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聴力損失計算機|オージオメーター値とWHO分類

聴力損失を評価する無料電卓。 500・1000・2000・4000Hzの気導聴力レベルから4分法平均(PTA)を算出し、WHO分類と身体障害者手帳等級目安を瞬時判定。 加齢性・騒音性・突発性難聴の見分け方、補聴器適応の目安まで実務水準で解説します。

最終更新:2026-07-30/監修:計算ツールズ編集部

聴力デシベル損失ツール

聴力損失とは

聴力損失とは、健常若年者の平均聴力レベル(0dB HL基準)と比較した聞き取り能力の低下量です。

オージオメーターで500・1000・2000・4000Hzの主要4周波数の気導聴力レベルを測定し、その平均値(PTA:Pure Tone Average)を難聴判定に用います。

WHO(世界保健機関)は26dB以上を難聴と定義し、加齢性難聴(老人性難聴)は4000Hzの高音域から低下が始まり、騒音性難聴も高音域傷害型を呈するのが特徴です。

日本では厚生労働省・日本聴覚医学会・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が国内基準を整備しています。

計算式と考え方

4分法 PTA = (a + b×2 + c + d) ÷ 5
a=500Hz・b=1000Hz・c=2000Hz・d=4000Hz
正常:<26 dB
軽度:26-40dB(小声・騒音下で困難)
中等度:41-60dB(普通会話で困難)
高度:61-80dB(大声でも困難)
重度:81dB以上(叫声のみ・ほぼ全聾)

4分法は1000Hzを2倍する加重平均で、日常会話音声(250-4000Hz)の中心である1000Hz帯を重視します。

身体障害者福祉法では6分法(500・1000・2000Hz各1倍+4000Hz×1倍+500Hz・2000Hzの高い方×2倍)を用いますが、臨床では簡便な4分法が主流です。

計算例

  1. 500/1000/2000/4000=15/20/25/40 → PTA=(15+40+25+40)÷5=24dB → 正常上限(要経過観察)
  2. 全周波数50dB → PTA=(50+100+50+50)÷5=50dB → 中等度難聴(補聴器適応)
  3. 10/15/40/70(老人性難聴の典型) → PTA=(10+30+40+70)÷5=30dB → 軽度難聴・高音域傷害型
  4. 85/90/95/100 → PTA=(85+180+95+100)÷5=92dB → 重度難聴・身障2級相当

注意点・落とし穴

  • 4000Hzから低下が加齢性・騒音性難聴の初期サイン。 会話音域(500-2000Hz)が保たれていても、「サ・タ行が聞き取りにくい」「テレビの音量が上がった」との自覚があれば要検査。
  • 補聴器適応は40dB以上が国際的目安。 日本では両耳PTA30dB以上で補聴器相談加算の対象となり、40dBを超えると強く推奨されます。
  • イヤホン大音量による若年性難聴(ヘッドホン難聴)が世界的に増加。 WHOはボリューム60%以下・1日60分以下(60/60ルール)を推奨しています。
  • 突発性難聴は発症48時間以内の受診で聴力回復率が大幅上昇。 片耳の急な聞こえにくさ・耳鳴りは救急対応が必要です。
  • 本ツールは自己スクリーニングの参考値であり、 正式な診断は耳鼻咽喉科でのオージオグラム・語音明瞭度検査・ティンパノメトリー等の総合判定が必要です。

聴力損失の詳しい解説

会話音声の周波数分布

ヒトの可聴周波数域は20Hz〜20kHzですが、日本語会話音声のエネルギーは主に250〜4000Hzに集中しています。

母音(ア・イ・ウ・エ・オ)は主に500Hz以下、子音のうちタ・ナ・ハ・マ・ラ行は1000〜2000Hz、サ・カ・シャ行の摩擦音は3000〜6000Hzに分布します。

このため4000Hzから低下する加齢性難聴では、「早口が聞き取りにくい」「サ行とタ行の区別がつかない」といった特徴的な訴えが現れます。

加齢性難聴(老人性難聴)

加齢性難聴(presbycusis)は65歳以上の約半数、75歳以上の約7割に認められる高頻度疾患で、内耳蝸牛の有毛細胞・らせん神経節細胞の変性が主因です。

両側性・対称性・進行性で、高音域から始まり徐々に会話音域へ広がります。

認知症リスクとの関連が指摘されており、難聴を放置すると認知症発症リスクが最大1.9倍(The Lancet 2020年報告)となるため、早期の補聴器装用が推奨されています。

