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LTV/CAC比

顧客獲得コストとLTVから、SaaS事業のユニットエコノミクスを評価します。

最終更新:2026-05-06/監修:計算ツールズ編集部

LTV/CAC比ツール

計算式と考え方

LTVは「月額単価 × 粗利率 ÷ 月次チャーン率」で求めます。チャーン率2%なら平均継続月数は50か月となり、単価15,000円・粗利率80%なら LTV は60万円です。CACは「月間の営業・マーケ費用 ÷ 新規顧客数」で、300万円で20社なら15万円になります。LTV/CACは4.0倍という計算です。一般に3倍以上が健全とされ、5倍を超えると投資を加速できる水準とみなされます。1倍を下回ると、顧客を獲得するほど損失が拡大する状態になります。

LTV/CACの解釈

1未満獲得するほど赤字。事業モデルの見直しが必要
1〜3採算は取れるが投資余力が乏しい。改善が必要な水準
3〜5健全。多くのSaaSが目指す標準的な水準
5以上優良。ただし高すぎる場合は投資不足の可能性も

LTV/CAC比の詳しい解説

LTV/CACはSaaS事業の健全性を測る中心的な指標です。この比率が3以上とされる根拠は、獲得コストのほかに開発費や管理費といった固定費を賄う必要があるためで、LTVがCACの3倍あって初めて事業全体として利益が出る構造になります。注意すべきは、LTVを売上ベースではなく粗利ベースで計算することです。原価(サーバー費用、カスタマーサポート、決済手数料など)を差し引かないと、実態より楽観的な数値になります。もう一つの落とし穴はチャーン率の扱いです。LTVはチャーン率の逆数で計算するため、チャーンが低いほどLTVは急激に大きくなります。月次チャーン1%なら継続100か月、0.5%なら200か月と、わずかな差が倍の違いを生みます。しかし実際には8年、16年と契約が続く保証はなく、事業の存続期間を超えた数値は現実的ではありません。このため実務では、LTVの算定期間を3〜5年で区切る、あるいは割引率を適用して現在価値に換算するといった調整が行われます。比率だけでは見えない論点として、回収までの時間があります。同じ比率でも、獲得コストを月々の粗利で割った回収期間が短いほど資金繰りは楽になり、長ければ成長するほど手元資金が減ります。比率と回収期間は別の情報を持つため、併せて見るのが実務的です。比率が5を大きく超える場合も注意が必要で、これは獲得への投資が不足している可能性を示します。単位あたりの効率は良いものの、より多くの資金を投じて成長を加速できる余地を逃しているという解釈になります。数値の粒度も判断を変えます。全社平均が健全でも、顧客規模別に分ければ小規模顧客は赤字で、大企業向けが全体を支えているという構造が見えることがあります。獲得チャネル別、プラン別に分解し、投資を伸ばす対象を絞るほうが有効です。既存顧客の増席やプラン変更による増収が解約分を上回れば、実質のチャーンはマイナスになり、LTVの前提そのものが変わります。CACに何を含めるかは社内で定義を固定し、期をまたいでも同じ基準で比較できるようにしておく必要があります。指標は投資判断の材料であって目標そのものではありません。比率を良く見せるために獲得を絞れば、短期の数値は改善しても成長は止まります。算定の定義と併せて、何のために見ている数値かを社内で揃えておくことが運用の前提になります。

業界・現場での使い方

SaaS経営

獲得投資の妥当性を判断し、予算配分を決めます。

資金調達

投資家への説明で、ユニットエコノミクスの健全性を示します。

施策評価

チャーン改善と単価向上のどちらが効くかを試算で比較します。

よくある間違い・注意点

  • LTVを売上ベースで計算する — 原価を差し引いた粗利ベースが正しい算定です。売上ベースでは過大評価になります。
  • チャーン率の逆数を無制限に使う — 継続100か月といった値は現実的ではありません。3〜5年で区切るか割引率を適用してください。
  • 比率が高すぎることを見逃す — 5を大きく超えるなら投資不足の可能性があります。成長の機会を逃している場合があります。

関連する規格・法規

  • SaaStr
  • ChurnZero白書

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

なぜ3倍が目安なのですか?

獲得コスト以外に開発費と管理費を賄う必要があるためです。3倍あって事業全体で利益が出る構造になります。

CACに何を含めますか?

営業とマーケティングの人件費、広告費、ツール費用を含めるのが標準です。開発費は含めません。

チャーンが低すぎる場合は?

LTVが過大に出ます。算定期間を区切るか、割引率を適用して現在価値で評価してください。