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不凍液LLC冷却水濃度計算

不凍液(LLC)の濃度計算

冷却系の総容量・現在の濃度・目標の凍結温度から、必要な原液量と水の量、仕上がりの濃度を算出します。

最終更新:2026-05-06/監修:計算ツールズ編集部

不凍液(LLC)の濃度計算ツール

目標の凍結温度から必要な濃度を読み、−30℃なら45%が目安になります。総容量7.0Lのうち3.0Lを抜くと残るのは4.0Lで、その中の原液は4.0×30%=1.2L。入替え後も7.0Lとすると必要な原液は7.0×45%=3.15Lなので、追加する原液は3.15−1.2=1.95L、水は3.0−1.95=1.05Lです。仕上がりの濃度は3.15÷7.0=45.00%、凍結温度は−30.0℃、加圧なしの沸点は107.2℃となります。

LLC濃度と凍結温度・沸点の目安

濃度凍結温度沸点(加圧なし)適する地域
30%−16℃前後約105℃温暖地
40%−25℃前後約106℃本州の平野部
45%−30℃前後約107℃寒冷地の一般的な設定
50%−37℃前後約108℃厳寒地
60%−55℃前後約110℃これ以上は冷却性能が落ちます

クーラントの種類と交換の目安

種類色の例交換の目安
従来型 LLC2年ごと
長寿命 LLC赤・ピンク初回7年・以降4年程度
超長寿命タイプ青・紫など初回10年前後
希釈済みクーラント各色そのまま補充します

※参考計算です。実機の性能表・整備要領書・法令の告示が優先されるため、作業前に必ず該当する仕様書で確認してください。

不凍液(LLC)の濃度計算の詳しい解説

不凍液の濃度が凍結温度と一対一で決まるのは、水にエチレングリコールが溶けることで凝固点が下がる現象を利用しているからです。溶けている量が増えるほど下がりますが、下がり方は比例せず、30%で−16℃、45%で−30℃、60%で−55℃と後半ほど急になります。一方で濃度を上げると比熱と熱伝導率が落ち、冷却水としての性能はむしろ下がります。多くの整備要領書が30%から50%の範囲を指定しているのは、この二つの性質が釣り合う帯だからです。

判断が分かれるのは、全量交換と部分交換のどちらを選ぶかです。ラジエータのドレンから抜けるのは総容量の半分前後にとどまり、エンジンブロック側には古い液が残ります。全量を入れ替えるには圧送式の交換機を使うか、水で希釈しながら数回に分けて置換する必要があります。部分交換を繰り返す運用では、残った液の濃度を毎回見込んで計算しないと、少しずつ薄くなっていくことがあります。

見落とされやすいのは濃度以外の劣化です。LLCには防錆剤と消泡剤が入っており、これらは凍結温度に現れないまま消耗します。比重計で濃度が保たれていても、防錆性能が落ちていればウォーターポンプやヒーターコアの腐食が進みます。色が濁る、沈殿物が出る、pHが下がるといった兆候は濃度計では拾えません。また希釈に使う水も重要で、水道水のカルシウムやマグネシウムはスケールの原因になるため、精製水を使うのが確実です。

車種による違いもあります。アルミ製ラジエータと樹脂タンクの組合せでは指定外のLLCを混ぜると添加剤が反応して沈殿することがあり、色が違う製品を継ぎ足すのは避けるべきとされています。ハイブリッド車ではインバータ用の別系統があり、容量も指定も異なります。実際の総容量と指定濃度は整備要領書の値が優先されるため、この計算は目安として使い、最終的な判断は整備事業者に確認してください。

作業そのものにも注意点があります。エンジンが熱いうちにラジエータキャップを開けると加圧された熱湯が噴き出すため、十分に冷えてから作業します。抜いた液は自治体や処理事業者の指示に従って処分し、地面や排水口に流してはいけません。エア抜きが不十分だとサーモスタット周辺に空気が残り、水温計が正常を示していても局部的に過熱します。補充後は暖機と冷却を数回繰り返して液面を確認してください。

業界・現場での使い方

整備工場の作業見積り

抜ける量と補充量から必要な原液の本数を割り出し、部品手配に反映します。

寒冷地向けの点検

目標の凍結温度に対して現在の濃度が足りているかを判定し、追加量を提示します。

部分交換の管理

残液の濃度を見込んだ計算で、交換を繰り返しても濃度が下がらないようにします。

自家整備の準備

車両の冷却水容量から原液と精製水の必要量を求め、買い出しの量を決めます。

よくある間違い・注意点

  • 抜いた量だけ原液を入れる — 残った液にも原液が含まれるため濃度が上がりすぎ、冷却性能が落ちます。
  • 濃度が高いほど安心と考える — 60%を超えると比熱が下がり、かえって冷えにくくなります。50%程度が上限の目安です。
  • 希釈に水道水を使う — カルシウムなどがスケールとなって詰まりの原因になります。精製水を使ってください。
  • 色の違う製品を継ぎ足す — 添加剤が反応して沈殿することがあります。全量交換で系統を揃えるのが基本です。
  • 濃度だけで交換時期を判断する — 防錆剤の消耗は濃度に現れません。使用年数と走行距離でも判断が必要です。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

−30℃に耐えるには何%必要ですか?

およそ45%が目安です。総容量7Lなら原液3.15Lに相当します。

7Lの冷却系で3L抜いた場合はどうしますか?

現在の濃度30%なら追加する原液は1.95L、水は1.05Lです。仕上がりは45%になります。

濃度は何で測りますか?

比重計または屈折計で測ります。屈折計のほうが少量で測定でき、温度補正付きの製品が扱いやすくなっています。

希釈済みクーラントは薄めてよいですか?

すでに50%前後に調整されています。薄めると凍結温度が上がるため、原則としてそのまま使います。

沸点はなぜ上がるのですか?

水にグリコールが溶けることで沸点が上がります。実際にはラジエータキャップの加圧でさらに10℃以上上がります。

緑と赤のLLCは混ぜられますか?

添加剤の系統が異なるため推奨されません。混ざった場合は全量交換で系統を揃えてください。

交換の周期はどのくらいですか?

従来型で2年、長寿命タイプで初回7年・以降4年程度が一般的な目安です。要領書の指定に従ってください。

補充だけで濃度を上げられますか?

リザーバへの補充では系統全体に回るまで時間がかかります。確実に上げるには抜いてから入れ替えます。