ハウスCO2施用
施設の規模と施用条件から、二酸化炭素施用の費用と増収効果を試算します。
ハウスCO2施用ツール
計算式と考え方
施用に必要な二酸化炭素の量は、施設の容積、外気からの上昇分、換気による損失から算出します。20a(2,000㎡)で平均高さ3mなら容積6,000m³、外気400ppmから800ppmへ400ppm上げるには、換気による損失を含めて1時間あたり約10.8kgが必要です。1日5時間・年150日で年間約8,100kgになります。専用の発生装置で灯油を用いる場合、1Lの燃焼で約3kgの二酸化炭素が得られるため、灯油2,700L、単価120円で約32.4万円です。増収20%なら20a×1.8t×20%×320円で約230万円の売上増となり、正味の効果は約198万円という計算になります。
供給源の比較
| 専用の発生装置 | 灯油やガスを燃焼させる。設備費が安いが燃料費がかかる |
|---|---|
| 暖房の排ガス回収 | 暖房で生じるガスを利用。追加の燃料費が不要 |
| 液化炭酸ガス | 純度が高く制御しやすい。単価は最も高い |
| 注意点 | 不完全燃焼による有害ガスに注意。定期的な点検が必要 |
ハウスCO2施用の詳しい解説
植物の光合成は二酸化炭素を材料とするため、その濃度を高めることで光合成の速度が上がり、収量と品質の向上につながります。密閉された施設では、日中の光合成により二酸化炭素が消費され、外気より低い濃度まで下がることがあります。この状態では光合成が制限されるため、補うことの効果が大きくなります。目標とする濃度は、作物と条件によって異なりますが、外気の400ppm前後に対して600ppmから1,000ppm程度に設定されることが多くあります。濃度を上げるほど効果は増しますが、比例して増えるわけではなく、一定以上では効果が頭打ちになります。また、換気を行うと外に逃げてしまうため、換気の少ない時間帯に集中して施用するという運用が効率的です。日の出後の数時間は、光合成が活発で換気も少ないため、最も効果的な時間帯とされます。供給源の選択が費用を左右します。専用の発生装置は設備費が比較的安く、燃料を燃焼させて二酸化炭素を得ますが、燃料費が継続的に発生します。暖房用の燃焼で生じるガスを回収して利用する方式は、暖房と二酸化炭素の供給を同時に行えるため、追加の燃料費がかかりません。ただし、暖房が必要な時期と時間帯に限られるという制約があります。液化炭酸ガスは純度が高く濃度の制御が容易ですが、単価が高くなります。安全面での配慮も欠かせません。燃焼により二酸化炭素を得る方式では、不完全燃焼により一酸化炭素や窒素酸化物が発生する可能性があります。これらは作物に障害を与えるだけでなく、作業者にとっても危険です。装置の定期的な点検と清掃、燃焼状態の確認が必要になります。また、高濃度の二酸化炭素は人体にも影響するため、施用中の立ち入りには注意が求められます。効果の測定には、濃度の実測が欠かせません。設定した濃度が実際に維持されているか、施設内で偏りがないかを確認することで、施用の効果を最大化できます。センサーを設置して自動で制御する仕組みが普及しており、換気の状態と連動させることで無駄な施用を減らせます。
業界・現場での使い方
導入の検討
増収効果と運転費用を比較し、投資の妥当性を判断します。
供給源の選択
方式による費用の違いを確認します。
運用の設計
目標濃度と施用時間による費用の変化を把握します。
よくある間違い・注意点
- 換気中に施用する — 外に逃げてしまいます。換気の少ない時間帯に集中させることが効率的です。
- 濃度を高くしすぎる — 一定以上では効果が頭打ちになります。費用に見合わなくなります。
- 燃焼装置の点検を怠る — 不完全燃焼により有害なガスが発生します。作物と作業者の両方に危険です。
関連する規格・法規
- 農水省
- 農研機構
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
どのくらいの濃度が適切ですか?
作物によりますが600〜1,000ppmが一般的です。一定以上では効果が頭打ちになります。
いつ施用するのが効果的ですか?
日の出後の数時間です。光合成が活発で換気も少ないため効率が高くなります。
暖房の排ガスは使えますか?
回収して利用できます。追加の燃料費が不要ですが、暖房が必要な時期に限られます。