経営者保険ツール

計算式と考え方

年300万円を10年払うと払込総額は3,000万円です。返戻率70%超85%以下の型は保険料の40%が損金になり、実効税率33%なら10年で約396万円の税が軽くなります。返戻率85%で解約すると返戻金は2,550万円、資産計上してきた1,800万円との差額750万円が益金となり、そのままなら約248万円の課税です。払込総額から税の軽減額と返戻金を引き、益金の税を足した実質負担は約302万円で、払込額の約10%にあたります。死亡保障1億円は払込総額の約3.33倍です。

最高解約返戻率の区分と損金算入の扱い

50%以下支払った保険料の全額を損金に算入できる。返戻金はほとんど残らず、保障の確保が目的になる
50%超70%以下当初の一定期間は保険料の40%を資産計上し、60%が損金になる。中小企業では年払保険料30万円以下の特例もある
70%超85%以下当初の一定期間は保険料の60%を資産計上し、40%が損金になる。返戻金と節税の両方を狙う設計で使われる
85%超当初10年は最高解約返戻率の90%を資産計上するため、損金になる部分はごくわずかになる
共通の注意点資産計上した部分は解約時に取り崩され、返戻金との差額が益金になる。出口の設計とセットで考える必要がある

経営者保険の詳しい解説

経営者保険の実質負担が払込額の1割程度に収まる構造は、税の繰延べと返戻金の二つで説明できます。損金に算入した分だけ課税所得が下がるため、その年の法人税は軽くなります。ただしこれは免除ではなく、資産計上しなかった部分の見合いが解約時に益金として戻ってくる仕組みです。つまり払っている間に軽くなった税は、解約した年にまとめて課税対象へ戻ります。この点を踏まえずに毎年の節税額だけを積み上げると、出口で想定外の納税が発生します。2019年の通達改正で最高解約返戻率に応じた資産計上のルールが定められたのは、返戻率の高い商品が実質的な貯蓄でありながら全額損金として扱われていた状況を整理するためでした。現在は返戻率が高い商品ほど損金にできる割合が小さくなるため、節税だけを目的にした設計は成り立ちにくくなっています。実務で判断が分かれるのは、出口をどこに置くかです。解約返戻率が最も高くなる時期と、役員が退任して退職金を支給する時期がそろえば、益金は退職金の損金で相殺され、法人税は発生しません。しかし退任の時期は業績や後継者の状況で動きます。返戻率のピークを過ぎると返戻金は急速に下がる商品が多いため、ピークが5年から10年の幅で続く商品を選ぶか、複数の契約に分けて解約時期を分散させる設計が使われます。見落とされやすいのは、保険料そのものが資金繰りに与える影響です。年300万円の保険料は10年で3,000万円になり、その間は手元の現金が拘束されます。業績が落ちた年でも払込を止めると返戻率が下がるため、払える水準に抑えておく必要があります。契約者貸付や払済への変更という選択肢はありますが、いずれも条件があり、返戻金や保障が減ります。また保障の中身も見落とせません。死亡保険金が払込総額の3倍程度あれば、経営者に万一のことがあった際の運転資金や借入返済、後継者への引継ぎ期間の費用を賄う原資になります。返戻率だけで商品を選ぶと、保障が薄い契約になりがちです。税務の取扱いは契約内容と時期で変わるため、具体的な設計は顧問税理士と保険会社に確認したうえで判断してください。

業界・現場での使い方

実質負担の確認

節税額と返戻金を差し引いた後に、いくら残るのかを把握します。

出口設計の検討

解約時の益金と役員退職金の額を並べ、支給時期をそろえられるかを確かめます。

保障水準の点検

払込総額に対する死亡保障の倍率を見て、保障として薄すぎないかを確認します。

よくある間違い・注意点

  • 毎年の節税額だけを積み上げて評価する — 資産計上しなかった部分は解約時に益金として戻ります。出口の課税まで含めた実質負担で見てください。
  • 返戻率のピークを過ぎてから気づく — ピークを過ぎると返戻金が急に下がる商品があります。契約時に返戻率の推移表を受け取り、退任予定と重ねて確認してください。
  • 払える水準を超えた保険料を設定する — 払込を止めると返戻率が下がります。業績が落ちた年でも続けられる額に抑える必要があります。

関連する規格・法規

  • 厚労省
  • 日本アクチュアリー会

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

節税になる保険はもうありませんか?

返戻率に応じて損金にできる割合が定められたため、以前のような全額損金の設計は限られます。課税の繰延べと退職金の準備という位置づけで考えるのが実態に合います。

解約返戻金が益金になると必ず課税されますか?

同じ事業年度に役員退職金など損金となる支出があれば相殺できます。相殺できる額を超えた分に課税されます。

払込が苦しくなったらどうしますか?

払済保険への変更や契約者貸付といった選択肢がありますが、いずれも保障や返戻金が減ります。条件は契約ごとに異なるため保険会社への確認が要ります。