騒音性難聴

騒音性難聴は工場・建設現場・軍務・音楽業務等で85dB以上の慢性曝露により発症し、4000Hz付近を谷とするc5-dip(c5ディップ)が特徴的です。

労働安全衛生法では85dB以上の作業場で聴覚保護具の使用と定期的な聴力検査(1000Hz・4000Hzの選別聴力検査)が義務付けられています。

突発性難聴

突発性難聴は原因不明の急性感音難聴で、発症から2週間以内、特に48時間以内の治療開始が予後を大きく左右します。

ステロイド全身投与が第一選択で、必要に応じて高圧酸素療法・鼓室内ステロイド注入が併用されます。

厚生労働省の指定難病であり、医療費助成の対象です。

WHO分類と身体障害者手帳等級の対応

PTA(dB) WHO分類 身障手帳 会話の目安
-10〜25 正常 非該当 ささやき声も聞こえる
26〜40 軽度難聴 非該当 小声・騒音下で聞き逃す
41〜60 中等度難聴 非該当〜6級 普通の会話で聞き返す
61〜70 高度難聴(軽) 6級(両耳70dB以上) 大声でようやく聞こえる
71〜80 高度難聴(重) 4級(両耳80dB以上) 耳元の大声も困難
81〜90 重度難聴 3級(両耳90dB以上) 叫声のみ知覚可
91〜100 最重度難聴 2級(両耳100dB以上) ほぼ全聾

身体障害者福祉法上の等級判定は6分法で行われ、両耳の平均聴力レベルと語音明瞭度の組み合わせで決定されます。人工内耳の適応は原則両耳90dB以上かつ補聴器での語音明瞭度が不十分な症例が基準です。

実務での使い方

健康診断・人間ドック

1000Hzと4000Hzの選別聴力検査で異常を認めた場合、本ツールで4周波数の目安を入力しWHO分類を確認。中等度以上の疑いがあれば耳鼻咽喉科紹介。

労働衛生管理

騒音作業場(85dB以上)の労働者は定期聴力検査が義務。4000Hzの低下は騒音性難聴の初期兆候で、聴覚保護具の適正使用の再教育が必要。

補聴器店・認定補聴器技能者

フィッティング前の説明資料として、顧客の聴力レベルとWHO分類の対応・生活場面での聞こえの目安を可視化。

高齢者ケア・介護施設

加齢性難聴の早期発見スクリーニング。認知機能低下や社会的孤立を防ぐため、40dB以上の疑いで受診勧奨。

よくある質問(FAQ)

40dBで補聴器は必要ですか?

WHO基準では中等度難聴(41dB以上)から補聴器を積極的に検討します。日本では両耳PTA30dB以上で補聴器相談加算の対象となり、40dBを超えると生活場面での不自由が顕在化するため、認定補聴器技能者への相談を推奨します。会話困難になる前の早期装用が脳の適応もよく、認知症予防にも有効です。

騒音性難聴の予防法は?

WHOは85dB以上への長時間曝露を避けることを推奨。労働安全衛生法では85dB以上の作業場で聴覚保護具(耳栓・イヤーマフ)着用義務。コンサート・工事現場・イヤホン大音量(60/60ルール:ボリューム60%以下・1日60分以下)に注意してください。一度失った有毛細胞は再生しないため予防が最重要です。

加齢性難聴は治りますか?

不可逆です。内耳有毛細胞・らせん神経節細胞の変性は現時点で回復不能ですが、補聴器・人工内耳(両耳90dB以上)で機能代替が可能です。放置は認知症リスクを最大1.9倍にまで高める(Lancet 2020)ため、早期対応が推奨されます。

突発性難聴で気をつけることは?

発症から48時間以内、遅くとも2週間以内の受診が予後を大きく左右します。片耳の急な聞こえにくさ・耳鳴り・めまいがあれば救急対応。ステロイド治療が第一選択で、厚労省指定難病として医療費助成の対象です。

4分法と6分法の違いは?

4分法は臨床で汎用される(500+1000×2+2000+4000)÷5で、身体障害者福祉法は6分法(500+1000×2+2000×2+4000)÷6を用います。6分法のほうが会話音域を重視した加重で、身障等級判定に用いられます。

子どもの聴力検査はどこで?

新生児聴覚スクリーニング(AABR/OAE)が全国的に普及しており、産科退院前検査で異常があれば精密検査へ。就学児は学校健診の選別聴力検査(1000Hz30dB・4000Hz25dB)で異常があれば耳鼻咽喉科受診を推奨します。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の診断・補聴器適合・身障等級判定は最新の告示・診療ガイドラインおよび耳鼻咽喉科医師の判断に従ってください。医療行為の代替ではありません。

免責事項

本ツールは公表されているWHO分類・日本聴覚医学会基準・4分法平均計算式を基にした簡易スクリーニングです。

実際のオージオグラム判定は気導・骨導の両方の測定、語音明瞭度検査、ティンパノメトリー、必要に応じてABR(聴性脳幹反応)等の総合的評価が必要です。

本ツールの結果を根拠に医療機関の受診を控えたり、補聴器の自己判断購入をすることはお勧めしません。

片耳の急な聞こえにくさ・強い耳鳴り・めまいがある場合は突発性難聴等の可能性があり、直ちに耳鼻咽喉科を受診してください。