NRR純収益維持率
期首のMRRと増減の内訳から、NRRとGRR、将来の売上規模を試算します。
NRR純収益維持率ツール
計算式と考え方
NRRは「(期首MRR + アップセル - ダウングレード - 解約)÷ 期首MRR」で求め、新規獲得分は含めません。期首5,000万円に対しアップセル750万円、ダウングレード150万円、解約400万円なら、5,200万円÷5,000万円で104%です。新規を除いて計算するGRRは、4,450万円÷5,000万円で89%になります。新規800万円を加えた期末のMRRは6,000万円で、年間の成長率は20%です。解約率は年8%にあたるため平均の継続は12.5年、1社あたりの年間売上240万円に粗利率80%を掛けて生涯価値は約2,400万円という計算です。
指標の読み分け
| NRR | 既存顧客だけで売上が増えているか。100%超なら新規なしでも成長する |
|---|---|
| GRR | アップセルを除いた維持の力。上限は100%で、解約の実態が見える |
| 両者の差 | アップセルの寄与の大きさ。差が大きいほど拡大余地に依存している |
| 顧客層による違い | 大企業向けほど高く出やすい。中小企業向けは解約が起きやすい |
NRR純収益維持率の詳しい解説
NRRは、既存の顧客だけを対象に、期首の売上が1年後にいくらになったかを示す指標です。新規の獲得を含めないため、獲得に投じた費用の効果と切り離して、既存の顧客基盤の力を評価できます。100%を超えていれば、新規をまったく獲得しなくても売上が増えることを意味し、この状態は事業の安定性を大きく高めます。GRRと併せて見ることに意味があります。GRRはアップセルを除いた指標で、上限が100%になります。NRRが120%でGRRが85%という組み合わせは、一部の顧客が大きく利用を増やす一方、離脱も相当数発生している状態を示します。この構造は、既存の主要顧客への依存を強めており、その顧客が離れたときの影響が大きくなります。逆にNRRが105%でGRRが100%に近ければ、離脱が少なく、広く薄く利用が増えている健全な状態といえます。数値の水準は顧客層によって大きく変わります。大企業向けでは、導入部門から他部門へ広がる、利用者数が増える、上位の機能に移行するといった形で自然に売上が伸びやすく、120%を超える例も見られます。一方、中小企業向けでは、顧客自身の事業の変動や廃業によって解約が起きるため、努力とは別の要因で数値が下がります。同じ100%でも、顧客層が違えば意味が異なるため、比較の際は前提を揃える必要があります。課金の仕組みも数値を左右します。利用量に応じた課金を採り入れていると、顧客の事業が伸びるだけで売上が増えるため、NRRは高く出ます。ただしこれは逆方向にも働き、景気の後退局面では顧客の利用量が減って売上が縮みます。定額課金が中心の場合は変動が小さくなる代わりに、アップセルには意図的な働きかけが必要になります。測定の方法にも注意が必要です。対象とする顧客の範囲、通貨換算の扱い、契約の途中変更の反映時期などによって、算出される値は変わります。同じ会社でも定義を変えれば数ポイント動くため、社内で定義を固定し、時系列で一貫して測ることが前提になります。改善の打ち手は、GRRとNRRのどちらが低いかで変わります。GRRが低い場合は、導入直後の立ち上がりの支援、利用状況の監視と早期の働きかけ、契約更新前の課題の解消といった、離脱を防ぐ活動が中心になります。NRRとGRRの差が小さい場合は、上位プランへの移行の道筋、追加機能の提示、利用部門を広げる提案といった拡大の設計が課題です。指標を分けて見ることで、どこに手を打つべきかが特定できます。
業界・現場での使い方
既存基盤の評価
新規を除いた既存顧客の売上の増減を把握します。
解約の実態把握
GRRとの差からアップセルへの依存度を確認します。
将来の見通し
現在の成長率が続いた場合のARRを試算します。
よくある間違い・注意点
- 新規獲得分を計算に含める — NRRは既存顧客だけの指標です。新規を含めると既存基盤の力が見えなくなります。
- NRRだけで健全性を判断する — 一部の大口の拡大が離脱を覆い隠すことがあります。GRRと併せて確認してください。
- 顧客層の違いを無視して比較する — 大企業向けは高く、中小企業向けは低く出ます。前提を揃えた比較が必要です。
関連する規格・法規
- SaaStr
- ChurnZero白書
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
NRRは何%あれば良いとされますか?
100%超が一つの分岐点です。大企業向けでは120%前後、中小企業向けでは100%前後が目安とされます。
GRRとの違いは何ですか?
GRRはアップセルを含めず上限が100%です。解約とダウングレードの実態だけを示します。
利用量課金だと高く出ますか?
顧客の事業が伸びれば自動的に増えるため高く出ます。景気の後退局面では逆に働きます。