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制動力ブレーキテスタ保安基準整備

制動力比の計算

ブレーキテスタの実測値と軸重から、車両重量に対する制動力比・前後輪の左右差・駐車ブレーキの比率を算出します。

最終更新:2026-05-06/監修:計算ツールズ編集部

制動力比の計算ツール

制動力比は4輪の制動力の合計÷(車両重量×9.80665)で求めます。既定値では3,800+3,600+1,600+1,550=10,550N、車両重量1,500kgに相当する重力は14,710Nなので比は71.72%です。左右差は当該軸重に対する割合で見て、前輪は200N÷8,826N=2.27%、後輪は50N÷5,884N=0.85%。駐車ブレーキは3,400N÷14,710N=23.11%となります。

制動力の判定でよく使われる目安

項目比較の分母一般的な目安
主制動装置の総制動力車両重量50%以上
前軸の制動力前軸重50%以上
左右の制動力の差当該軸重8%以内
駐車ブレーキの制動力車両重量20%以上

測定値が下がるときに疑う箇所

症状疑わしい箇所確認の手順
片側だけ極端に低いキャリパのスライドピンの固着ピンの動きとブーツの破れを点検
前後とも一様に低いパッドの材質・当たり不足接触面積とローターの当たり幅を確認
踏力に対する立ち上がりが遅いブレーキ液の劣化・エア混入液の含水率とエア抜きの実施
駐車ブレーキだけ低いケーブルの伸び・調整不良引きしろとイコライザの調整

※参考計算です。保安基準・条例・製品仕様は改定されるため、最新の告示や各社の仕様書で確認してください。

制動力比の計算の詳しい解説

制動力を軸重や車両重量との比で見るのは、絶対値だけでは車ごとの良否を判断できないためです。軽自動車と大型のワンボックスでは同じ制動力でも止まるまでの挙動がまったく違い、比で正規化してはじめて横並びの比較ができます。ブレーキテスタが読むのはローラーがタイヤを回そうとする力の反力で、路面の状態には左右されません。実走行の停止距離とは一致しませんが、装置そのものの性能を安定した条件で測れます。

判断が分かれやすいのは左右差の扱いです。差が数パーセントでも、片側のスライドピンが固着しかけている初期段階では数値がじわじわ開いていきます。一回の測定が目安の範囲に収まっていれば合格ですが、前回の記録と比べて差が広がっているなら、数値上は問題がなくても点検の対象に入れる考え方があります。逆に測定のたびに差の向きが入れ替わる場合は、ローラーへの乗り方や踏み方の影響が大きく、整備が不要なこともあります。

見落とされやすいのは踏力の管理です。制動力は踏力にほぼ比例するため、左右で踏み方が揃っていなければ差は過大にも過小にも出ます。踏力計を併用しないなら、ペダルを一定の速さで踏み込みロックの直前で読む手順を固定するしかありません。タイヤの空気圧が左右で違えば接触状態が変わり、これも差として現れます。前後配分は乗員や積載でも動くので、測定時の状態を記録しておくと次回の比較が意味を持ちます。

条件による違いも押さえる必要があります。駐車ブレーキは後輪に効かせる車が多く、後軸重の軽い車種では車両重量に対する比率が伸びにくくなります。電動パーキングブレーキの車はテスタとの相性が悪いことがあり、メーカーの指定手順が用意されている場合もあります。判定の基準は車両区分や年式で扱いが異なるため、実際の合否は最新の保安基準と検査の要領で確認し、迷う場合は認証を受けた整備工場に相談してください。

記録の残し方でも数値の価値が変わります。測定値だけでなく、そのときの積載状態、タイヤの空気圧、踏力計の読みを一緒に控えておくと、次回との比較で条件の違いを切り分けられます。制動力にはパッドやローターを交換した直後にいったん落ち、当たりがついてから戻るという性質があります。交換の履歴と並べて眺めれば、下がった数値が部品の劣化によるものか、なじみが出ていないだけかを見分けやすくなります。

業界・現場での使い方

整備工場の入庫時点検

車検前の予備検査で数値を記録し、整備が必要な箇所を根拠つきで説明します。

検査ラインの事前確認

本検査の前に比率と左右差を把握し、再検査になる要素を洗い出します。

中古車の仕入れ査定

外観では分からないブレーキの偏りを数値で確認し、整備費の見積もりに反映します。

社用車の定期管理

同じ車両の測定値を並べて経年の変化を追い、部品交換の時期を決めます。

よくある間違い・注意点

  • 制動力の絶対値だけで判断する — 車両重量が違えば必要な制動力も違うため、比に直さないと良否を比べられません。
  • 左右差を大きいほうの値で割る — 目安は当該軸重に対する割合で見るため、分母を取り違えると数値が過小になります。
  • 踏力を揃えずに測る — 制動力は踏力にほぼ比例するので、踏み方の差がそのまま左右差として現れます。
  • 駐車ブレーキを引きしろだけで見る — 引きしろが規定内でもケーブルが伸びていれば制動力は出ないため、実測が必要です。
  • タイヤの空気圧を確認しない — 左右で圧が違うとローラーとの接触が変わり、整備の要否を誤って判断します。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

制動力比が71.72%なら問題ありませんか?

主制動装置の目安である50%を上回っています。ただし前軸単独の比率や左右差も併せて確認してください。

左右差は何%まで許容されますか?

当該軸重に対して8%以内が一般的な目安です。既定値では前輪2.27%・後輪0.85%で収まっています。

駐車ブレーキの比率が20%を下回るとどうなりますか?

ケーブルの調整やライニングの点検が必要になります。後軸重の軽い車種では特に出にくい項目です。

テスタの値と実際の停止距離は一致しますか?

一致しません。テスタは路面の摩擦や荷重移動を含まないため、装置単体の性能を見る指標として使います。

制動力の単位がkgfで表示される機器では?

1kgf=約9.80665Nとして換算してください。比率で見る限り単位を揃えれば結果は同じです。

前後の配分は何割が適正ですか?

一般的な乗用車では前輪が6〜7割を負担します。配分そのものより、各軸で目安を満たすかが判断の基準です。

測定のたびに値が変わるのはなぜですか?

踏力の立ち上がり、タイヤの空気圧、ローラーへの進入位置で変動します。手順を固定して複数回測るのが確実です。

この結果で車検の合否は判断できますか?

できません。判定の基準は車両区分や年式で異なるため、最新の保安基準と検査の要領に基づく確認が必要です。