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NNT治療必要数

対照群と治療群の発生率から、治療必要数(NNT)と費用の効率を計算します。

最終更新:2026-05-06/監修:計算ツールズ編集部

NNT治療必要数ツール

計算式と考え方

NNTは絶対リスク減少(ARR)の逆数で求めます。対照群の発生率10%、治療群7%ならARRは3%で、NNTは1÷0.03で約33.3人です。5年間で33人を治療すると1件のイベントを防げるという意味になります。相対リスク減少は3%÷10%で30%です。有害事象は対照群1%に対し治療群3%で、差の2%の逆数から、50人の治療で1人に有害事象が余分に生じる計算になります。1,000人を対象にすると防げるイベントは30件、治療費は年6万円の5年分で3億円、節減される医療費は6,000万円のため、差引で2億4,000万円の追加負担となります。

指標の意味

ARR(絶対リスク減少)発生率の差そのもの。臨床上の意味を最も直接に表す
RRR(相対リスク減少)差を対照群の発生率で割った値。大きく見えやすい点に注意
NNT(治療必要数)1件のイベントを防ぐために治療する人数。ARRの逆数
NNH(有害必要数)1人に余分な有害事象が生じるまでの人数。NNTと比較して判断する

NNT治療必要数の詳しい解説

同じ試験の結果でも、相対リスク減少で示すか絶対リスク減少で示すかによって、受ける印象は大きく変わります。発生率が10%から7%に下がった場合、相対リスク減少は30%と表現できますが、実際に減ったのは100人あたり3人です。これを1人に置き換えると、33人を治療して初めて1人分の効果が現れることになります。相対値だけが強調されると効果が大きく見えるため、絶対値とNNTを併せて確認することが判断の前提になります。NNTはベースラインのリスクに強く依存します。同じ薬でも、心血管イベントの発生率が高い高リスク群では発生率の差が大きくなり、NNTは小さくなります。逆に、リスクの低い集団に同じ薬を使うと、相対的な効果が同じでも絶対的な差はわずかとなり、NNTは数百人規模に膨らみます。予防的な介入で対象者の絞り込みが重視されるのは、この構造によるものです。ガイドラインが年齢やリスク因子で適用の範囲を定めているのも、NNTが実用的な範囲に収まる集団を特定するためといえます。期間の明示も欠かせません。NNTは必ず観察期間とセットで意味を持ちます。5年間で33人という値と、1年間で33人という値では意味がまったく異なります。文献の値を引用する際に期間が抜け落ちると、効果を過大にも過小にも見せてしまいます。また、期間を延ばせば累積の発生率が上がるため、一般にNNTは小さくなる方向に動きます。評価する結果の選び方も論点になります。死亡や心筋梗塞といった明確な事象を対象にした場合と、検査値の改善や複合的な指標を対象にした場合では、同じNNTでも意味の重さが違います。複数の事象をまとめた複合エンドポイントでは、実際には軽い事象の減少が全体を牽引していることがあり、内訳の確認が求められます。害の側面も同時に見る必要があります。NNHは、1人に余分な有害事象が生じるまでに治療する人数を示します。NNTが33でNNHが50であれば、防げる事象1件に対して有害事象が0.66件生じる計算になり、事象の重さが釣り合っているかという判断が必要になります。防ぐのが死亡で、生じるのが軽度の消化器症状であれば許容されるかもしれませんが、逆であれば適用は難しくなります。費用の観点では、NNTに治療費と期間を掛けると、1件を防ぐための費用が算出できます。この値が節減される医療費を上回ることは珍しくなく、その場合でも生活の質や余命への影響を含めて評価されます。個々の患者への適用は、これらの数値に加えて併存疾患や本人の希望を踏まえた判断となるため、主治医との相談が前提になります。

業界・現場での使い方

効果の解釈

相対値ではなく絶対値で治療の効果を把握します。

利益と害の比較

NNTとNNHを並べて適用の妥当性を検討します。

費用の評価

1件を防ぐための費用と節減額を比較します。

よくある間違い・注意点

  • 相対リスク減少だけを見る — 元の発生率が低いと実際の差はわずかです。絶対リスク減少とNNTで確認してください。
  • 観察期間を示さずにNNTを使う — 期間が違えば意味が変わります。5年のNNTと1年のNNTは比較できません。
  • 害の側を計算に入れない — NNHと比べて初めて適用の妥当性が判断できます。事象の重さの違いも考慮が必要です。

関連する規格・法規

  • 日本疫学会
  • STROBE声明

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

NNTはいくつなら良い治療といえますか?

対象と期間によります。急性期の治療では一桁、予防的な介入では数十から数百になることもあります。

なぜ集団によってNNTが変わりますか?

元の発生率が高いほど絶対的な差が大きくなるためです。高リスク群ではNNTが小さくなります。

NNHとの比較はどう行いますか?

件数だけでなく事象の重さを揃えて考えます。防ぐ事象と生じる害の性質の違いが判断を左右します。